ドル円見通し 米長期債利回り続落でドル安だが、127円割れ回避で戻りを試す(22/5/20)

19日夜は米経済指標が総じて弱く、景気減速懸念からNYダウが続落、米長期債利回りも一段安となったことでドル安感が強まり、深夜には127.01円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 米長期債利回り続落でドル安だが、127円割れ回避で戻りを試す(22/5/20)

ドル円見通し 米長期債利回り続落でドル安だが、127円割れ回避で戻りを試す

〇ドル円、5/19午前127.83をつけるも128円割れを買われ、午後128.94まで1円を超える反発
〇5/19夜からドル安感強まり深夜127.01まで下げる、127円割れ回避するも5/20午前序盤128円に届かず
〇NYダウ、ナスダックともに続落、米指標は総じて弱く、米長期債利回りも一段低下、ドル先安感強まる
〇128円以下での推移中は一段安警戒とし、5/19夜安値127.01割れからは126円前後を試すとみる
〇128.30超えからは戻りを試すとみて、128.70前後への上昇を想定する

【概況】

ドル円はNYダウの大幅下落と米長期債利回り低下を背景に5月18日夜に129円割れから128円台序盤へ下落、19日午前には127.83円をつけた。128円割れをいったん買われて午後に128.94円まで1円を超える反発となったものの、19日夜は米経済指標が総じて弱く、景気減速懸念からNYダウが続落、米長期債利回りも一段安となったことでドル安感が強まり、深夜には127.01円まで安値を切り下げた。127円割れをひとまず回避して戻したが20日午前序盤時点では128円には届かずにいる。
5月17日夜の戻り高値129.77円から19日深夜安値までは2.76円の円高ドル安、5月9日高値131.34円から19日深夜安値までは4.33円の円高ドル安となった。
ドイツで開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議では鈴木財務相は最近の円安について「為替相場の急速な動きを説明しG7として為替に関する合意事項を再確認することが重要だと申し上げた」、「この合意に沿ってG7でも緊密な意思疎通を図りつつ適切に対応していく考えを申し上げた」と述べているが特段のサプライズ内容はない。

【NYダウは前日の大幅下落から続落、米経済指標冴えず】

5月19日のNYダウは前日比236.94ドル安と下落した。18日に前日比1164.52ドル安の大幅下落となり、19日は一時プラス圏に戻す場面もあったものの高値からは300ドルを超える下落で18日からの続落となった。ナスダック総合指数も前日比29.65ポイント安で18日の同566.37ポイント安からの続落となった。
5月18日は米大手小売りの決算悪化が引き金となり米連銀の金融引き締めやロシア制裁の悪影響等による景気減速懸念が株売りを誘ったが、19日も米経済指標が総じて弱かったことで売られている。

米フィラデルフィア連銀の5月製造業景況指数は2.6となり4月の17.6から大幅に低下、市場予想の16.0を下回った。
週間の新規失業保険申請件数は21.8万件となり前週の19.7万件から増加、予想の20万件も上回った。
米コンファレンス・ボードによる4月の景気先行指数は前月比0.3%低下の119.2となり3月の0.1%上昇から悪化、市場予想の横ばいを下回った。
米不動産業者協会(NAR)による4月の中古住宅販売件数(年換算)は前月比2.4%減の561万戸となり市場予想の565万戸を下回って3か月連続のマイナスで、前年同月比は5.9%減だった。一方で販売価格中央値は4.4%上昇の39万1200ドルとなり過去最高を更新して前年同月比では14.8%上昇、過去最長の122か月連続での上昇となった。

米カンザスシティー連銀のジョージ総裁は5月19日にインタビューに答えて「米連銀のフォワードガイダンス=金融政策指針を受けて債券および株式市場が調整している」、「株式市場は米連銀の目標ではない」とし、「インフレが高すぎる、利上げを続ける必要がある」と述べて金融引き締め政策の正当性を主張し、現況の株安も想定内との見方を示した。

【米長期債利回り低下】

株安を背景に米国債が安全資産買い優勢となっており、5月19日の米10年債利回りは前日比0.05%低下の2.84%となった。米連銀の金融引き締め姿勢を反映して10年債利回りは5月9日に3.20%へ上昇して2020年3月底0.32%以降の高値を更新、2018年10月天井の3.26%へ迫る勢いだったが、大上昇一服で調整に入っており、18日の前日比0.10%低下からの続落で一時は2.78%まで低下して5月12日の2.82%を下回り5月9日からの低下は二段下げ型となった。
30年債利回りも0.02%低下の3.05%、2年債利回りも0.06%低下の2.61%となった。
米長期債利回り低下がドル円を圧迫しており、5月9日からの米10年債利回り低下とドル円の下落が歩調を合わせている。4月28日と5月9日の二度131円台を付けたことで当面の高値を出し切っていったん調整期に入っているという印象を強め、安値の落ち着きどころを探っているところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月12日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしたが、5月17日夜高値からの伸び悩みにより5月18日夜に5月17日夜安値を割り込んで128円割れまで失速したために19日午前時点では5月17日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。

19日午前に128円をいったん割り込んでから129円へ迫るところまで戻し、その後の反落で127円試しへと一段安しているため、19日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたものの底割れにより既に新たな弱気サイクル入りとなった可能性がある。また5月19日夜安値が5月12日夜安値から5日目となるので19日午後への反発幅を超える場合は19日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとなる可能性も考えられる。
これらを踏まえ、128.30円を超えないうちは一段安警戒とし、19日夜安値割れからは19日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日午前から26日午前にかけての間への下落を想定し、128.30円超えからは19日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月18日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落、その後も両スパンそろっての悪化が続いているが、19日夜安値からの反発で遅行スパンが好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、その際は先行スパンの上下限が上値抵抗帯になりやすいと思われる。先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところからの下げ再開注意とする。

60分足の相対力指数は5月19日午前安値から19日深夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる。50ポイント以下での推移中はもう一段安の可能性ありとみるが、50ポイント超えからは戻りを試す流れとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月19日夜安値127.01円を下値支持線、128.30円を上値抵抗線とする。
(2)128円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、5月19日夜安値割れからは126円前後を試すとみる。126円以下は反発注意とするが、127円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)128.00円から128.30円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、128.30円超えからはさらに戻りを試すとみて128.70円前後への上昇を想定し、128円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/20(金)
バイデン大統領、日韓歴訪(5/24まで)
G7財務相・中銀総裁会議最終日
15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -1.4%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.9%、予想 -7.0%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 -1.1%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 -0.6%、予想 -8.3%)
15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 4.9%、予想 1.2%)
16:30 (英) ピル英中銀理事、講演
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感・速報値 (4月 -22.0、予想 -21.5)

5/21(土)
オーストラリア総選挙
APEC貿易相会合(5/22まで、バンコク)

5/22(日)
APEC貿易相会合最終日
世界経済フォーラム年次総会(5/26日まで、ダボス)


注:ポイント要約は編集部

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