トルコリラ円見通し ドル円が高値更新後に反落、ドル高リラ安進行で4日続落
〇トルコリラ円、ドル円が高値更新後に反落したことを受け5/10早朝に8.61まで大幅下落、4日続落
〇対ドル、5/9は15.12〜14.80の取引レンジ、株安・原油安で資源/新興国通貨売り目立つ中リラ安進行
〇対円、8.70前後〜8.80前後レンジのボックス型持ち合いだったが、5/9に8.70を割り込み下放れる
〇8.65から8.67にかけてのゾーンは、戻り売りにつかまりやすいとみる
〇8.65以下での推移中は下向きとして、8.60割れからは8.50台中盤を試すとみる
【概況】
トルコリラ円の5月9日は8.77円から8.61円の取引レンジ、10日早朝の終値は8.62円で先週末終値8.73円からは0.11円の円高リラ安となった。
ドル円の歴史的な大上昇に押し上げられてトルコリラ円は3月11日安値7.76円を起点として上昇基調に入り4月28日高値で8.87円まで高値を切り上げてきたが、ドル円の上昇が継続する一方でドル高リラ安が進んだために新たな高値更新へ進めなくなり、5月4日から6日まで3日間の続落となっていた。
5月9日はドル円が午後に131.34円をつけて4月28日高値131.24円を超えて昨年1月底102.57円以降の最高値を更新したが、米長期債利回りが低下に転じたことで深夜には130.10円へ失速、対ドルでのリラ安も継続したために10日早朝には8.61円まで大幅下落となり、4月30日未明以降の8.70円前後を下値支持線とした持ち合いから下放れとなり、4日続落となった。
【新興国通貨売りでドル高リラ安が加速】
ドル/トルコリラの5月9日は15.12リラから14.80リラの取引レンジ、10日早朝の終値は15.08リラで先週末終値の14.95リラからは0.13リラのドル高リラ安となった。
5月9日夕刻にロシアの対独戦勝記念日におけるプーチン大統領演説があり、市場が懸念していた正式な宣戦布告や徴兵を強化する総動員体制の宣言等は見送られたため、戦争拡大リスクがやや後退したとしてドル高が緩む場面もあったが、中国の感染拡大と上海のロックダウン長期化、ロシア制裁による欧州景気への悪影響、金融引き締めによる米国株安等から為替市場全般のドル高基調は継続し、特に9日は株安と同調した原油安により資源通貨や新興国通貨売りが目立つ中で対ドルでのリラ安も進行した。
昨年12月の史上最安値をつけた後の乱高下から再びリラ安基調での推移に入り、3月11日に15.00リラをつけた後は新たな安値更新を回避していたが、5月9日の下落で安値を更新したことで支持線破壊となりリラ売りが勢い付き始めた印象だ。
【持ち合い下放れ】
トルコリラ円は4月28日高値8.87円から4月30日未明安値8.70円まで下げた後は8.73円を中心として8.70円前後から8.80円前後までのレンジによるボックス型持ち合いを形成してきたが、5月9日の急落で8.70円を割り込み持ち合い下放れに入った。
ドル円の歴史的上昇と同調してトルコリラ円も3月11日から上昇してきたが、4月28日高値で行き詰まり、その後の持ち合いからも下放れてきたため、3月11日安値を起点とした上昇が一巡して下落期に入ってきた印象だ。ドル円の中長期的な上昇基調は継続すると思われるが、ドル高リラ安が円安による押し上げ効果に勝る場合、ドル高リラ安が継続する中でドル円の反落が重なる場合はトルコリラ円も下げ足を速めやすくなる。
トルコリラ円は概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルで推移しており、昨年12月20日安値から3か月弱の今年3月11日安値で前回のサイクルボトムをつけているため、4月20日高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと仮定すれば、次のボトム形成期となる6月中旬から7月序盤にかけての間へ下落継続しやすくなると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月30日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、5月6日午前時点では5月5日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとし、5月5日夕安値で既にサイクルボトムを付けた可能性があるとした。
5月6日夜に5月5日夕安値を割り込んだが4月30日未明安値割れを回避していったん9日午後へ戻し、その後の急落で底割れしているため、5月9日午後高値で直近のサイクルトップを付けて新たな弱気サイクルに入ったと思われる。直前のボトムを5月6日夜安値へ改めて、次のボトム形成期を11日夜から13日夜にかけての間と想定する。現時点からの強気転換には8.70円を超えるような反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では、5月9日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンに対してはいったん潜り込んでから再び転落となり、両スパン共に実線と大幅に乖離している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても今後に下降してくる先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開と考える。
60分足の相対力指数は5月9日午後に60ポイントをつけたところからの急落で20ポイント台へ低下している。40ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、強気転換には50ポイントにいったん到達する反騰が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.60円を下値支持線、8.67円を上値抵抗線とみる。
(2)8.65円から8.67円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)8.65円以下での推移中は下向きとして8.60円割れからは8.50円台中盤(8.57円から8.53円)を試すとみる。8.55円以下は反騰注意とするが、8.65円以下での推移が続くうちは11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月10日
16:00 3月 失業率 (2月 10.7%)
5月11日
23:30 4月 財務省現金残高 前月比 (3月 -406.1億リラ
5月12日
20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 グロス (4/29時点 654.0億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 ネット (4/29時点 170.1億ドル)
5月13日
16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 4.4%)
16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 13.3%)
16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.5%)
16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 6.2%)
5月16日
16:00 3月 経常収支 (2月 -51.54億ドル)
17:00 4月 財政収支 (3月 -690億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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