『安値圏から持ち直す展開。インフレ昂進や50bp利上げが下支え』
〇今週の南ア円、中国経済の失速懸念、株価軟調等に週明け早々7.90まで下落
〇売り一巡後は南アCPI高止まり、中銀利上げ観測等に週央にかけ8.14まで反発、8台で越週
〇南ア円、テクニカルには上方に複数のレジスタンスポイント控え、ここからの更なる上昇は容易で無い
〇ファンダメンタルズもFRBのタカ派スタンス、南ア、中国経済の先行き不透明感等売り材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
今週のレビュー(5/16−5/20)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.99円で寄り付いた後、@中国経済の失速懸念(中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、中国4月固定資産投資が軒並み市場予想を下回る冴えない結果→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済に下押し圧力)や、A株式市場の軟調推移(リスク回避の新興国通貨売り)、B国営電力会社エスコムによる計画停電の延長発表(南ア経済の先行き不透明感)などが重石となり、週明け早々に、週間安値7.90円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると(90日移動平均線に続落を阻まれると)、
C南ア4月消費者物価指数(結果5.9%、予想5.6%)の高止まりや、D上記Cを背景とした南ア中銀の追加利上げ観測、E米金利低下に伴うドル売り圧力(対ドルでの南アランド買い)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.14円まで上昇しました。その後も、F南ア中銀による政策金利の引き上げ(予想通り50bp引き上げ4.75%へ)や、G株式市場の持ち直し(欧米株の反発→リスク回避ムード後退)が南アランドを下支えし、本稿執筆時点(日本時間5/21午前4時25分現在)では、8.03円前後で推移しております。
来週の見通し(5/23−5/27)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2ヵ月ぶり安値7.86円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて一時8.14円まで反発しました。但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えているため、テクニカル的に見て、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(現在攻防を繰り広げている一目均衡表雲下限を明確に下抜けすることできれば、強い売りシグナルを示唆する三役逆転の成立を通じて地合いが悪化する公算大)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(パウエルFRB議長は今週5/17に「インフレ低下に確証が得られなければFRBはさらに積極的な行動を検討する必要がある」と発言)や、A上記@を背景とした過剰流動性相場の逆流懸念(南アフリカなど新興国から米国への資本流出懸念)、
B南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア4月小売売上高が不冴えな結果となった他、南ア中銀が発表した2022年のGDP成長率予測も従来の2.0%から+1.7%へ下方修正→一方2022年のインフレ率予想は従来の+5.8%から+5.9%に上方修正→スタグフレーション懸念の高まり)、C中国経済の失速懸念(中国と経済的な結び付きの強い南アフリカにも影響あり)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。南ア中銀による追加利上げ観測が南アランドの下支え要因として一定程度機能する可能性があるものの、景気減速懸念が燻る中での金融引き締め政策となるため、南ア経済へのダメージも相応に強く、これまでのような「追加利上げ観測=南アランド買い」というシンプルな波及経路は想定しづらいと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は5/26に予定されている南ア4月生産者物価指数に注目が集まります)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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