ドル円、約3週間ぶり高値圏へ急上昇。心理的節目130円丁度も難なく突破
〇ドル円、米国時間午後にかけ130.18まで急伸、130円台での推移
〇米ISM製造業景気指数の好調、FRB関係者のタカ派発言等による米長期金利上昇がサポート
〇ユーロドル、米長期金利上昇等受け、1.0627まで急落
〇ドル円、転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜け、地合い強い
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつある
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想、5/9高値131.36トライは時間の問題か
〇本日の予想レンジ:129.50ー131.00
海外時間のレビュー
1日(水)のドル円相場は急上昇。@中国経済の持ち直し期待(中国上海市による6/1付けでのロックダウン解除)や、A本邦輸入企業と思しき実需のドル買い・円売り(月初・公表相場のドル不足)、B米FRBによるバランスシート圧縮開始(計8兆9000億ドルに膨らんだバランスシートの圧縮を6/1よりスタート。当初の月間上限は米国債が300億ドル、エージェンシー債と住宅ローン担保証券が175億ドルの計475億ドル)、C米5月ISM製造業景気指数(結果56.1、予想54.5)の力強い結果(米リセッション懸念など米国経済を巡る過度な悲観論後退)、Dサンフランシスコ連銀デイリー総裁による「政策金利を中立水準にする必要がある」「年末までに2.50%に引き上げたい」「リセッションに陥るとは思わない」とのタカ派的な発言、
Eセントルイス連銀ブラード総裁による「会合ごとに50bpの利上げは良い道筋」「迅速に利上げを行うべき」とのタカ派的な発言、F上記BCDEを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは5/18以来となる2.94%へ急上昇)、G心理的節目130.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、5/11以来、約3週間ぶり高値となる130.18まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/2午前3時55分現在)では、130.12前後で推移しております。
1日(水)のユーロドル相場は高値圏から急反落。@オーストリア中銀ホルツマン総裁による「50bp利上げの必要性を支持している」とのタカ派的な発言を材料に、欧州時間朝方にかけて、高値1.0738まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、A欧州経済を巡る先行き不透明感(スタグフレーション懸念→欧州株下落)や、B米経済を巡る過度な悲観論後退(米5月ISM製造業景況指数の力強い結果→米ドル買い)、C米当局者によるタカ派的な発言(サンフランシスコ連銀デイリー総裁やセントルイス連銀ブラード総裁など)、D上記BCを背景とした米長期金利の急上昇、E欧州最大の資産運用会社アムンディのビンセント・モルティエ最高投資責任者による「テクニカル的にもファンダメンタルズ的にもユーロは恐らくドルと等価になるだろう」との弱気発言が重石となり、米国時間午後にかけて、5/23以来、約7営業日ぶり安値となる1.0627まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/2午前3時55分現在)では、1.0655前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は5/24に記録した約1ヵ月半ぶり安値126.36をボトムに反発に転じると、昨日は約3週間ぶり高値となる130.18まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、心理的節目127.00、128.00、129.00、130.00を次々に突破するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを決定付けるチャート形状となりつつあります(底固め成功で約3週間に亘る調整局面が終了→上昇トレンド再開)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(50bpの連続利上げとバランスシート圧縮開始の二重引き締め)や、A日銀による金融緩和スタンスの継続姿勢(昨日は若田部副総裁より「金融緩和の粘り強い継続によって着実に経済の好循環を支え、賃金が上がっていく環境を維持することが必要になる」「ちゅうちょなく必要な追加的措置を講じることも排除すべきではない」との発言あり)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売りが再開)、C米経済を巡る過度な悲観論後退(米5月ISM製造業景況指数の力強い結果を受けて、米リセッション懸念が後退)、
D中国経済を巡る過度な悲観論後退(上海市のロックダウン解除を受けて、中国経済の楽観論再開)、E上記CDを背景とした投資家心理の改善期待、F資源価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(経常収支の赤字転落懸念を背景とした構造的な円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。こうした中、本日は米国時間に発表される米5月ADP雇用統計や、米新規失業保険申請件数、米4月製造業受注指数、米4月耐久財受注、ニューヨーク連銀ローガン執行副総裁(次期ダラス連銀総裁)発言、クリーブランド連銀メスター総裁発言などに注目が集まります。
特に週末の米雇用統計の前哨戦として注目される米5月ADP雇用統計への関心が大きく、仮に市場予想を上回る結果となれば、米経済を巡る悲観論が一段と後退し、米FRBによるタカ派傾斜と相まって(米経済が力強さを示すことで米FRBが心置きなくインフレ抑制を目的とした金融引き締めに進める)、ドル円に強い上昇圧力をもたらすものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(直近1週間で既に約4円程度上昇しており、このままのペースでいくと、5/9に記録した約20年ぶり高値131.36トライは時間の問題)。
本日の予想レンジ:129.50ー131.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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