ドル続落か下値正念場、底割れなら深押しも(5/12夕)

12日の東京市場はドルが弱含み。レンジは決して広くなかったが、「寄り付き高・大引け安」の様相だった。

ドル続落か下値正念場、底割れなら深押しも(5/12夕)

ドル続落か下値正念場、底割れなら深押しも

〇本日のドル円、緩やかな右肩下がりで夕方にかけ129.20前後までじり安推移
〇4日につけた128.62が目先のサポート、しっかり下回ればさらなる下押しも
〇米スタグフレーション懸念が一段のドル買い・円売りを抑制か、ドルの上値は重い状態
〇本日は生産者物価指数や新規失業保険申請件数などの米経済指標に注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは128.20-129.50

<< 東京市場の動き >>

12日の東京市場はドルが弱含み。レンジは決して広くなかったが、「寄り付き高・大引け安」の様相だった。

ドル/円は129.95円レベルで寄り付いたのち、一時的に130円台を回復するも上値は重い。また、流れとしては緩やかな右肩下がりで、夕方に掛けては129.20円前後までじり安推移をたどっていた。日経平均株価が大きく値を下げたほか、時間外取引のNYダウなども冴えず、調整と思しき円買いを支援していたようだ。16時現在ドル/円は日中安値圏の129.25円レベルで推移、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、昨日欧米時間に発表された4月の米消費者物価指数は前年同月比プラス8.3%で、予想を上回る内容に。名実ともに、FRBの大幅利上げを後押しする要因となっていた。そうしたなか、アトランタ連銀総裁は「インフレ率が中立の領域にまで政策金利を引き上げていく」、ダドリー前NY連銀総裁「米金利は5%以上になる可能性も」といった発言が聞かれていた。またセントルイス連銀総裁からは「0.5%利上げの方針が現時点で良好」としつつも、「現時点で0.75%の利上げは必要ない」との追加コメントも聞かれ、後者が一部でクローズアップされていたようだ。

対して後者は、ウクライナにおける戦闘が長期化するとの見通しが様々伝えられるなか、ロイターは「ウクライナが東部で反撃し、ロシア軍は撤退余儀なくされる」と報道。また、米国防長官からは「プーチン氏はNATOとの戦争を望んでいない」とする発言も聞かれていた。予断を許さないものの、だいぶ風向きが変わってきた。一方、そうしたなかタス通信が「ウクライナ南部ヘルソンの親ロシア派当局者が年末までにロシアに編入するようプーチン大統領に要請する計画」と報じており、これをウクライナ大統領が非難。「利敵行為者」の親ロシア派が愚かな発言をしているなどと断じていた。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円の中長期リスクは上向きながら、短期的には逆に、やや下方向へのリスクが高まりつつあるようだ。テクニカルには4日に示現した月間安値128.62円が目先のサポートで、しっかり下回るとさらなる下押しを否定できなくなる。現在はまだ時間調整の範囲内だが、価格的な調整になりかねず、本日はそれを見極めるひとつの正念場だ。
次回FOMCでの利上げ幅見通しに差異はあるものの、米国が利上げに積極的なことは言うまでもない。また、ブルームバーグが「ECB政策委、年内3回の利上げが妥当の見方へ」と報じるなど、主要国では日本の特異性が際立っている。ただ、性急な米利上げの負の部分に着目した動きや、米スタグフレーション懸念なども少しずつ聞かれており、短期的にはそれが一段のドル買い・円売りを抑制しそう。しばらく、ドルの上値は重い状態が続く可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は131.25円と、131.35円でダブルトップを達成した感もあり、本日東京時間などは下値を探る動き。まだ底割れはしていないが、月間安値128.62円を下回ると下げが加速しても不思議はない。ちなみに、128.62円を下回った場合には4月27日安値126.95円が次のサポートとして、まずは意識されそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には、久しく聞かれなかった不動産リスク、「融創中国が猶予期間終了までに利払いできず」と報じられ思惑を呼ぶ「中国情勢」。ここにきて突然「首都平壌でコロナ感染者を確認」などと発表するとともに、全都市へのロックダウンを指示したとされる「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、4月の生産者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表予定で、また米財務省による30年債の入札などにも一応要注意。またバイデン氏も出席するASEAN首脳会議が13日までの日程で開催される予定となっている。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは128.20-129.50円。ドル高・円安方向は129円半ばが弱い抵抗で、抜ければ130円前後を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は128.62円の攻防に注目。割り込むと、一時的にせよ下げが加速する危険性も。

ドル続落か下値正念場、底割れなら深押しも

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る