ドル円、パウエル議長会見後の下げ幅の全値戻しを達成。本日は米雇用統計に注目(5/6朝)

5日(木)のドル円相場は大幅上昇。

ドル円、パウエル議長会見後の下げ幅の全値戻しを達成。本日は米雇用統計に注目(5/6朝)

ドル円、パウエル議長会見後の下げ幅の全値戻しを達成。本日は米雇用統計に注目

〇ドル円、昨日一旦下げた米長期金利の急反発、株式市場の急落に米国時間に130.55まで上昇
〇米10年債利回りは2018年11月以来となる3.10%へ急上昇
〇ユーロドル、米金利上昇、ECB関係者のハト派発言に米国時間にかけて、安値1.0493まで急落
〇ドル円押し目買い意欲根強く、FOMC後の下落をすべて戻す「全値戻し相場(往って来い相場)」
〇テクニカルの地合い強く、ハト派ととらえられたパウエル議長発言もタカ派的との判断に再考されたか
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:129.50ー131.50

海外時間のレビュー

5日(木)のドル円相場は大幅上昇。米FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「75bpの利上げは積極的に検討しているものではない」と発言したことを受けて、アジア時間早朝に安値128.65まで急落しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに下げ渋ると、@買い遅れた勢力による怒涛の押し目買いや、A短期筋のショートカバー(パウエルFRB議長記者会見後にショートポジションを造成した短期筋のストップBUY)、B米金利上昇に伴うドル高圧力(市場による催促相場の活発化→米10年債利回りはパウエル議長発言後に一時2.91%へ低下するも、結局2018年11月以来となる3.10%へ急上昇)、C株式市場の急反落(資産現金化需要のドル買い圧力)、D資源価格の急上昇(原油先物価格急上昇→本邦貿易赤字の拡大懸念→構造的な円売り圧力)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値130.55まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/6午前3時20分現在)では、130.48前後で推移しております。

5日(木)のユーロドル相場は大幅下落。パウエルFRB議長記者会見後に一時1.0642まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@米長期金利の急上昇や、A欧州経済の先行き不透明感(欧州連合はロシアからの石油の輸入を禁止する追加制裁案を3/4に発表→欧州圏におけるエネルギー不足→インフレ昂進→欧州経済への下押し圧力)、B英ポンドの対ドル相場急落(ユーロドル連れ安)、CパネッタECB専務理事による「ECBは7月に利上げすべきでない」とのハト派的な発言、D株式市場の急反落(資産現金化需要のドル買い圧力)が重石となり、米国時間にかけて、安値1.0493まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/6午前3時20分現在)では、1.0508前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円はパウエルFRB議長記者会見後に一時128.65まで値を崩しましたが、下がったところでは押し目買い意欲が根強く、結局130.55まで値を戻す「全値戻し相場(往って来い相場)」となりました。ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えていること(昨日の急落時においても下値の堅さを再確認)や、日足・週足・月足の全てで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーなど)が点灯していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(短期的にも中長期的にもドル高・円安トレンド継続中)。こうした中、本日は日本時間21:30の米4月雇用統計や、同22:15のニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言、同4:00のアトランタ連銀ボスティック総裁発言などに注目が集まります。非農業部門雇用者数(予想38.5万人)や平均時給(予想0.4%)が市場予想を上回る場合や、失業率(予想3.5%)が市場予想を下回る場合、米当局者よりタカ派的な発言が見られる場合などには、米大幅利上げ(ビハインドザカーブへの早期対処)を織り込む形で、米金利上昇→米ドル高の流れがもう一段強まるものと推察されます。

市場はパウエルFRB議長による「75bpの利上げは積極的に検討しているものではない」との発言を当初はハト派的と解釈しましたが、同氏が同タイミングで「インフレはあまりにも高い」「今後2回の会合で50bpの利上げ議題を想定」と発言していることや、FOMC声明で、“the committee is highly attentive to inflation risks(委員会はインフレリスクに高い関心を寄せている)”との記載を追加したことなどを踏まえ、一晩かけて「タカ派的である」との判断に再考した可能性があります(市場による75bp利上げの催促相場スタート→次回6月FOMCでの75bp利上げを急速に織り込む動き)。日銀による金融緩和の継続方針も相まって、日米金融政策の方向性の違いが明らかとなっているため、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(通貨オプション市場は円プットオーバーが急拡大するなどドル円上昇を織り込む動き。4/28に記録した20年ぶり高値131.25を試すシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:129.50ー131.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、パウエル議長会見後の下げ幅の全値戻しを達成。本日は米雇用統計に注目

ドル円日足

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