トルコリラ週報:『ファンダメンタルズ的な弱さを材料に約1カ月半ぶり安値圏へ下落』(5/14朝)

トルコリラの対円相場は4/28に記録した約4ヵ月ぶり高値8.90円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1ヵ月半ぶり安値となる8.28円まで急落しました。

トルコリラ週報:『ファンダメンタルズ的な弱さを材料に約1カ月半ぶり安値圏へ下落』(5/14朝)

『ファンダメンタルズ的な弱さを材料に約1カ月半ぶり安値圏へ下落』

〇今週のトルコ円、週明け早々8.81まで上昇後、週後半にトルコ失業率の悪化等で8.28まで急落
〇週末は小幅反発して8.35レベルの取引
〇トルコ円、主要サポートポイント下抜け、弱気のバンドウォークも成立、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の下落を連想させる材料揃う
〇政府のリラ売り抑制の資本規制の長期化は難しく、副作用の顕在化と共にリラ売りに繋がる恐れも
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.15ー8.55


本文の内容が当初南アフリカランド週報になっていました。お詫びして修正致します。(編集部)

今週のレビュー(5/9−5/13)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.74円で寄り付いた後、早々に週間高値8.81円まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した直近高値8.82円をバックに伸び悩むと、@米FRBによる金融引き締め姿勢の明確化(米4月消費者物価指数および米4月生産者物価指数は共に高止まり→米FRBよる大幅利上げとバランスシート圧縮の二重引き締め)や、A上記@を背景とした過剰流動性相場逆流への警戒感(市場心理悪化→トルコから米国への資本流出)、Bロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク、Cトルコ3月失業率(結果11.5%、前回11.1%)の大幅悪化が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.28円(4/1以来、約1ヵ月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/14午前4時00分現在)では、8.35円前後で推移しております。

来週の見通し(5/16−5/20)

トルコリラの対円相場は4/28に記録した約4ヵ月ぶり高値8.90円(1/4以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1ヵ月半ぶり安値となる8.28円まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線)を下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォーク(ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続ける状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となっております。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(トルコはロシア・ウクライナ両国と親密関係にあるため、地政学的リスクの長期化はトルコ経済にネガティブに作用)や、Aエルドアン大統領の低金利政策(先週発表されたトルコCPIは前年比69.97%、トルコPPIは前年比121.82%と高インフレ環境が継続しているにも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の低金利を志向する独自理論に逆らうことができず、今後も当面利上げの選択肢を避ける公算大→トルコリラの実質金利急低下→リラ売り圧力)、

B米FRBによるタカ派スタンスの明確化(トルコから米国への資本流出圧力)、Cトルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ3月失業率、トルコ3月鉱工業生産、トルコ3月小売売上高は軒並み冴えない結果)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。トルコ政府・トルコ中銀は昨年12月以降、リラ売り抑制を目的にかなり強引な資本規制を続けてきましたが、それらの効果が足元で徐々に薄れつつあります。事実今週は新たな資本規制案として、銀行規制当局が金融機関に対して法人向け為替取引を現地時間10時から16時までの間に行うよう要請したとのヘッドラインが報じられました(現在の資本規制の効果が薄れてきたため、新たな資本規制を模索するフェーズ)。このように、資本規制の長期化は難しく、副作用の顕在化と共にリラ売りに繋がる恐れが出てくることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週はトルコ3月経常収支やトルコ5月消費信頼感指数に注目)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.15ー8.55

注:ポイント要約は編集部

『ファンダメンタルズ的な弱さを材料に約1カ月半ぶり安値圏へ下落』

トルコリラ円日足

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