ドル円、リスクオフ再燃と米金利低下で大幅下落。約2週間ぶり安値圏へ
〇ドル円、米国時間朝方にかけて約2週間ぶり安値となる127.53まで急落
〇中国経済の失速懸念によるリスク回避の円買い圧力などが背景
〇ユーロドル、地政学的リスクの長期化懸念から約5年4ヵ月ぶり安値1.0354まで急落
〇ドル円、急落したものの強い買いシグナルが点灯、テクニカル的に見て地合いは崩れていないと判断
〇ファンダメンタルズも、日米金融政策の方向性の違いなど、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃う
〇ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:127.50ー129.50
海外時間のレビュー
12日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値129.91まで上値を伸ばすも、心理的節目130.00をバックに伸び悩むと、@中国経済を巡る失速懸念(新型コロナウイルスの感染拡大→ロックダウンなどコロナ対策の長期化懸念)や、A過剰流動性相場の逆流懸念(米FRBによる利上げとバランスシート圧縮の二重引き締め方針→リスクアセットに下押し圧力→米ダウ平均株価は6日続落→市場心理悪化)、B上記@Aを背景としたリスク回避の円買い圧力(クロス円下落→ドル円連れ安)、C米4月生産者物価指数の伸び率鈍化、D米新規失業保険申請件数の冴えない結果、E上記CDを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは5/9に記録した3.20%をトップに昨日は一時2.81%へ急低下)、
Fオプション市場のダウンサイドを織り込む動き(ショートガンマゾーンに到達したため、インプライドボラティリテが高騰すると共に、リスクリバーサルで円コールオーバーが急拡大)が重石となり、米国時間朝方にかけて、4/27以来、約2週間ぶり安値となる127.53まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、急ピッチで下落した反動も相まって持ち直し、本稿執筆時点(日本時間5/13午前6時30分現在)では、128.40前後で推移しております。
12日(木)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0530まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、AフィンランドによるNATO加盟申請の方針発表(フィンランドはロシアと国境を接しているため、ロシア側の反発必至→ロシア・ウクライナ問題に加えて、今後はロシア・フィンランドを巡る地政学的リスクが広がる恐れ)、B世界的なリスクオフ(株式市場の急落→市場心理悪化→資産現金化需要のドル買い圧力)が重石となり、米国時間にかけて、2017年1月以来、約5年4ヵ月ぶり安値となる1.0354まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/13午前6時30分現在)では、1.0383前後まで値を崩す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は一時127.53まで急落するなど、約2週間ぶり安値圏へと値を崩しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えていること(昨日は急落時に一目均衡表基準線に下支えされる形で反発)や、日足・週足・月足の全てで強い買いシグナルが点灯していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていないと判断できます(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られるやや大きめのポジション調整。過去最大規模に積み上がった円ショートのアンワインドが一時的に出ているもので持続性は乏しいと判断)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(米FRBによる連続利上げ+バランスシート圧縮方針は変わらず)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(指値オペ常設化を通じた長期金利の抑制方針と円安容認スタンスの組み合わせ)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C資源価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(構造的な円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています(リスクオフの局面では、「円買い」のみならず「ドル買い」も強まることから、ドル円相場の一方向の下落は想定できず→一巡後に反発に転じる公算大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は米5月消費者信頼感指数や、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言、クリーブランド連銀メスター総裁発言などに注目。米長期金利と米主要株価指数を睨みながらのボラタイルな相場展開の継続を想定)。
本日の予想レンジ:127.50ー129.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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