ドル円見通し FOMC直後の急落を解消、歴史的上昇基調の継続(22/5/6)

米長期債利回りが再び上昇に転じると5日夜には130円台を回復、130.55円まで高値を切り上げてFOMC直後の下落幅を解消、その後も130円台を維持している。

ドル円見通し FOMC直後の急落を解消、歴史的上昇基調の継続(22/5/6)

ドル円見通し FOMC直後の急落を解消、歴史的上昇基調の継続

〇ドル円、5/5未明のFOMC直後130.37から128.61まで急落、その後短期的な売り一巡で買い戻し優勢に
〇米長期債利回りが再び上昇、5/5夜130円台を回復、130.55まで上昇しFOMC直後の下落幅解消
〇米FOMCは予想通りの0.50%利上げ、米連銀議長は0.75%利上げは積極的に検討していない旨の発言
〇NYダウは一時下げ幅1300ドル安を超える急落、米10年債利回りは2018年11月以来の高水準
〇129.50以上での推移中は上向きとし、130.55超えからは4/28夜高値131.24を試す流れとみる
〇129.50割れからは、5/5未明安値128.61試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は4月28日の日銀金融政策決定会合がマイナス金利の維持、金融緩和政策の継続、毎営業日の指値オペによる長期金利抑制を決定したことから4月28日深夜に131.24円を付けて昨年1月底102.57円以降の最高値を更新、2002年4月以来の131円台到達となり、その後は当面の円売り材料消化として4月30日未明安値129.30円まで2円近い下落を入れた。5月2日から4日夜にかけては130.00円を挟んで揉み合いながら5月5日未明の米連銀FOMC待ちとなっていた。
FOMCによる0.50%利上げ決定とパウエル米連銀議長による0.75%利上げは想定していない旨の発言をきっかけにいったんドル買い材料一巡としてドル全面安となる中でFOMC直後には130.37円から128.61円まで1.76円の急落となった。4月28日夜高値からは2.63円の下げ幅となったが、短期的な売りが一巡すると買い戻し優勢となり、米長期債利回りが再び上昇に転じると5日夜には130円台を回復、130.55円まで高値を切り上げてFOMC直後の下落幅を解消、その後も130円台を維持している。

【米FOMC 予想通りの0.50%利上げ】

米連銀(FRB)は5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利を0.50%引き上げて年0.75〜1.00%とした。通常は0.25%ずつの利上げだが今回はインフレ進行への抑制として通常の倍の規模となる0.50%の大幅利上げとなったが、0.50%利上げは2000年5月以来22年ぶりとなる。量的金融緩和で凡そ9兆ドルに膨れ上がった保有資産については6月から毎月475億ドル縮小し、9月以降は月950億ドルずつ縮小するとした。当面は国債300億ドル、MBS(不動産担保ローン証券)175億ドルを削減し、9月以降は国債600億ドル、MBS350億ドルを削減してゆくとした。
パウエル米連銀議長は会見で「今後2会合において0.50%の追加利上げを検討する」としたが、「0.75%の利上げについては積極的に検討していない」とした。

FOMCの声明・議長会見直後、為替市場はドル全面安の様相となったが、その流れは続かずに5日夜にかけては米長期債利回り上昇再開と呼応してドル全面高へとぶり返している。パウエル米連銀議長が0.75%の利上げを考えていない姿勢を示したことでのドル買い材料一巡感は一時的なものとなり、今後のインフレ動向次第では0.75%利上げも検討されかねないと市場は改めて認識したということだろう。

【米株式市場は乱高下、米10年債利回りは2018年11月以来高水準へ一段高】

5月5日のNYダウは前日比1063.09ドル安と急落、終値ベースでは2020年6月以来の安値となった。下げ幅は一時1300ドル安を超えた。FOMC直後の市場反応を反映した5月4日は前日比932.27ドル高の大上昇で今年最大の上昇幅だったが、流れは続かずにFOMC後の買い優勢の流れが一挙に元に押し返されてさらに下げ幅を拡大した印象だ。
ナスダック総合指数も5日は前日比647.17ポイント安と大幅下落で4日の401.10ポイント高を解消してFOMC前の水準を割り込んでいる。

