ドル円見通し 二度目の131円台到達でドル高一服感、11日夜の米CPI発表控えて小動き(22/5/11)

130円割れは買われるものの、米長期債利回り上昇に一服感が出ていることと11日夜の米CPI発表を控えての慎重さから動きが鈍っている状況だ。

ドル円見通し 二度目の131円台到達でドル高一服感、11日夜の米CPI発表控えて小動き(22/5/11)

ドル円見通し 二度目の131円台到達でドル高一服感、11日夜の米CPI発表控えて小動き

〇ドル円、5/9午後131.34到達するが 5/10午前129.79へ反落、戻り130円台前半にとどまる
〇NYダウ一時反騰するも4日続落、株安が債券買い招き米長期債利回り上昇一服感に寄与
〇バイデン大統領、5/10演説で米連銀利上げ支持、引き締めに反応し市場調整局面入り
〇今晩発表の米4月CPI、市場予想は伸び鈍化、発表後ドル高加速の有無に注目
〇本日はラガルドECB総裁講演も予定、マイナス金利からの脱却姿勢示されるか
〇130.75以下での推移中は一段安余地ありとし、129.79割れからは129円台前半を試すとみる
〇130.90超えからは上昇再開の可能性を優先して、5/9午後高値131.34試しとみる

【概況】

ドル円は5月9日午後に131.34円へ上昇して4月28日の日銀金融緩和継続決定後の上昇でつけた131.24円を超えたが、二度目の131円台到達に対する高値警戒感と米長期債利回りが低下したことで10日午前には129.79円へ反落、午後に130.54円まで戻してから10日夜に129.86円へ反落し、その後の戻りも130円台前半にとどまっている。
130円割れは買われるものの、米長期債利回り上昇に一服感が出ていることと11日夜の米CPI発表を控えての慎重さから動きが鈍っている状況だ。

【NYダウは一時反騰するも4日続落】

5月10日のNYダウは前日比84.96ドル安と下落した。5月5日の前日比1063.09ドル安から9日の同653.67ドル安へと3日間で1800ドルを超える下落となったことで値ごろ買いから一時は500ドル高を超える反発となったもののマイナス圏まで押し返された。ナスダック総合指数は前日比114.42ポイント高と上昇したが、高値からは200ポイントを超える反落で日足は陰線に終わっている。
中国の感染拡大と上海等におけるロックダウン長期化、ロシア制裁による欧州経済への悪影響、米連銀の金融引き締めによる米景気鈍化への懸念が株式市場全般の調整局面入りを招いており、ダウは1月5日の史上最高値を起点とした下落が長引いている。
株安が債券買いを招くことで米長期債利回りの上昇一服に寄与しているところもある。

【米10年債利回りは続落】

5月10日の米10年債利回りは前日比0.04%低下の3.00%で終了した。5月9日に3.20%へ上昇して昨年来の高値を更新して2018年11月以来の高値水準に達したところから下落に転じたが、10日は一時2.94%まで下げてからやや戻している。4月20日の2.98%から4月26日の2.72%へと低下したところから一段高したように、調整を入れつつ上昇基調を継続してゆくのではないかとみられるが、米連銀による大幅利上げ継続姿勢に対するやや過剰反応もみられるところのため、今晩の米4月CPIが市場予想通りに3月からの伸びが鈍化するのかどうか見定めたいところだ。
30年債利回りは0.02%低下の3.13%、2年債利回りは0.02%低下の2.62%だった。

【バイデン大統領、米連銀利上げを支持】

5月10日にバイデン米大統領はホワイトハウスにおいてインフレ対策に関する演説を行い、「米連銀がインフレ対策の責務を果たすべき」と述べ、米連銀による利上げを支持する姿勢を示した。大統領は昨年11月にパウエル米連銀議長を再指名する際にインフレ対策が最重要と指摘し、パウエル議長もそれまでのややハト派的な姿勢からインフレ対策へ向けてタカ派へとシフトし始めたのだが、今年3月の利上げに続いて5月に0.50%の利上げを決定し、6月と7月にも0.50%ずつの利上げを検討する姿勢を示したことで株式市場は金融引き締めによる景気減速を意識して調整局面入りしている。
利上げに対して米国株式市場が下落反応することを米連銀も気にするところだが、バイデン大統領による利上げ支持発言がパウエル議長の背中を押すことになると思われる。
米クリーブランド連銀のメスター総裁は10日に「現段階では0.50%利上げが適切」としたが0.75%利上げについては「永遠に排除することはない」とも述べて必要に応じて利上げペースがさらに加速する可能性を示唆した。

