『中国懸念×米金融引き締めで一時2ヵ月ぶり安値圏へ下落』
〇今週の南ア円、週明け8.17まで上昇後伸び悩み、週後半にかけて、週間安値7.86まで下落
〇結びつきの強い中国経済の失速懸念、南アにおける新型コロナウイルス感染拡大等が重石に
〇転換線や基準線、21日線や一目均衡表雲上限を下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズも、米FRBのタカ派スタンスの明確化、南ア経済の先行き不透明感が懸念材料
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想、5/19の南ア中銀政策決定会合要注視
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
今週のレビュー(5/9−5/13)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.15円で寄り付いた後、早々に週間高値8.17円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@中国経済の失速懸念(新型コロナウイルスの封じ込めを目的としたロックダウンの長期化懸念→中国と経済的な結びつきの強い南ア経済への下押し圧力)や、A南アフリカにおける新型コロナウイルス感染拡大(1日あたりの感染者数が本年1月以来の1万人超え→第5波突入への警戒感)、B南ア経済指標の冴えない結果(南ア3月工業生産および南ア3月製造業生産は共に市場予想を下回る内容)、C米FRBによるタカ派傾斜観測(米4月消費者物価指数および米4月生産者物価指数は共に高止まり→米FRBよる大幅利上げとバランスシート圧縮の二重引き締め→過剰流動性相場逆流懸念→新興国から米国への資本流出圧力)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.86円(3/16以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。もっとも、90日移動平均線をバックに下げ渋ると、週末にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間5/14午前4時40分現在)では、7.99円前後で推移しております。
来週の見通し(5/16−5/20)
南アフリカの対円相場は、4/19に記録した約3年10ヵ月ぶり高値8.74円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、一時7.86円(約2ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(目先は今週サポートとして機能した一目均衡表雲下限と90日移動平均線を下抜けられるか否かがポイント)。ファンダメンタルズ的に見ても、米FRBによるタカ派スタンスの明確化(インフレ抑制を目的に米FRBは金融引き締め姿勢を明確化→過剰流動性相場逆流懸念とそれに伴う新興国から米国への資本流出を想起)や、南ア経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる計画停電や、ナタール州で発生した大規模洪水被害の残響、経済的な結びつきの強い中国経済の失速懸念や南アフリカ国内の新型コロナウイルス感染拡大懸念)など、南アランド円相場の続落を意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は5/19に予定されている南ア中銀政策決定会合(SARB)に注目が集まります。市場では既に50bpの利上げが織り込まれているため、予想通りの結果に終結する場合には、材料出尽くし感から南アランドに下落圧力が加わるものと推察されます(声明文でタカ派的なスタンスが示される場合には、一時的に南アランド買いで反応する可能性があるものの、南ア経済の下振れが警戒されている現状下においての更なる利上げは南ア経済の失速に繋がる可能性が高いことから、一巡後は再び下落に転じると予想)。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(上記以外にも来週は5/16に予定されている中国4月小売売上高、中国4月鉱工業生産、中国4月固定資産投資や、5/18の南ア4月消費者物価指数、南ア3月小売売上高など注目材料目白押し)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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