介入警戒くすぶるなか155円台へ、続伸なるか
〇東京市場のドル円、緩やかな右肩上がりで日中高値155.30レベルまで続伸
〇鈴木財務相、植田日銀総裁から円安について相次いで口先介入聞かれるも効果乏しい
〇4/29日160.22起点の下げ幅38.2%戻し155.05しっかり超え、次のターゲットは半値戻し156.05
〇金融大手モルガン・スタンレー「最初の米利下げ予想を7月から9月に先送り」と報道
〇本日、米通貨当局者の講演、米財務省10年債定例入札などに要注意
〇欧米時間のドル円予想レンジ:154.70-155.90。ドル高円安方向、東京高値155.30レベルが最初の抵抗
〇ドル安円高方向、再び上抜けてきた21日線をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが堅調裡。鈴木財務相など当局者から相次ぎ口先介入が聞かれたものの、効果は限定的だった。
ドル/円は154.65-70円で寄り付いたのち、前日同様に緩やかな右肩上がり。テクニカル的な壁と目されていた155円を超えると、日中高値の155.30円レベルまで続伸した。途中には鈴木財務相のほか植田日銀総裁からも円安を懸念する旨の発言が聞かれたものの、効果は乏しい。16時現在でも155.20-25円の高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「円安けん制発言」について。
前者は、6日に観測されたNY連銀総裁発言「FRBはいずれ利下げを実施する」−−などを受け、一部からはやや弱気な見通しだったとの声が高まっていたが、昨日はミネアポリス連銀総裁の発言が雰囲気を一変させた。具体的には「政策金利を長期間据え置く可能性が高い」、「追加利上げの可能性もゼロではない」などになる。そうした状況もあってか、ブルームバーグによると「金融大手モルガン・スタンレーは最初の米利下げ予想を7月から9月に先送りした」という。
対して後者は、先週末3日に151円台まで下落後、ドルが大きく戻している環境下、日本の経済界からは円安に不満を抱く発言が相次ぎ聞かれていた。たとえば、経団連会長から「150円を超えるような円安はいくら何でも安過ぎる」といった発言が聞かれるなか、昨夜は岸田首相と植田日銀総裁が会談を行い、金融政策や最近の外国為替市場の動向などについて協議したもよう、と伝えられている。しかし、為替市場に与えた影響は軽微であったため、本日東京ではさらに鈴木財務相のほか植田日銀総裁からも口先介入が相次いだものの、一方で植田氏は「円安、これまでのところは基調的物価に大きな影響ない」とも発言するなど、結果としてやはり効果は限られていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、ドルがさらに続伸し、ついに155円台。少し手前に移動平均の21日線が位置するなど、155円前後ではもう少し上げ渋る展開を予想していたのだが、個人的な見通しより早いタイミングで155円台へと乗せてきた。同時に当局の円買い介入警戒感もさらに高まってきたものの、それでもリスクは上向きか。ちなみに、フィボナッチの観点からすると、次の抵抗はおおよそ156円レベルとなる。
注目度の高い日米金融政策のうち、米国については依然として市場の見方が定まらない。前段で取り上げたように、今週だけでも見通しが二転三転している。また、このあとも発表される米経済指標や要人発言によって、まだまだ右往左往する展開が予想され、予断を許さないだろう。一方、日本の実弾介入を海外は果たして容認しているのか、といった見方も根強く取り沙汰されている。欧米筋を中心とした関連発言にも要注意だ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は4月29日の160.22円を起点とした下げ幅の38.2%戻しにあたる155.05円を本日東京でしっかりと超えてきた。これを受け、次のターゲットは同半値戻しの156.05円となる。
それに対するドルサポートは、昨日から本日に掛けて上抜けた21日線。足もとは154.60-70円に位置しており、簡単に下回るようだと東京時間にみられたドルの上値トライ機運はダマシだった可能性も出てきそうだ。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数や3月の卸売売上高などが発表されるものの、注目度はいずれもさほど高くない。しかし、米通貨当局者の講演など発言機会が多いうえ、財務省による10年債の定例入札が実施され、それらには注意が必要だろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは154.70-155.90円。ドル高・円安方向は本日東京高値である155.30円レベルが最初の抵抗。抜けるとフィボナッチポイントも近い代替わりの156円を目指す。
対するドル安・円高方向は、再び上抜けてきた21日線をめぐる攻防に注目。右肩上がりをたどる同線に支えられる格好で、ドルは再び160円を目指すといったブル派の声も聞かれていた。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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