トルコリラ円見通し ドル円は反騰するもドル高リラ安も続き膠着状態に(22/5/6)

トルコリラ円の5月5日は8.80円から8.72円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.75円で前日終値と変わらず。

トルコリラ円見通し ドル円は反騰するもドル高リラ安も続き膠着状態に(22/5/6)

トルコリラ円見通し ドル円は反騰するもドル高リラ安も続き膠着状態に

〇トルコリラ円、5/5未明米FOMC直後8.72へ急落、その後ドル売り一巡でドル円戻し5/5朝8.80まで反発
〇5/5夕刻トルコCPIが市場予想を超える上昇率となったことでのドル高リラ安に圧され、8.72へ反落
〇対ドル、5/5未明のFOMC直後のドル安反応により5/5早朝14.70へ続伸、その後14.74を挟んで揉み合い
〇ドル売り一巡でドル高がぶり返す中トルコCPI発表からリラ売りが加速、FOMC前の水準を割り込む急落
〇昨日発表の消費者物価上昇率は伸び加速、イスタンブール小売価格指数も大幅上昇、高インフレ収まらず
〇8.75以上での推移中は上向きとし、8.81超えからは8.85前後を目指すとみる
〇8.75以下での推移中は下向きとし、8.72割れからは持ち合い下放れに入り8.65前後への下落を想定する

【概況】

5月2日から5月4日はトルコの砂糖祭で1か月のラマダン(断食月)明けの3日間開催される連休のためトルコ市場は休場だった。
トルコリラ円の5月5日は8.80円から8.72円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.75円で前日終値と変わらず。
5月5日未明の米FOMCによる0.50%の利上げ決定直後、当面のドル買い材料一巡感でドル全面安となる中、ドル円の急落と同調して8.81円から8.72円へ急落、その後はドル売り一巡でドル円が戻したことで5日朝には8.80円まで反発した。5日の日中はドル円が戻しに入る中、トルコリラ円は夕刻のトルコCPIが市場予想を超える上昇率となったことでのドル高リラ安に圧されて8.72円へ反落、5日深夜にかけてはドル円の続伸に押し上げられたものの8.78円までの戻りにとどまった。

【FOMC後のドル売り一巡でドル全面高、加えてトルコのインフレ進行でリラ売り再燃】

ドル/トルコリラの5月5日は14.89リラから14.72リラの取引レンジ、6日早朝の終値は14.85リラで前日終値の14.73リラからは0.12リラのドル高リラ安だった。
4月13日高値14.55リラから5月2日安値14.92リラまでドル高リラ安での推移が続いてきたが、5月3-4日開催の米FOMCを前にしてのポジション調整でドル高が緩んでリラの買い戻し優勢となり5月3日深夜に14.80リラへ反発、4日の日中もリラ買いの流れを続けて4日夜には14.76リラへ高値を切り上げた。
5月5日未明の米FOMC政策発表後のドル安反応により5日早朝には14.70リラへ続伸、リラの買い戻し一服の後は14.74リラを挟んでの揉み合いとなっていたが、FOMC直後のドル売りが一巡してドル高がぶり返す中、夕刻のトルコCPI発表からインフレ深刻化とリラの弱さが再認識されてリラ売りが加速したためにFOMC前の水準を割り込む急落となり、5月2日安値14.92リラへ迫っている。

【トルコの高インフレ収まらず、CPIコア指数も50%超え】

5月5日16時にトルコ統計局の発表した4月の消費者物価上昇率は全体の前月比が7.25%となり3月の5.46%から伸びが加速して市場予想の6.00%を上回った。前年同月比では69.97%となり3月の61.14%から伸びが加速、市場予想の68.00%も上回り2002年2月の73.1%以来20年ぶりの高水準となった。食料品やエネルギー等を除くコア指数の上昇率は前月で4.5%となり3月の4.4%を上回り、前年同月比は52.4%で3月の48.4%を上回った。
消費者物価のうち、輸送は前年同月比105.86%、食料品とアルコール外飲料が89.10%、生活雑貨が77.64%だったが、食料品類は前月比でも13.38%の急騰となった。
4月の生産者物価上昇率は前月比7.67%となり3月の9.19%からは伸びが若干鈍化したものの前年同月比は121.82%となり3月の114.97%を大幅に上回って統計の遡れる1995年3月の144.33%以来27年ぶりの高水準となった。このうち電気ガス料金は247.50%、原油と天然ガスが243.52%、石油製品が249.55%と高騰している。

トルコリラ円見通し ドル円は反騰するもドル高リラ安も続き膠着状態に

4月のイスタンブール小売価格指数の前月比は11.36%で3月の6.29%から大幅に上昇した。1月に13.8%まで加速したところから2月に4.40%までいったん落ち着いたが再び急上昇となっている。
5月5日に発表された4月のイスタンブール製造業景況指数は49.2となり3月の49.4から悪化、2か月連続で強弱目安の50を割り込んだ。インフレとウクライナ戦争及びロシア制裁による製造業への影響も続いている。

NY原油が5月4日に前日比5.40ドル高と上昇、5日は111.37ドルまで高値を伸ばした。ウクライナ戦争勃発と欧米のロシア制裁拡大により3月7日に130.50ドルまで急伸した後は戻り高値を切り下げつつ3月15日と4月11日に90ドル台序盤まで下げたものの、4月25日からは底上げをして4月18日高値を超えて高値切り上げに入っており、3月7日からの三角持ち合いを脱却してきた印象がある。EUのロシア産禁輸方針決定が今後の世界規模での資源エネルギー需給逼迫を悪化しかねず、エネルギー価格高騰によるトルコのインフレ進行もまだ続きかねない状況だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月28日夜高値からの急落調整が4月30日未明安値でいったん落ち着いたため、4月30日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、5月5日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は5日未明から9日朝にかけての間と想定されるので5月5日夕安値でボトムを付けた可能性があり、5月5日未明安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとなる可能性が考えられる。
このため、5月5日夕安値8.72円割れを回避するうちは10日から12日にかけての間への上昇余地ありとするが、5日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして10日午後から12日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月30日未明以降は8.80円前後から8.72円前後までのボックス型持ち合いの様相のため先行スパン及び遅行スパンが実線との交錯を繰り返して方向感に欠ける。両スパンそろって好転中は高値試し優先とするが、5月6日夕安値を割り込む場合は持ち合い下放れに入るので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月5日未明に30ポイントへ急落した後はやや持ち直して50ポイントを挟んで揉み合いとなっている。60ポイント超えからは上昇が勢い付く可能性があるものの、40ポイント割れからは下げ再開を優先して30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.72円を下値支持線、8.81円を上値抵抗線とする。
(2)8.75円以上での推移中は上向きとし、8.81円超えからは8.85円前後を目指すとみる。8.85円以上は反落注意とするが、8.75円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)8.75円以下での推移中は下向きとし、8.72円割れからは持ち合い下放れに入るため8.65円前後への下落を想定する。8.65円以下は反騰注意とするが、8.72円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月10日
 16:00 3月 失業率 (2月 10.7%)
5月11日
 23:30 4月 財務省現金残高 前月比 (3月 -406.1億リラ
5月12日
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 グロス (4/29時点 654.0億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 5/6時点 ネット (4/29時点 170.1億ドル)
5月13日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 4.4%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 13.3%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.5%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 6.2%)
5月16日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -51.54億ドル)
 17:00 4月 財政収支 (3月 -690億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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