想定線の0.5%利下げ、第3四半期CPIが景気減速懸念の後退につながるか
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中銀)が0.50%の大幅利下げを実施したが、市場予想通りだったこともあり91円前後でのもみ合いとなった。
RBNZは9日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を50ベーシスポイント(bp)引き下げ、4.75%とした。インフレ率は中銀の目標範囲内に戻っているが、金融政策は依然として引き締め的だとし追加緩和の可能性に含みを持たせた。利下げは2会合連続で、0.5%の大幅利下げは市場予想通り。
RBNZは声明で「委員会は生産、雇用、金利、為替レートの不必要な不安定化を回避しつつ、低水準で安定したインフレを達成・維持するためにOCRを50bp引き下げることが適切との見解で一致した」「ニュージーランド経済は現在、過剰生産能力を抱えた状態にあり、低インフレ経済に合わせた価格・賃金設定を促している。輸入価格の下落がディスインフレを後押ししている」と述べた。市場では、今年最後となる11月27日のRBNZ会合にて、0.5%の利下げを実施し、2025年は経済指標のデータ次第と見込まれている。
9日の大幅利下げ発表後も、NZドルは91円前後でのもみ合いとなった。市場予想通りの利下げに留まったほか、経済的なつながりが深い中国で、上海総合指数、香港ハンセン指数ともに荒い値動きとなっていることなどが影響して、積極的な売買は手控えられた。
NZドル・円(東京時間:10月7日―10月11日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 91円58銭
高値: 91円93銭
安値: 90円07銭
終値: 90円50銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
10月9日
10時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.25%、市場予想:4.75%、結果:4.75%
10月11日
6時30分、9月製造業PMI、前回:46.1、結果:46.9
10月16日
6時45分、第3四半期消費者物価指数(前期比)、前回:0.4%
6時45分、第3四半期消費者物価指数(前年比)、前回:3.3%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、16日に発表される第3四半期消費者物価指数(CPI)のほか、中国当局による景気刺激策発表後の中国株に関心が向かおう。
まずは中国だが、財政大臣が12日に開く会見では、地方政府の資金繰り支援やインフラ投資、消費の底上げ、五大銀行の資本増強などの措置が見込まれている。2−3兆元(42兆円―63兆円)規模との予想もあり、12日の発表内容に注目が集まっている。あまりにも早いピッチで上昇していた中国株が上げ一服となるのは想定線だが、乱高下されると市場の警戒感が高まることから、週明けの中国株は注目だ。14日は東京市場、ニューヨーク市場がともに祝日で休場のため市場参加者は非常に少ない。薄商いが影響して値段が急変する可能性はあるので、乱高下は警戒したい。
一方、ニュージーランド第3四半期CPIは前回比減速が予想されている。7月17日に発表された第2四半期CPIは前年同期比3.3%(前期は4.0%)と3年ぶりの低水準となった。CPIが3%台となるのは2021年第2四半期の3.3%以来で、2022年第2四半期の7.3%をピークに低下している。RBNZは今回の議事要旨で「年間インフレ率が中銀目標である1−3%の範囲内にあり、2%に収束しつつある」と評価しており、第4四半期CPIでの2%台到達が見込まれている。仮に今回の第3四半期CPIで2%台に入ってきた場合、景気減速懸念の後退につながることでNZドルへの支援材料となろう。
日足の一目均衡表では、雲上限が位置する91円34銭手前で推移している。75日移動平均線も上値抵抗として意識されている状況。遅行スパンが実線に隠れていることから数日はもみ合う可能性はあるが、足元下げ止まりを見せたことから90円処は底堅いと考える。中国株の動向を横目に見つつ、ディスインフレ確認を見極める展開を想定する。上値抵抗の雲上限や75日移動平均線を上抜ける地合いか。
NZドル円日足
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