ドルは155円台を回復、日銀による円安けん制の弱さを見透かした動きは継続か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日銀が円安けん制に積極的ではないという観測からじりじりとしたドル買いが進み、155円20銭台までドルは上昇した。
昨晩の海外時間では、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁がインフレ減速を目指すうえで、現在の金利が十分に引き締まっているか疑問だと指摘。さらに、必要とあれば長期にわたり金利を据え置く、または、利上げも除外しない姿勢を示したため年内の利下げ観測後退で、ドル買いがやや強まり154円70銭まで上昇した。
東京時間では、朝方からじりじりとしたドル買いが進み、10時の値決め以降も緩やかなドル買いは継続。11時過ぎ以降、ドル買いは一服となったが、155円台20銭台まで円安ドル高が進行。ドル・インデックスは5月3日以来の105.5水準まで上昇した。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:154円77銭
高値:155円26銭
安値:154円69銭
終値:155円16銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:166円39銭
高値:166円74銭
安値:166円31銭
終値:166円67銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:102円00銭
高値:102円14銭
安値:101円83銭
終値:102円07銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:193円48銭
高値:193円88銭
安値:193円36銭
終値:193円79銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:38677円57銭
高値:38749円35銭
安値:38159円85銭
終値:38202円37銭(前日比−632円73銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
17時30分、日、植田日銀総裁が講演
21時00分、欧、ウンシュ・ベルギー中銀総裁が講演
23時00分、米、3月卸売在庫(確報値)(前月比)、前回:−0.4%、市場予想:−0.4%
23時30分、米、週次原油在庫、前回:726.5万バレル
24時00分、米、ジェファーソンFRB副議長が討論会に参加
24時45分、米、コリンズ・ボストン連銀総裁が講演
26時00分、欧、デコス・スペイン中銀総裁が講演
26時30分、米、クックFRB理事がFRB半期金融安定報告について説明
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
本日の東京時間での円安ドル高は、植田和男日銀総裁が引き続き円安のこれまでの物価への影響について控えめな見解を示したことが材料視されたと推測する。
8日の衆院財務金融委員会にて、植田日銀総裁は円安の影響について、「為替相場は経済・物価に重大な影響を与え得る」と指摘。「従来の局面と比べ、為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」と述べ、「政策運営にあたって最近の円安の動きを十分に注視している。動向次第で金融政策運営上の対応が必要になると考えている」と語った。また、「具体的には、物価変動から短期的な変動を取り除き、需給ギャップや予想物価上昇率などを反映した基調的な物価上昇率への影響を重視している」と説明。
一方、円安が基調的な物価上昇率に与える影響については「これまでのところはそれほど大きな影響ではない」としつつ、「今後は影響してくる、あるいは影響するリスクがあるとみている」と述べるなど、4月26日の日銀会合後の記者会見時とほぼ同じ見解を示したことで、引き続き円安けん制に対する植田日銀総裁の意識は弱いと市場は捉えたと考える。
足元のドルの動きは、「為替の急変動」とは程遠い緩やかな円安ドル高と言えよう。どのような期間内で「為替の急変動」をジャッジしているかは不明だが、5月3日の50日移動平均線が位置する151円台からは緩やかなリバウンドが継続している。政府・日銀による円買い介入への警戒感は高い一方、緩やかなリバウンドを止める目立った材料は観測されないことから、156円台を試す展開が今週は見られよう。
米10年債利回りも4.5%前後で下げ渋っており、日米金利差拡大観測はきっかけ次第で高まりそうだ。今晩の海外時間では、米高官の発言が多く予定されていることから上の動きを注意したい。上値メドは155円90銭、下値メドは154円90銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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