トルコリラ円見通し 続落6日目、3月11日からの上昇一巡による調整局面(22/5/12)

トルコリラ円の5月11日は8.55円から8.45円の取引レンジ、12日早朝の終値は8.48円で前日終値の8.54円から0.06円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 続落6日目、3月11日からの上昇一巡による調整局面(22/5/12)

続落6日目、3月11日からの上昇一巡による調整局面

〇11日夜の米CPI発表から為替市場全般乱高下、ドル円急伸でトルコリラ円も8.53まで戻す
〇ドル円の反騰続かずトルコリラ円も8.45へ下落、安値更新回避も8.50序盤では売られ上値重い
〇対ドルでは11日夕刻に15.38へ下落した後は下げ一服、米CPIへの反応はおとなしく安値圏にとどまる
〇3/11安値を基準に次の安値形成期は6月前半から7月の間と想定、安値試し続けやすい状況
〇ドル/トルコリラの動向、14リラと15リラ突破で1ドル16リラへと防衛ライン下がっている可能性も
〇8.45割れからは8.40台序盤を試すとみる、8.40以下は反騰注意
〇8.57超えからはいったん戻しに入るとみて8.60台序盤への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の5月11日は8.55円から8.45円の取引レンジ、12日早朝の終値は8.48円で前日終値の8.54円から0.06円の円高リラ安となった。
5月11日夜の米4月消費者物価上昇率発表から為替市場全般が乱高下となり、発表直後のドル高局面でドル円が急伸したことでトルコリラ円も直前安値8.45円から8.53円まで戻したものの、ドル円の反騰は続かずに12日未明にかけて上げ幅を解消してさらに一段安となったために8.45円へ再び下落した。新たな安値更新は回避したものの8.50円台序盤では売られて上値の重い展開となっている。

【15リラの堤防決壊でリラ安が加速】

ドル/トルコリラの5月11日は15.38リラから15.23リラの取引レンジ、12日早朝の終値は15.30リラで前日終値の15.25リラからは0.05リラのドル高リラ安となった。
3月11日に15.00リラへ下落した後は新たな安値更新を回避していたため、15リラがトルコ中銀による防衛ラインと受け止められてきたが、5月5日発表の4月トルコ消費者物価上昇率が予想を超えたことでリラ売りが勢い付き始め、5月9日に15リラを突破したことでリラ売り攻勢がかかっている印象だ。11日は夕刻に15.38リラへ下落した後は下げ一服となり、夜の米CPI発表からの反応は比較的おとなしかったが安値圏にとどまっている。

【3〜4か月周期の下落期入り】

トルコリラ円は概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルで推移しており、直近では昨年12月20日の史上最安値をつけたところから3か月弱となる3月11日安値でボトムを付けて上昇期に入った。ドル円の歴史的な上昇に押し上げられてきたが、4月28日にドル円が131円台到達まで高値を伸ばしたところで8.87円へ上昇したが頭打ちとなり、4月30日未明安値8.70円まで反落してから下げ渋りの持ち合いとなっていたものの、5月9日に8.70円を割り込んで持ち合い下放れに入った。
このため、概ね3か月から4か月周期のサイクルにおける直近のサイクルトップを4月28日高値で付けて下落期入りしている可能性が考えられる。次の安値形成期は3月11日安値を基準として6月前半から7月にかけての間と想定されるので、4月28日高値を上抜き返すような上昇とならないうちは下落期の継続として安値試しを続けやすい状況と考える。

トルコ中銀及びエルドアン政権としてはリラ安が再燃することで自国のインフレがさらに悪化し、エルドアン大統領の支持率低下を招くことも懸念されるので公然または非公然での市場介入でリラ安に歯止めをかけたいところだが、昨年末からのドル/トルコリラの動向をみると、1ドル14リラが最初の防衛ライン、15リラが次の防衛ラインと設定されつついずれも突破されていることで、1ドル16リラへと防衛ラインが下がっている可能性も考えられる。
ドル円も5月9日に4月28日高値をわずかに超えたものの失速しており、131円台では市場の高値警戒感も大きい印象だ。日銀の金融緩和政策維持を背景に先行きはさらに円安容認水準を試す流れとみるが、当面は131円台序盤で売られて128円台では買い戻されるような持ち合い推移につかまりやすいところと思われ、トルコリラ円への押し上げ効果もいったん後退していると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月30日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、5月6日夜安値から9日午後高値へ戻した後の急落で底割れしたために、10日午前時点では5月9日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定した。
5月11日夜へ続落した後も安値圏にとどまっているので引き続きボトム形成中とし、現時点からの強気転換には8.57円を超えるような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、5月9日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンへ潜り込めないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開と考える。先行スパンへ潜り込んで先行スパン上限へ迫る場合は上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11日午前の20ポイントからジリ高の推移で相場の一段安と逆行しているので55ポイントを超えるところからは上昇再開の可能性を優先するが、50ポイントに届かないか一時的に超えても維持できないうちは40ポイント割れから下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.45円を下値支持線、8.57円を上値抵抗線とみる。
(2)8.53円から8.57円手前にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。8.45円割れからは8.40円台序盤(8.43円から8.40円)を試すとみる。8.40円以下は反騰注意とするが、8.50円以下での推移なら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.57円超えからはいったん戻しに入るとみて8.60円台序盤(8.60円から8.63円)への上昇を想定する。8.63円以上は反落注意とするが、8.57円を超えた後も8.53円以上での推移なら13日は高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月12日
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 グロス (4/29時点 654.0億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 ネット (4/29時点 170.1億ドル)
5月13日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 4.4%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 13.3%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.5%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 6.2%)
5月16日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -51.54億ドル)
 17:00 4月 財政収支 (3月 -690億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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