トルコリラ円見通し 5日続落、持ち合い下放れから下げ足早まる(22/5/11)

トルコ4月CPI上ブレによりリラ売りが勢い付き始め、9日に8.60円まで下落し持ち合い下放れに入り、10日も8.50円へ安値を切り下げ、5月4日から5日間の続落となった。

トルコリラ円見通し 5日続落、持ち合い下放れから下げ足早まる(22/5/11)

トルコリラ円見通し 5日続落、持ち合い下放れから下げ足早まる

〇トルコリラ円、5/10安値8.50、持ち合い下放れから安値切り下げ5日間続落
〇対ドル、5/11早朝終値15.25、15リラの防衛ライン決壊、新興国通貨安の中リラ安加速
〇トルコ3月失業率11.5%へ悪化、情勢やインフレ高進で更なる悪化懸念
〇次回5/26中銀会合へ向け、利上げ催促的リラ売り進む可能性も
〇8.55から8.58にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる
〇8.55以下での推移中は下向きとし、8.47割れからは8.45前後を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の5月10日は8.65円から8.50円の取引レンジ、11日早朝の終値は8.54円で前日終値の8.62円からは0.08円の円高リラ安となった。
3月11日安値7.76円を起点として上昇してきたものの4月28日高値8.87円で頭打ちとなり、4月30日未明安値8.70円まで下げた後は8.70円前後を下値支持線として8.80円前後を上値抵抗線としたボックス型の持ち合いだったが、5月5日のトルコ4月CPIの上ブレによりリラ売りが勢い付き始め、5月9日には8.60円まで下落して持ち合い下放れに入り、10日も8.50円へ安値を切り下げ、終値ベースでは5月4日から5日間の続落となった。
5月11日午前序盤には8.50円を若干割り込んで安値切り下げが続いている。

【15リラの堤防決壊でリラ安が加速】

ドル/トルコリラの5月10日は15.29リラから14.98リラの取引レンジ、11日早朝の終値は15.25リラで前日終値の15.08リラからは0.17リラのドル高リラ安となった。
昨年9月から12月までのトルコ中銀による4会合連続利下げを背景に12月20日に18.36リラへ暴落し、リラ預金保護政策発表で12月23日に10.06リラまでいったん急反騰したものの、その後は揺れ返しのリラ安となり1月から2月までは14リラを抵抗線として横ばい推移が続き、3月11日に15.00リラへ下落した後は新たな安値更新を回避していたため、15リラがトルコ中銀による防衛ラインと受け止められてきたが、5月9日に15リラを超えたことでブレーキが効かなくなり10日もリラ売り攻勢が続いた印象だ。

米連銀等による金融引き締めが新興国通貨安を招く背景となっているものの、5月10日はドル高も一服しているところでもリラ安が加速したことは、新興国通貨の中でも高インフレに対して利上げで対抗できない弱い通貨としてリラ売りが勢い付いていることを示している。
トルコ中銀と銀行調整監視機構(BDDK)は国内金融機関に対して為替取引を流動性の高い午前10時から午後4時までに行うように要請を出したと報じられている。流動性の低い時間帯でリラ安が進行することを規制しようとする動きと思われる。

【トルコの3月失業率は11.5%へ悪化】

5月10日16時発表のトルコ3月失業率は11.5%となり2月の11.1%(速報の10.7%から修正)から悪化した。パンデミック発生から2020年4月に14.4%へ悪化した後は徐々に改善し、昨年4月に13.8%まで再び悪化したところから再び低下傾向となり、昨年9月以降は11%台序盤までの範囲内での推移だったがこの範囲を超えて昨年8月以来の高水準となった。
まだ11%台での落ち着いた範囲内ともいえるが、ウクライナ戦争とロシア制裁の影響、インフレが一段と高進していることでの製造業のセンチメント悪化等を踏まえると、4月にはさらに悪化しかねない状況と思われる。
エルドアン大統領にとっては来年6月の大統領選挙での再選を目指すためには低迷中の支持率改善が必要であり、高インフレを放置して利下げを断行した後も利上げできないことに批判も高まってきている。今後の経済指標が悪化してくるようだと5月26日の次回トルコ中銀金融政策決定会合へ向けた利上げ催促的なリラ売りが進みやすくなり、リラ安がインフレをさらに悪化させるのではないかと懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月30日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、5月6日夜安値から9日午後高値へ戻した後の急落で底割れしたために、10日午前時点では5月9日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定した。
5月11日午前へ続落しているので引き続きボトム形成中とし、現時点からの強気転換には8.60円を超えるような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、5月9日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開と考える。

60分足の相対力指数は30ポイントを挟んで低水準での揉み合い状態となっているため、40ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは20ポイント前後を何度か試しながら安値更新を続けやすい状況と思われる。強気転換には50ポイントにいったん到達する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.47円を下値支持線、8.58円を上値抵抗線とみる。
(2)8.55円から8.58円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)8.55円以下での推移中は下向きとし、8.47円割れからは8.45円前後を試すとみる。8.45円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.40円台序盤(8.43円から8.40円)へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

5月11日
 23:30 4月 財務省現金残高 前月比 (3月 -406.1億リラ)
5月12日
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 グロス (4/29時点 654.0億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 ネット (4/29時点 170.1億ドル)
5月13日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 4.4%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 13.3%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.5%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 6.2%)
5月16日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -51.54億ドル)
 17:00 4月 財政収支 (3月 -690億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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