ドル底堅いが、上値は重い展開継続か
〇本日のドル円、方向性に乏しく50ポイント程度の値動き
〇16時現在、日中高値圏148.70レベルで推移
〇本日は米9月生産者物価指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数、要人発言に注目
〇ドル高・円安方向、149円前後の攻防にまず注目
〇ドル安・円高方向、本日東京安値148.30レベルが最初のサポートか
〇ドル円予想レンジ:148.10-149.40
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが底堅い。148円後半を中心とした値動きで、下値が限られた反面、上値も重かった。
ドル/円は148.55-60円で寄り付いたものの、基本的には方向性が乏しい。今週の注目材料だった米消費者物価指数の発表を昨日こなしたこともあり、全般的には手控えムードが強かった。実際値動きは148.40-90円といったもので、わずか50ポイント程度。それでも16時現在ではドルは148.70円レベルと日中高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、昨日発表された9月の米消費者物価指数が、全体そしてコア指数ともに予想を上回る内容に。もちろんこれはドルの支援要因だったが、同時刻に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は逆に悪化。市場はインフレよりも雇用を重視したようで、為替市場はドル売りに傾斜していた。そうしたなか、昨日も米当局者の発言がいくつも観測され、市場の波乱要因に。一例を挙げると、NY連銀総裁は「一段の利下げを実施していくと予想される」、シカゴ連銀総裁は「向こう1年に一連の利下げを実施」、リッチモンド連銀総裁「インフレとの戦いは終わっていない」、アトランタ連銀総裁「11月の利下げ見送りでも問題なし」−−などとなる。強気と弱気が混在する内容で、当局の内部でも意見の集約がいまだなされていない難しい局面にあることが改めて示されたと言えよう。
後者は、国内のハリケーン対応でバイデン米大統領による訪欧が中止に。そのため、当初予定されていた米英など4ヵ国首脳よるウクライナ支援を中心とした協議も延期となったが、代わりにゼレンスキー大統領が積極的な動きを見せ、英仏伊の首脳とそれぞれ個別会談を行ったようだ。そのなかで、「対ロシア侵攻の勝利計画」を説明したのに対し、英仏伊からは防衛装備品の継続的な支援などが約束されたという。また、それとは別にロイターによると、世銀理事会が新たなウクライナ支援基金を承認したとされる。ここ最近はロシアとの戦闘で劣勢とされる報道が目に付く格好だが、英仏などの支援を受け、巻き返すことができるのか注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日もドルはじり高で一時149円半ばを示現し、直近の戻り高値を更新。しかし、そののち軟落に転じ、日足は陰線引けとなっていた。ドルの上値はやはり重く、リスクはドル高方向に高そうだが、150円は近くて遠いというイメージに変化はない。しばらくは147.50-149.50円といったレンジ内での一進一退。次の方向性を探るような動きをたどる可能性もある。
引き続き市場の関心は日米金融政策に。なかでも米の政策が注視されているものの、猫の目のように見方が変わり、なかなか意見の集約ができない。たとえば昨日も、前記したように米消費者物価が良好だったにもかかわらず、敢えて悪かった別の米雇用データに注目し、ドル売りで反応したことは個人的に予想外だった。いずれにしても、今後も発表される米経済指標などに一喜一憂する展開は本日以降も続きそう。一時的にせよ、指標などをうけ上下に大きく振れる動きには注意をしておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクはドル高方向に依然としてバイアスか。しかし、150円に接近する局面では、本邦当局の円安けん制への警戒感などもあり上値が非常に重い。しかし仮に超え、そして当局の対応が思ったよりも「弱ければ」、ドルはさらなる上値を試すといった強気の声も聞かれていた。
対して下値は、基本底堅いイメージ。昨日から本日東京の時間足などをみると、ビッドが少しずつ切りあがり、すでに148円台前半から並び始めているようだ。
本日は米経済指標として、9月の生産者物価指数や10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表されるほか、本日もシカゴ連銀総裁による講演など当局者の発言機会が多い。またJPモルガン・チェースなど、米金融機関の決算発表も一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは148.10-149.40円。ドル高・円安方向は149円前後の攻防にまず注目。しっかり超えれば昨日高値149.58円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の148.30円レベルが最初のサポートか。下回れば148円割れを否定できないが、それでも基本は底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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