ドル高基調継続も、明日の米雇用統計待ちか
〇本日のドル円、130円を挟んで上下20ポイント程度での往来相場
〇ロシア国債「支払い不履行」、対外デフォルトと見なされる可能性高まる
〇安達日銀審議委員が「物価目標実現まで緩和政策を粘り強く続ける」とコメント
〇明日発表の米雇用統計が好数字なら米長期金利の上昇とともにドルは上値を試す展開も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは129.30-130.60
<< 東京市場の動き >>
2日の東京市場は揉み合い。前日のNY時間に約3週間ぶりとなる130円台を回復したものの、上値は重く上げ渋りの感も。
ドル/円は5月12日以来の130円台、130.10円レベルで寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける展開。130円を挟んでの上下20ポイント程度での往来相場をたどっている。なお、レベル的には本邦要人からの「口先介入」が警戒されていたものの特段聞かれず。ただ、代わりに安達日銀審議委員から「物価目標実現まで緩和政策を粘り強く続ける」とのコメントが聞かれていたようだ。16時現在では129.90円レベルで推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「米金融政策」について。
前者は、決定を先送りしていたEMEAクレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)が、4月に期限を迎えたロシア国債の利息分ついて、ついに「支払い不履行」に相当すると認定した。これにより、ロシアは約100年ぶりに対外デフォルトと見なされる可能性が高まったことになる。そうしたなか、ロシア外相から「西側諸国による制裁措置の影響で、穀物輸出が困難になっている」との発言が聞かれた反面、前日一部メディアで報じられた「ロシアをOPECプラスの石油生産協定から一時除外する案」は1日の実務者会議で議論されなかったという。
対して後者は、発表された5月のISM製造業景況指数が予想を上回る内容となるなか、サンフランシスコ連銀総裁やセントルイス連銀総裁などから、利上げに関して強気のコメントが聞かれていた。たとえば、前者は「可能な限り速く2.5%まで金利を上昇すべき」、後者は「FOMC会合ごとに0.5%の利上げ実施は良い道筋」−−との発言が観測されると、ドル/円が前述した3週間ぶり130円台回復の一因になっていたことは間違いない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日3週間ぶりとなる130円台を回復し、本日東京もそのままドル高値圏での推移となった。ドルの下値リスクが軽減したばかりか、ドル高方向へのリスクが再燃している。なお、本日東京などで示現したドル高値130.20円レベルは、年初来高値131.35円を起点とした下げ幅のフィボナッチで見た76.4%戻しにほぼ合致する水準。つまり、しっかり上抜けるとフィボナッチ的には100%戻し、131.35円が名実ともにターゲットということになりかねない。
昨日、若田部日銀副総裁から「現時点で追加緩和の蓋然性はそれほど高くない」との発言が聞かれるなか、本日は前述したように安達日銀審議委員が「物価目標実現まで緩和政策を粘り強く続ける」とコメント。金融緩和に向けたスタンスは少しも変化していないようだ。いずれにしても、明日発表の米雇用統計が好数字となれば、米長期金利の上昇とともにドルは上値を試すといった展開を見込む声も少なくないが、本日に限れば明日にらみから売買の手控えムードが続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円はしばらくのあいだドルの抵抗として寄与してきた移動平均の21日線(128.70-75円)を、昨日NYクローズベースでもしっかりと上回ってきた。リスクは上方向にバイアスが掛かるだけでなく、ドルは調整の動きから一時的に軟化しても21日線レベルでは下げ渋りそうだ。週末の米雇用統計発表などをにらみつつ、目先は底堅い展開も。
本日は米経済指標として、5月のADP雇用統計や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表されるほか、米地区連銀総裁を中心とした講演などの発言機会も引き続き多い。また、オンライン形式で開催されるOPECプラス閣僚級会合などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは129.30-130.60円。ドル高・円安方向は昨日そして本日東京の高値にあたる130.20円レベルの攻防にまずは注目。上抜けると、フィボナッチ的には年初来高値も視界内に。
対するドル安・円高方向は、129.50-60円が弱いサポート。割り込めば、21日線を目指した続落の可能性も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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