【今晩はECB総裁講演と米CPIに注目】

今晩はラガルド欧州中銀総裁の講演、米4月CPIの発表がある。金融引き締め姿勢で出遅れ感のあるECBだが、最近は域内各国中銀総裁による7月からの利上げ支持発言が相次いでおり、ECBもマイナス金利からの脱却を目指す姿勢を示してくるのではないかと思われる。
米4月CPIに対する市場予想は前月比が0.2%上昇で3月の1.2%から伸びが鈍化し、前年比も3月の8.5%から8.1%へと低下する見込みとなっている。原油相場が3月序盤の急騰一巡後に下落しており、10日も4月後半からの上昇一巡で100ドル割れへと売られ、小麦も3月序盤の急騰一服で高止まりしつつも落ち着いた動きとなっている他、ゴールドも3月序盤に2000ドルに到達したところから1800ドル台前半へ失速するなど、国際商品市場には落ち着きもみられる。CPI発表後にドル高が加速するか、いったん緩むのか、試されるところと注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月5日未明のFOMC声明発表直後につけた安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、5月9日午後高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りした。ボトム形成期は5月10日未明から12日未明にかけての間と想定されるので反騰注意期にあり、10日の午前と夜に130円を割り込んだところは買われているのですでにボトムをつけた可能性もあるが、戻りはまだ鈍いため130.90円を超えないうちはもう一段安余地ありとし、130.90円超えからは5月9日高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして12日午後から16日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月10日午前安値の後は揉み合いのために遅行スパンは実線と交錯に入って好転しやすい位置にあるが先行スパンから転落した状況のままとなっている。先行スパンを上抜けないうちはもう一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜くところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月10日午前の30ポイント台から11日早朝に50ポイント台回復へ戻したが勢いに欠ける。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、60ポイント超えへ進めないうちは40ポイント割れからの一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月10日午前安値129.79円を下値支持線、130.75円を上値抵抗線とする。
(2)130.75円以下での推移中は一段安余地ありとし、129.79円割れからは129円台前半(129.50円から129.00円)を試すとみる。129.30円以下は反騰注意とするが、130.50円以下での推移なら12日の日中も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)130.75円から130.90円手前では戻り売りにつかまりやすいとみるが、130.90円超えからは上昇再開の可能性を優先して5月9日午後高値131.34円試しとし、高値更新からは132円台を目指す流れとみる。また131円台へ到達した後も130.70円以上での推移なら12日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/11(水)
10:30 (中) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 1.5%、予想 1.8%)
10:30 (中) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 8.3%、予想 7.7%)
14:00 (日) 3月 景気先行指数速報値 (2月 100.0、予想 100.9)
14:00 (日) 3月 景気一致指数速報値 (2月 96.8、予想 97.0)
15:00 (独) 4月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (独) 4月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 7.4%、予想 7.4%)
16:15 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
17:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演

21:30 (米) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 1.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 8.5%、予想 8.1%)
21:30 (米) 4月 消費者物価コア指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 6.5%、予想 6.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 () 4月 財政収支 (3月 -1927億ドル、予想 2260億ドル)

5/12(木)
バイデン米大統領、ASEAN首脳とサミット(5/13まで、ワシントン)
G7外相会合(5/14まで、独ワイセンハウス)
岸田首相、フォンデアライエン欧州委員長等と会談
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合(4月27-28日分)主な意見
08:50 (日) 3月 経常収支・季調前 (2月 1兆6483億円、予想 1兆7500億円)
08:50 (日) 3月 経常収支・季調済 (2月 5166億円、予想 6282億円)
08:50 (日) 3月 貿易収支・国際収支ベース (2月 -1768億円、予想 1070億円)
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー現状判断 (3月 47.8、予想 51.0)
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー先行判断 (3月 50.1、予想 51.0)

15:00 (英) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 1.3%、予想 1.0%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 6.6%、予想 8.9%)
15:00 (英) 3月 月次GDP 前月比 (2月 0.1%、予想 0.0%)
15:00 (英) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 -0.6%、予想 0.0%)
15:00 (英) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 1.6%、予想 0.6%)
15:00 (英) 3月 貿易収支・物品 (2月 -205.94億ポンド、予想 -185.00億ポンド)
15:00 (英) 3月 貿易収支・全体 (2月 -92.61億ポンド、予想 -79.00億ポンド)

21:30 (米) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 1.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 11.2%、予想 10.7%)
21:30 (米) 4月 生産者物価コア指数 前月比 (3月 1.0%、予想 0.6%)
21:30 (米) 4月 生産者物価コア指数 前年同月比 (3月 9.2%、予想 8.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.0万件、予想 19.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 138.4万人、予想 136.0万人)
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 6.50%、予想 7.00%)
29:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会


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