ドル高リラ安続くもドル円の反騰で4日ぶりに上昇
〇トルコリラ円、ドル円反騰に同調し27日夜に8.68へ上昇、28日午前には8.70に到達
〇本日の日銀金融会合と黒田総裁会見、円安への言及内容次第で円安加速かブレーキの可能性も
〇対ドルでは全般的なドル高に圧される展開、14日から続落基調でほぼ連日にわたり安値切り下げ
〇8.65以上での推移中は上向き、8.72超えからは8.75前後を試すとみる、8.75以上は反落注意
〇8.62割れからは下落再開に入ったとみて4/27午前安値8.58試しを想定
【概況】
トルコリラ円の4月27日は8.68円から8.58円の取引レンジ、28日早朝の終値は8.67円で前日終値の8.59円からは0.08円の円安リラ高だった。
3月11日安値7.76円を起点としてドル円の上昇に同調した上昇基調を継続してきたが、ドル円が4月20日に129.40円へ上昇して昨年1月6日底102.57円以降の最高値を更新したところから下落に転じたためにトルコリラ円も4月20日高値で8.83円を付けたところから売られて4月26日までは3日間の続落となり、ドル円が27日午前に127円を割り込んだ局面で8.58円まで安値を切り下げた。しかしドル円が127円割れから反騰入りとなり、米10年債利回りも4月20日からの調整安一巡で戻したことで27日深夜には128円台到達へ戻したため、トルコリラ円も27日夜に8.68円へ上昇し、28日午前には8.70円に到達している。
ユーロやポンドの下落が続いており、ドルストレートでのドル高によるドル高リラ安基調が続いているが、ドル円の持ち直しによりトルコリラ円も下落一巡から持ち直しを図るところと思われる。
本日昼頃には日銀金融政策決定会合、午後に黒田総裁会見がある。金融緩和政策は現状維持とみるが、現状の円安水準に対する総裁の言及内容次第では円安の加速ないし円安へのブレーキがかかる可能性もあるところと注意したい。
【対ドルでは4月13日高値からの下落継続、続落も9日を経過】
ドル/トルコリラの4月27日は14.83リラから14.77リラの取引レンジ、28日早朝の終値は14.80リラで前日終値と変わらずだった。(ベンダーによっては26日終値が14.80リラで前日比0.02リラのドル高リラ安だった)
昨年末のリラ暴落と直後の急上昇からの反落という波乱が収まったところからリラ売りの流れが再開して3月11日には15.00リラまで安値更新が続いてきたが、その後はリラ安一服で新たな安値更新は回避されている。4月13日高値14.48リラまでややリラ高の動きとなったものの、その後は全般的なドル高に圧される展開となり、今週に入ってからはユーロやポンドが昨年来安値を更新し、豪ドルや新興国通貨も反落となり、ドル/トルコリラも4月14日から続落基調でほぼ連日にわたり安値を切り下げている。
【トルコ国民の生活苦】
4月27日の中国新華社通信がトルコにおけるローン破綻の状況について報じている。物価高騰によるクレジットカードローンが急増しており、トルコ銀行協会(TBB)によるとローン破綻件数はは年初から3倍増となっており、凡そ410万人がローン破綻危機に直面しているという。
トルコの消費者物価上昇率は3月の前年比で61%を超えているが、実勢では100%を超えているとの試算もある。トルコはロシア制裁に参加していないもののウクライナ戦争による物流支障や国際原材料相場の高騰によりトルコの電気料金は前月から50%高、ガス料金は35%高、砂糖価格は85%高、小麦は22%高と高騰している。
トルコは天然ガスの凡そ33%、小麦の66%をロシアから輸入している。ウクライナは戦場化により輸出は2月から3月にかけて半減したとされるが、トルコはウクライナから平鋼、トウモロコシ、小麦、ヒマワリ油、大豆等を輸入してきた。
トルコの2月貿易統計では、輸入先としてはロシアが全体の13.8%を占めて1位、2位が中国の11.4%、3位がドイツの6.5%、その後に米国やインドが続く。
トルコの貿易統計3月分は4月29日に、4月の物価統計は5月5日に発表される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月20日午前高値からの急落一服により20日深夜安値でサイクルボトムを付けていったん戻していたものの、22日午後に20日深夜安値を割り込んで25日夜へ一段安したため、26日午前時点では4月21日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は25日夜から27日深夜にかけての間と想定されるとしたが、21日昼高値以降は戻り高値切り下がりが続いているのでもう一段安余地ありとした。
27日午前時点では8.64円超えからは強気サイクル入りとしたが、27日夜の上昇で8.64円を超えたため、27日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は4月21日昼を基準とすると26日の日中から28日昼にかけての間と計測されるが、日銀金融政策発表後の市場反応等によっては29日から週明けの5月2日にかけての間へ延びる可能性もあるとみる。
8.65円割れからは弱気転換注意とし、8.62円割れからは弱気サイクル入りとして5月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、4月28日早朝への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月26日夜から27日朝へ一段安した際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから反騰入りして70ポイントに迫っているので、50ポイント以上での推移中は80ポイントに迫る可能性があるとみるが、50ポイント割れからは下げ再開とみて40ポイント割れを試すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.65円を下値支持線、8.72円を上値抵抗線とする。
(2)8.65円以上での推移中は上向きとし、8.72円超えからは8.75円前後を試すとみる。8.75円以上は反落注意とするが、8.65円以上での推移なら29日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)8.65円割れからは弱気転換注意とし、8.62円割れからは下落再開に入ったとみて4月27日午前安値8.58円試しを想定する。また8.65円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月28日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)
5月5日
16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 5.46%)
16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 61.14%)
16:00 4月 消費者物価コア指数 前月比 (3月 4.4%)
16:00 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 48.4%)
16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 9.19%)
16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 114.97%)
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2022.04.30
トルコリラ週報:『脆弱なファンダメンタルズを背景に上値余地は限定的か』(4/30朝)
トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、1/4以来、約4ヵ月ぶり高値となる8.90円まで急伸しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.04.27
トルコリラ円見通し 3日続落、ドル円の下落とドル高リラ安に圧される(22/4/27)
トルコリラ円は円高と対ドルでのリラ安が重なり4月20日高値8.83円(ベンダーにょっては8.88円)からの下落基調が続いている。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。