トルコリラ円見通し 3日続落、ドル円の下落とドル高リラ安に圧される
〇トルコリラ円、27日早朝8.58割り込む、円高と対ドルでのリラ安重なり3日続落
〇対ドル、4/26は14.82から14.77の取引レンジ、リスク回避姿勢でドル高感9日続落
〇トルコ裁判所、慈善活動家オスマン・カバラ氏に終身刑判決、欧米からの批判姿勢強まるか
〇8.64以下での推移中は一段安余地ありとし、8.57割れからは8.50円台序盤への下落を想定する
〇8.64超えからは8.68前後への上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の4月26日は8.68円から8.58円の取引レンジ、27日早朝の終値は8.59円で前日終値の8.66円からは0.07円の円高リラ安となった。
米長期債利回りが上昇一服となり10年債利回りが4月20日の2.98%から26日は2.77%へと低下したことで日米金利差によるドル円の上昇にブレーキがかかっていることと、米連銀の利上げ姿勢強化とウクライナ戦争・ロシア制裁の長期化及び中国の感染拡大による景気減速懸念で金融市場全般がリスク回避的な動きに回ってユーロやポンド、豪ドル等が大幅下落する中でドル/トルコリラでもドル高リラ安基調が継続したため、トルコリラ円は円高と対ドルでのリラ安が重なり4月20日高値8.83円(ベンダーにょっては8.88円)からの下落基調が続いている。
4月26日は8.62円まで下げたところから午後高値で8.68円までいったん戻したものの26日夜安値で8.59円へ下落、27日早朝にはドル円が127円を割り込んだ局面では8.58円を割り込んだ。
【対ドルでは4月13日安値からの下落継続、続落も9日を経過】
ドル/トルコリラの4月26日は14.82リラから14.77リラの取引レンジ、27日早朝の終値は14.80リラで前日終値の14.77リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
米長期債利回りの大上昇は一服しているが、金融市場全般の楽観的な心理が後退して手仕舞い売り優勢となりユーロが昨年1月天井以降の最安値を更新、ポンドドルも昨年6月天井以降の最安値を更新、豪ドルも4月5日から急落となっているが、新興国・コモディティ通貨の下落も目立ち、NZドル、南アランド、ブラジルレアル等は26日も下落、人民元も新たな安値更新は回避したものの4月19日からの急落が続いている他、タイバーツ等のアジア通貨も総じてやすい。
ロシア制裁の長期化によるインフレ懸念の深刻化、制裁の返り血による欧州の景気減速懸念、中国の感染拡大、米国の金融引き締めによる株高へのブレーキと新興国への投資マネーが逆流しやすい状況となっていることでドル高感が強まっており、対ドルでのトルコリラも4月13日安値を起点とした上昇が4月26日時点で9日間の続落となっている。
昨年12月の大暴落からの急騰と反落による値動きが大きかったために3月11日以降は日足チャートで見ればほぼ横ばい程度の動きにみえるが、4月7日安値14.77リラを割り込んでおり、3月11日安値15.00リラへ徐々に迫ってきている印象だ。
【欧米との軋轢】
トルコの裁判所は4月25日に、仏パリ生まれの慈善活動家であるオスマン・カバラ氏に対して、政府転覆を企てた罪で終身刑を言い渡した。2013年のエルドアン政権に対する反政府デモや2016年のクーデター未遂に関与した疑いで2017年から未決拘留が続いていたが、同氏に関連する他の7人には18年の実刑判決が言い渡された。
米国やドイツ、フランスなど10か国の駐トルコ大使が2021年10月にカバラ氏らの釈放を求める共同声明を発表したことがエルドアン大統領の逆鱗に触れて当該10か国の大使を国外追放すると宣言し、その後に10か国大使が内政干渉をする意図はないと声明を改めたことで追放騒動は未遂に終わっている。
今回の判決を受けて米国務省報道官は「深く失望」、「政治的動機に基づく訴追をやめ市民の人権を尊重するよう求める」と声明を出している。ウクライナ戦争への停戦協議にトルコのエルドアン政権が尽力していることもあり近々に欧米とトルコの関係が悪化することはないと思われるが、欧米のトルコに対する批判姿勢が強まる可能性も懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月20日午前高値からの急落一服により20日深夜安値でサイクルボトムを付けていったん戻していたものの、22日午後に20日深夜安値を若干割り込んで25日夜に一段安したため、26日午前時点では4月21日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は25日夜から27日深夜にかけての間と想定されるとしたが、21日昼高値以降は戻り高値切り下がりが続いているので26日早朝高値8.68円を超えないうちはもう一段安余地ありとした。
4月27日朝へ続落しているのでまだ一段安余地ありとし、8.64円を超えるところからはいったん強気サイクル入りとみて26日の日中から28日昼にかけての間への上昇を想定するが、その場合も8.68円以上へ戻せないなら戻り一巡後にもう一段安へと進みやすい状況と考える。
60分足の一目均衡表では、遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試しに入るとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。
60分足の相対力指数は4月26日夜から27日朝へ一段安した際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られるので55ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。ただしその場合もその後に45ポイントを割り込むところからは下げ再開に入りやすいと注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.57円を下値支持線、8.64円を上値抵抗線とする。
(2)8.64円以下での推移中は一段安余地ありとし、8.57円割れからは8.50円台序盤(8.53円から8.50円)への下落を想定する。8.52円以下は反騰注意とするが、8.60円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.64円超えからは8.68円前後への上昇を想定する。8.67円以上は反落注意とするが、8.64円以上での推移なら28日も高値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月28日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)
5月5日
16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 5.46%)
16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 61.14%)
16:00 4月 消費者物価コア指数 前月比 (3月 4.4%)
16:00 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 48.4%)
16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 9.19%)
16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 114.97%)
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
注:ポイント要約は編集部
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