米FRB地区連銀経済報告(ベージュブック)
昨日(1日)、FRBからベージュブックが公表されました。以下はその内容となっています。地区連銀は12地区で構成されており、報告内容期間は2022年5月23日以前までとなっています。前回と比較して、物価上昇は継続しているが、前回の報告までの成長ペースに若干陰りがでている箇所もあります。物価に関しても一部では企業の予想上昇率が下がっているとの指摘もあります。内容的には前回(4月)よりもややトーンダウンしています。昨日相場はベージュブックを材料視せず、ドルが堅調のまま推移しました。
全般的な経済活動
全12地区の連銀が前回ベージュブック以降、経済成長が続いていると報告した。過半は僅か乃至控えめな伸びとし、4地区は安定的な成長と指摘している。
4地区は成長ペースが前期よりも明らかに鈍化したと指摘している。ほとんどの地区での聞き取りでは製造業の継続的な伸びを報告している。小売業者への聞き取りでは、消費者が物価高に直面し、成長ペースが幾分軟化したと指摘している。そして、居住用住宅関連の聞き取りでは、購入者が価格高や金利高に直面し、弱くなったとみている。聞き取りでは、労働市場の困難さを最大の課題として言及する傾向がみられ、次いで供給チェーンの混乱がある。金利高、全般的なインフレ、ロシアのウクライナ侵攻、Covid-19症例(とりわけ北東部)から起きる混乱が、家計や企業計画に与える影響が主要な関心としてまとめている。8地区では、聞き取りによる将来の成長期待が減っているとし、このうち特に3地区での聞き取りで、リセッションに関する懸念を表明した。
労働市場
ほとんどの地区で、全ての地区でタイトとした労働市場の中で、雇用は控えめか緩やかに伸びたと報告している。とりわけある地区は雇用の成長ペースが鈍化したと報告している。しかし、ほとんど沿岸地区にある幾つかの企業は雇用の凍結か市場の逼迫さが緩和され始めたと報告している。しかしながら、労働者不足が多くの企業では低い稼働率を強いられ続けられているとしている。これに呼応し、企業は自動化の展開、雇用の柔軟性をより高め、賃金上昇を続けている。多くの地区で、企業は強い賃金の伸びを報告したが、その他のほとんどの地区は緩やか伸びを報告している。しかしながら、2・3の地区で、企業の賃金上昇率が横這い乃至下がっていると指摘している。更に、国の至るところの企業で、賃金が来年以降一段と上昇すると予想する一方、ある地区では企業の予定賃金上昇率が2四半期連続で下落したと報告している。
物価
ほとんどの地区での聞き取りによれば、力強い物価上昇を報告している。とりわけ仕入れコストに対し、2つの地区は急速なインフレが継続的なトレンドになっていると指摘している。しかしながら、3地区では、自分達の商品やサービスに対する物価上昇が幾分緩やかになったとみている。これは、全般的にフィラデルフィアの企業間、あるいは幾つかのセグメント(ボストンでの中古車市場やリッチモンドでの製造業)である。約半数の地区での多くの聞き取りで、価格決定力が−顧客や消費者へのコスト転嫁、多くの場合は燃料の上乗せチャージだが−、維持されていると見られている。しかしながら、半分以上の地区で、幾つかの顧客が反発している−例えば、より少量の購入やより安価なブランドでの代替−、ことに言及している。2地区の調査では、販売価格の前年比上昇が4〜5%の範囲であった。更に、ある地区では、企業の価格予想が2四半期連続で下落していると指摘している。
(各地区のハイライトは略)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。(上記出所:FRB HP)
下図はユーロドルの日足チャートです。2月11日高値からのラインA(=1.0800)に沿ってユーロが下落しています。下限はそこから平行に下したB(=1.0245)でユーロ安トレンドラインを形成しています。直近は5月13日底値からのC(=1.0750)でユーロ高のトレンドラインでしたが、昨日Cを割りました。昨日まではAとBのトレンドラインのほぼ上限まで戻り、再度下限方向狙いになっています。
短期的にどこまでユーロが売られる可能性があるかを見ると、昨日の底値はD(=1.0650)で止まっています。もしDを切れば次いでE(=1.0480)、F(=1.0350)、そしてトレンドライン下限のB方向になります。上値はAとBの間にG(=1.0770)がありますが、時間経過でいずれAとGは交差しますので、先にAの抵抗線がくることになります。この状況下で、万一、AとBのトレンドラインを上抜けた場合には最初にこのGの抵抗線、更にH(=1.0930)が見えてきます。いずれにせよAを上抜いて終われば、短期の流れはややユーロ堅調になり、中期ユーロ安トレンドの上値模索になります。
今週に入りドルは全面高となっていますが、今回のベージュブックを見る限り、5月上旬にドルの高値を付けた時の経済状況とはややニュアンスが変わってきています。来週9日はECBの金融政策が予定されているので、このままドル買い継続するのか、一度調整に入るかを見たいと思います。
(2022年6月2日12:45、1ユーロ=1.0653ドル)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2022.06.02
ドル高基調継続も、明日の米雇用統計待ちか(6/2夕)
2日の東京市場は揉み合い。前日のNY時間に約3週間ぶりとなる130円台を回復したものの、上値は重く上げ渋りの感も。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。