トルコリラ円見通し ドル円が戻すもドル高リラ安継続で下げ渋りの三角持ち合い(22/5/16)

トルコリラ円の5月13日は8.39円から8.30円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.34円で前日終値の8.336円からは0.01円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル円が戻すもドル高リラ安継続で下げ渋りの三角持ち合い(22/5/16)

トルコリラ円見通し ドル円が戻すもドル高リラ安継続で下げ渋りの三角持ち合い

〇トルコリラ円、5/13は8.39から8.30の取引レンジ、12日安値8.28割れ回避し下げ渋る
〇3/11〜4/28の上昇幅半値強削る下落、トルコCPI高進でリラ売り優勢に
〇対ドル、5/13安値15.38で7日続落、トルコ中銀防衛ライン15リラ突破か
〇トルコ3月小売売上高、前年比低下傾向続く、同鉄工業生産15%下回る水準で推移
〇8.40超えからは8.45前後試し、8.45以上は反落警戒とする
〇8.30割れからは8.28試し、8.28を割り込む場合は8.20円台前半を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の5月13日は8.39円から8.30円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.34円で前日終値の8.336円からは0.01円の円安リラ高となった。
5月12日夜にかけてのドル円の急落とドル高リラ安が重なり12日夜に8.28円まで安値を切り下げて4月28日高値8.88円以降の安値を更新、日足の終値ベースでは7営業日続落となったが、13日はドル高リラ安が継続したもののドル円が12日夜安値からの持ち直しを継続したことに支えられて午前に8.39円まで戻し、夕刻に8.30円まで下げたものの12日夜安値割れを回避して下げ渋り、終値ベースでは若干の上昇で8営業日ぶりに前日比わずかにプラスとなった。
ベンダーによっては5月12日夜安値で8.24円から8.22円、13日夕刻安値で8.24円等の安値も見られた。
週間では5月6日終値の8.73円から0.39円の円高リラ安だった。

【ドル高リラ安収まらず15.49リラへ安値を更新】

ドル/トルコリラの5月13日は15.49リラから15.38リラの取引レンジ、14日早朝の終値は15.48リラで前日終値の15.36リラから0.12リラのドル高リラ安となった。
5月5日に発表されたトルコの4月CPIが予想を上回る高進となったことでリラ売り優勢となり、5月9日にはトルコ中銀による防衛ラインとみられていた15リラを超えたことで勢い付いてからは連日の安値更新で5月5日から13日まで7営業日の続落となった。
週間では5月6日終値14.95リラから0.53リラのドル高リラ安、週足は4週連続の陰線での下落となり12月23日にリラ預金の為替差損補填政策を発表したところでつけた高値10.05リラ以降の最安値更新となっている。

【トルコ中銀の防衛ラインはさらに引き下げられたか】

5月12日夜に発表されたトルコの週次外貨準備高は5月6日時点のグロスが660.2億ドルとなり4月29日時点の654.0億ドルから若干増加したものの、ネットでは149.9億ドルとなり4月29日時点の170.1億ドルから20億ドル強の大幅減少となった。
3月11日に1ドル15.00リラをつけた後は新たな安値更新がしばらく回避されて横這いの推移が続いたため、トルコ中銀が15リラを防衛ラインとしてリラ安を抑制してきた印象だったが、5月9日にこの防衛線は突破されてリラ安が加速している。

市場は新たな中銀防衛ラインを15.50リラとみているが、5月13日には15.49リラをつけており、一部ベンダーでは15.56リラまで一時的な安値をつけており、既に新たな防衛ラインは16リラまで切り下がっている可能性も考えられる。
トルコ中銀が市場介入する場合には公式な介入宣言をすることは少ないため、非公式な介入を行っている結果としてネットの外貨準備高が減少している可能性も指摘される。通貨スワップ協定によりグロスでの外貨準備高は十分に見えるがネットでは脆弱な水準にあり、中銀が市場介入でリラ安に歯止めをかけようとするのも難しいところだ。
トルコ中銀の次回金融政策決定会合は5月26日でまだ先だ。取引への規制やリラ安阻止へ向けた新たな政策姿勢を示さないことには利上げ催促的なリラ売りもしばらく続きやすいと思われる。

【トルコの小売売上高は前年比の低下傾向続く】

【トルコの小売売上高は前年比の低下傾向続く】

5月13日に発表されたトルコの3月小売売上高は前月比0.3%増で2月の0.5%増から伸びが鈍化、前年同月比では2.5%増にとどまり2月の6.5%増から鈍化した。前年同月比は昨年9月の17.1%増をピークに漸減傾向が毎月続いている。
3月の小売部門別では、インフレ進行とリラ安を反映して食品・飲料は前月比4.3%増、前年同月比で6.4%増となったが自動車燃料は前月比5.1%減、前年同月比では12.4%減と大幅に低下して燃料高騰による買い控えが顕著となっている。
3月の鉱工業生産は前月比1.8%減となり2月の4.4%増からマイナスに転落、前年同月比は9.6%増で2月の13.3%増から鈍化した。パンデミック発生から1年を経過した2021年4月に前年同月比66.0%増と回復したが、その後は15%増を下回る水準での推移が続いている。

【3月11日から4月28日への上昇幅の半値強を削る】

昨年12月の史上最安値更新、リラ預金保護政策による急騰と揺れ返しの急落が落ち着いた後は8円台での持ち合いを続けていたが、ウクライナ戦争勃発によるリスク回避で3月11日に7.76円へ下落、その後は歴史的なドル円の大上昇で持ち直して4月28日高値8.88円まで1.12円の円安リラ高の上昇だった。しかし、ドル円の大上昇が二度の131円台到達で頭打ちとなって下落したこと、5月5日のトルコ4月消費者物価の上ブレからリラ売りが優勢となり5月12日安値8.28円まで0.60円の円高リラ安となった。
3月11日以降の上昇幅に対する半値押しを超える規模の下落となっており、上昇期の下値支持線となる26日移動平均や一目均衡表の26日基準線を割り込んでいること、相対力指数が4月28日にかけての高値更新時にピークが切り下がる弱気逆行が見られたこと、概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルにおける上昇期が一巡しての下落感が強まっていることから、当面は8円の大台を維持できるかどうかを試すところと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)5月12日夜安値8.28円と5月13日午前の戻り高値8.40円を基準として三角持ち合いの様相となっているので当面はこの持ち合いから上下いずれへ抜けるのかを見定めて流れに乗るスタンスで構えたいが、中勢としては戻り売り有利の展開範囲と考える。
(2)5月13日午前高値を上抜けないうちは持ち合い下放れを経過し、8.30円割れからは8.28円試しとし、8.28円を割り込む場合は8.20円台前半(8.25円から8.20円)を試すとみる。下げ足が早まる場合は8.10円台へ向かう可能性もあるとみる。
(3)8.40円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.40円超えからは持ち合い上放れとして8.45円前後を試すとみる。8.45円以上は反落警戒とし、その後に8.35円を割り込むところからは下げ再開で一段安へ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

5月16日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -51.54億ドル、予想 -53.7億ドル)
 17:00 4月 財政収支 (3月 -690億リラ)
5月20日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 67.3)
 20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 グロス (5/6時点 660.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 ネット (5/6時点 149.9億ドル)
 23:30 4月 中央政府債務 (3月 310.9億リラ)
5月23日
 16:00 5月 製造業景況感 (4月 109.7)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 77.8%)
 17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 129.7%)
5月26日
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 94.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高


注:ポイント要約は編集部

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