一方、米10年債利回りは5月5日に前日比0.11%上昇の3.05%となり2018年11月以来の高水準となった。FOMC直後の動きを反映した4日は一時2.90%まで低下、前日比0.04%低下の2.94%で終了していたが、米連銀の利上げペース加速感は解消しないとして再び債券売り・利回り上昇の流れとなり、5日の高値では3.09%まで上昇した。5月2日に3.01%を付けて2018年10月の3.26%以来の3%台到達となったところからの調整を消化して上昇継続感を強める結果となった。
利上げペースに敏感な2年債利回りはFOMC前に2.83%をつけて2018年11月の2.98%以来の水準に達したところからFOMC直後の急落で4日終値は前日比0.14%低下の2.65%だった。しかし5日は0.07%高の2.72%へ切り返した。短期的な調整を消化して高止まりから一段高を伺う位置取りと思われる。

米連銀の利上げが続き、今後のインフレ深刻化の度合いによっては毎会合での0.50%ずつの利上げとなる可能性や0.75%の大幅利上げの可能性も消えたわけではなく、米長期債利回りの上昇基調も調整を入れながらも継続してゆく可能性があり、今回もやや過剰な市場反応への修正が入ったものの米長期債利回りの高止まりないしは上昇継続に対して日銀が連続指値オペによる長期金利抑制を継続すれば、日米金利差面と日本の輸入インフレによる経常収支悪化や景気回復の弱さを意識した円売りドル買いの流れはまだ続くのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月28日夜高値で131.24円を付けてから30日未明安値129.30円まで下げた後は130円を挟んだ揉み合いだったところ、5月5日未明に128.61円まで急落してから130円台回復へと反騰しているため、4月30日未明安値から3日目となる5月5日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。5月2日午後高値を基準とすれば高値形成期は5日午後から9日午後にかけての間と想定されるが、底打ちから時間が浅いために今晩の米雇用統計を通過して上昇基調を継続するなら高値形成期が長引く可能性もあるとみる。
129.50円割れからは弱気転換注意とし、5月5日未明安値128.61円割れからは弱気サイクル入りとして10日未明から12日未明にかけての間への下落を想定する。米雇用統計をきっかけに急落反応となる場合はこのケースも考えられる。

60分足の一目均衡表では5月5日未明安値からの反騰で5日夜には遅行スパンが好転、先行スパンも上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月5日未明の急落時に20ポイントを割り込んでから5日深夜には70ポイントに迫る反騰となっている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは80ポイント台への上昇余地ありとし、45ポイント割れからは安値試しへ向かう流れとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、129.50円を下値支持線、130.55円を上値抵抗線とする。
(2)129.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、130.55円超えからは4月28日夜高値131.24円を試す流れとみる。4月28日夜高値超えからは132円台への上昇を想定する。
(3)129.50円割れからは5日未明安値128.61円試しへ向かうとみる。129円以下は反発警戒とするが、129.50円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

5/6(金)
休場 インドネシア
10:30 (豪) 豪中銀 四半期金融政策報告
15:00 (独) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.2%、予想 -1.3%)
15:00 (独) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 3.2%、予想 -0.4%)
18:15 (英) マン英中銀委員、講演
20:15 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (米) 4月 非農業部門就業者数 前月比 (3月 43.1万人、予想 39.1万人)
21:30 (米) 4月 失業率 (3月 3.6%、予想 3.5%)
21:30 (米) 4月 平均時給 前月比 (3月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 平均時給 前年同月比 (3月 5.6%、予想 5.5%)
22:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、イベント挨拶
24:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
28:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、挨拶
28:00 (米) 3月 消費者信用残 前月比 (2月 418.2億ドル、予想 250.0億ドル)



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