<< アジア市場の動き >>
〇ドル円、一時128.75まで下落するも直近安値を割り込めず、129円台半ばに反発
〇レンジを1円程度下方修正し、目先128.50-130.50の新レンジで往来相場の可能性も
〇FOMC、市場では失望と捉えられたが、個人的にはかなりタカ派の内容との印象
〇テクニカルには中期ドル高基調継続、FOMCの結果引っ張り続落する展開は予想しにくい
〇欧米時間のドル/円予想レンジは128.80-130.30
5日のアジア市場は、結果「行って来い」。一時129円を割り込み、前日記録した安値に迫るも下回れず、そののちドルは買い戻されている。
ドル/円は129.10円前後で寄り付いたのち、当初はドルが小高い。129円半ばまで上昇したが、クロスを含めてじわりと円買いが強まると、ドル/円も128.70円台まで下落。前日記録した直近安値に迫るも割り込めなかったことで、そののちは再びドル買い・円売りが優勢に。結局、129.60円台と下げ幅をすべて帳消しにするレベルまで買い進められ、16時現在でもそのままドルは高値圏129円半ばで推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、今週最大の注目材料ともいえる米FOMCの結果として、「FF金利の誘導目標を0.5%引き上げる」と発表。大方の市場筋の予想通りながら、22年ぶりとなる大幅利上げで直後の反応は好感したドル買い。しかし、その後の会見でパウエルFRB議長が、一部で台頭していた0.75%利上げ観測を事実上否定したことが嫌気されると、ドルは一気に1円以上も値を下げている。トータルすれば、なかなかのタカ派的な内容だったと思うのだが、市場はさらなるタカ派見通しへと傾斜していたようで、むしろ失望の動きに押されていた。
対して後者は、ウクライナ国防省が「ロシアがウクライナ東部で軍事作戦のペースを速めている」などとし警戒心を示すなか、ロシア国防省は独断で意表を突く「ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で停戦を実施する」と発表した。なお、そうしたなかバイデン米大統領は、対ロシア追加制裁の可能性をめぐり、「週内にG7首脳と協議する」と明らかにしている。今後の動きにも注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は先月28日に高値131.25円を付けたのち、1週間ほど形成していた保ち合い相場を昨日底割れ。129円を割り込み、一時128.62円まで下落している。しかし、その後の展開を見ると、前述したように本日アジア時間は結果としてドル買い・円売りが優勢で、もとのレンジ内へと回帰してきた。つまり、ドルの下値不安が強まったというには早計か。これまでのレンジを1円程度下方修正、128.50-130.50円といった新レンジを形成し、目先はそのなかでの往来相場をたどる可能性もある。
今週は様々な材料が多いなかでも、もっとも注視されていた米FOMC結果が昨日公表された。前述したように、市場では失望と捉えた向きが多かったようだが、0.5%の利上げ実施に続き「0.5%の追加利上げは今後数回の会合で検討すべきというのが大方の見方」などと指摘するなど、かなりタカ派の内容ではなかったか、というのが個人的な印象だ。少なくとも、昨日の結果を引っ張りドルがさらに大きく続落する展開は予想しにくく、株価さえしっかりした動きをたどれば、むしろドルは再び買い進まれる局面があっても不思議はない。
テクニカルに見た場合、中期ドル高基調は継続しているとみられるが、ドル/円は昨日一時128円台まで下落していることがやや気掛かり。以前に何度かレポートした4月27日安値126.95円を起点とした上昇幅のフィボナッチでは、半値押し(129.10円)も割り込むなか、ちょうど61.8%レベル(128.60円)で下げ止まった格好になる。本日アジア時間はドルが堅調で129円台を回復しているものの、再下落に転じ、昨日安値に近い128.60円レベルをしっかり割り込むようだとドルの下値余地が広がることにもなりかねない。
材料的に見た場合、中長期的には、中国人民銀がコロナによる打撃を受けた企業支援として、潤沢な流動性を確保し消費回復を支える方針を示した「中国情勢」。米国務長官のコロナ罹患が明らかとなり、予定されていた5日の「対中戦略」演説が延期された「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、4月のチャレンジャーレイオフ調査や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される見込みのほか、増産期待も一部で取り沙汰されるOPECプラス閣僚級会合についても一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは128.80-130.30円。ドル高・円安方向は130円前後が最初の抵抗で、抜ければ昨日高値130.38円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日アジア時間安値の128.75円。そして昨日安値128.62円などの攻防にまずは注目だ。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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