第3四半期CPIは大幅減速も想定線、11月会合での大幅利下げは既に織り込み済み
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、第3四半期消費者物価指数(CPI)がほぼ想定通りの鈍化となった一方、不安定な中国情勢などが意識されて、やや上値の重い展開となった。
16日に発表された第3四半期CPIは、前年同期比2.2%増加と第2四半期の同3.3%増加から大幅に減速。2021年第1四半期以来3年半ぶりにNZ準備銀行(RBNZ)が目標とするレンジ(1−3%)内に戻った。ほぼ市場予想通りの内容だったことで、NZドルへの影響は限定的。年内最後の11月27日のRBNZ会合での大幅利下げ実施はほぼ想定線として意識されている。
経済的なつながりの深い中国株が引き続き乱高下していることも影響し、隣国の豪ドルも対円では横ばい推移。円の動向が静かだったこともあり、オセアニア通貨は対円では方向感に乏しくなっている。
NZドル・円(東京時間:10月14日―10月18日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 91円06銭
高値: 91円36銭
安値: 90円04銭
終値: 90円91銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
10月16日
6時45分、第3四半期消費者物価指数(前期比)、前回:0.4%、市場予想:0.7%、結果:0.6%
6時45分、第3四半期消費者物価指数(前年比)、前回:3.3%、市場予想:2.2%、結果:2.2%
10月22日
6時45分、9月貿易収支、前回:−22億NZドル
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、9月貿易収支以外、目立った経済指標の発表が予定されていないことから、中国情勢や豪ドルの動向に影響を受けよう。とはいえ、豪経済指標の発表も予定されていないため、オセアニア通貨は中国情勢を睨んだ展開となる。
10月12日、中国財務省が開いた会見では、財政赤字GDP比率の引き上げ、大規模な地方債務再編計画、大手行に資本注入のための特別国債発行、地方債発行で調達した資金を開発業者の未開発土地及び在庫住宅物件の購入に活用することを容認するなどの政策を発表した。
12日の記者会見にて大きな方針を示し、具体的な数字は10月下旬に開催予定の全人代常務委員会での承認後に公表されると想定される。中国政府は財政政策に関して、従来の財政健全化重視から景気対策優先に大きくシフトした。今後、10月末と見込まれる具体的な数字や、11月中旬辺りから発表される10月経済指標のデータなどが中国株の手掛かり材料となろう。そのため、今週末から来週にかけて、中国株はやや利益確定の流れが強まる可能性はあるので注意したい。
日足の一目均衡表では、雲上限が位置する91円34銭手前で推移している。75日移動平均線も上値抵抗として意識されているが、遅行スパンは実線を上回っており、そろそろ上に動き出しそうな状況と言えよう。11月末に0.50%もしくは0.75%の大幅利下げ実施が控えていることから、「大幅利下げ→景気後退入り回避」の機運が強まれば、NZドルの下値模索は回避されると考える。
目先の手掛かり材料に欠けることから今週末から来週にかけてのNZドルは雲上限水準での横ばい推移となりそうだ。次の展開待ちといったところか。
NZドル円日足
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