ドル円の下落で8円を割り込んでから戻すも戻り高値切り下がりの範囲
〇トルコリラ円、5/19夜ドル円が127円割れを試すところまで下落した局面で、安値7.97をつける
〇その後ドル円が戻しに入ったため8円割れから買い戻し優勢、8.05超えまで戻し新たな安値更新回避
〇対ドル、5/19は15.98から15.79の取引レンジ、1ドル=16リラの節目を目前にいったん買い戻し優勢
〇米長期債利回りの一段安により5/19夜はドル全面安の様相、11営業日ぶりのリラ高で終了
〇8.00を上回るうちは戻りを試す可能性ありとし、8.07超えからは8.10前後への上昇を想定する
〇7.98割れからは、7.90台前半を目指す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の5月19日は8.08円から7.97円の取引レンジ、20日早朝の終値は8.02円で前日終値の8.03円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が午前に128円を割り込んだところで8.01円へ下落、午後にドル円が129円へ迫るところまで戻したために8.08円までいったん戻したが、19日夜にドル円が127円割れを試すところまで一段安した局面で8円の大台を割り込んで7.97円をつけて4月28日高値8.88円以降の安値を更新、3月21日以来の8円割れとなり、3月11日に付けた年初来安値7.76円へ迫る展開となった。
しかしドル円が127円割れを回避して戻しに入ったためトルコリラ円も8円割れから買い戻し優勢となって8.05円を超えるところまでいったん戻し、その後は新たな安値更新を回避している。19日夜はドル全面安の様相で対ドルでもリラが反発したことで支えられた。
【ドル全面安の様相、11営業日ぶりにリラ高で終了】
ドル/トルコリラの5月19日は15.98リラから15.79リラの取引レンジ、20日早朝の終値は15.84リラで前日終値の15.93リラからは0.09リラのドル安リラ高となった。
5月5日のトルコ4月CPIが予想を上回ったことをきっかけとしてリラ安へ向かい、5月9日に3月11日安値15.00リラを突破したことでが勢い付いて5月18日まで10営業日連続のドル高リラ安となり、5月18日夜からは16リラ手前での攻防が続いていたが、米長期債利回りが一段と低下したことで19日夜にドルストレートがドル全面安の様相となり、トルコリラも1ドル=16リラの節目を目前にいったん買い戻し優勢となって11営業日ぶりのリラ高で終了した。
【1ドル=16リラ、1リラ=8.0円を巡る攻防続く】
5月19日はドル円が127円割れを試すところまで一段安となる一方、ユーロドルが5月13日安値1.0349ドル以降の高値を更新、ポンドドルも5月13日夜安値1.2155ドル以降の高値を更新した。18日は米長期債利回り低下局面でも株安によるリスク回避感からそれまで戻していたユーロやポンドが下落したが、米長期債利回りの続落を見てドル安感が優勢となり、豪ドル米ドルが5月13日安値以降の高値を更新、南アランドも5月16日夕安値以降の高値を更新、メキシコペソも5月12日安値以降の高値を更新している。
中勢としては主要国の金融引き締め、とりわけ米連銀によるインフレ対策としての連続大幅利上げ見通しによりドル高基調が継続していると思われるが、短期的には米10年債利回りが5月9日に3.20%まで上昇したところから調整安に入っていることでドル高も一服してきている。ドル高一服が始まった中でも弱い通貨としてトルコリラの売り攻勢は続いてきたのだが、ひとまず1ドル=16リラ手前まで下落したことでトルコ中銀による介入警戒感もあり利益確定でリラの買い戻しが入ったという印象だ。
市場は5月9日に1ドル=15リラを突破されるまでは15リラがトルコ中銀の防衛ラインとみてきた。15リラを突破したことで16.00リラへと防衛ラインが切り下がったと思われるが、19日夜のドル安リラ高については特に中銀による介入との報道は見られない。ただし、中銀は公然と介入を発表せずに国内金融機関を使った事実上の介入等によりリラ安阻止に動いてきた経緯もあるので、16リラ到達によりなにがしかのアクションがあった可能性も考えておく必要があるだろう。
トルコ中銀の次回金融政策決定会合は5月26日であり、昨年後半の4会合連続利下げが高インフレをさらに悪化させた状況の中でもインフレ対策としての利上げへ向かう姿勢は見られず、今回も現状維持となるのだろうと推察される。しかし中銀の甘いインフレ見通しに対して市場は納得せずに利上げ催促的なリラ売りを仕掛けてくる可能性もあるところだ。
1ドル=16リラ手前でいったんリラ安にブレーキがかかったとしても、16リラ台前半へと下げ始めれば17リラを目指す下落へ向かいやすくなるところと思われる。その際にトルコリラ円も3月11日安値7.76リラを割り込み7円試しへ向かう可能性も考えておく必要があるのではないかと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月12日夜安値を起点とした三角持ち合いから下放れて弱気サイクル入りしたとして5月17日夜から19日夜にかけての間への下落を想定してきた。
5月19日夜に8.0円を割り込んでから戻しているので5月12日夜安値から5日目となる19日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は19日夜から23日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとみるが、19日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、19日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、5月16日の持ち合い下放れにより遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も継続してきたが、5月19日夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。先行スパンへ潜り込めないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後の悪化から下げ再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは先行スパン突破を試す可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、先行スパンへ潜り込んでから再び転落する場合は下げ再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月17日から19日夜にかけての下落時に指数のボトムは切り上がる強気逆行を見せているので40ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイントを目指す可能性があるとみるが、35ポイント割れからは下げ再開及び一段安警戒として20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.98円を下値支持線、8.07円を上値抵抗線とみる。
(2)8.00円を上回るうちは戻りを試す可能性ありとし、8.07円超えからは8.10円前後への上昇を想定する。8.10円以上は反落警戒とするが、8円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)7.98円割れからは7.90円台前半(7.95円から7.90円)を目指す下落を想定する。7.93円以下は反発注意とするが、8円を割り込んでも推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月20日
16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 67.3)
20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 グロス (5/6時点 660.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 ネット (5/6時点 149.9億ドル)
23:30 4月 中央政府債務 (3月 310.9億リラ)
5月23日
16:00 5月 製造業景況感 (4月 109.7)
16:00 5月 設備稼働率 (4月 77.8%)
17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 129.7%)
5月26日
16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 94.7)
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
20:30 週次 外貨準備高
注:ポイント要約は編集部
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