ドル円見通し クロス円全面安と米長期債利回り低下で127円を割り込む(22/4/27)

クロス円全般が一段安となったため円の買い戻し優勢となり、米長期債利回りも上昇一服で低下したことで円高へ傾斜、26日夜安値127.01円へ下落し20日深夜安値を割り込んだ。

ドル円見通し クロス円全面安と米長期債利回り低下で127円を割り込む(22/4/27)

ドル円見通し クロス円全面安と米長期債利回り低下で127円を割り込む

〇ドル円、4/27早朝126.93へ下落、クロス円全面安と米長期債利回り低下が背景
〇米10年債利回り続落、日米金利差縮小によるドル売り円買い促す
〇NYダウ前日比809.28ドル安、米3月住宅販売件数予想下回り3か月連続マイナス
〇ドル指数4/26に102.36つけ一段高、新興国通貨は総じて下落
〇ロシア天然ガス会社、ポーランドブルガリアへの供給停止発表、欧州への揺さぶり強める
〇128円以下での推移中はまだ一段安余地ありとし、126.70割れからは126円前後を試すとみる
〇128円超えからは反騰入りとみて、128円台中盤への上昇を想定する

【概況】

ドル円は4月20日午前高値で129.40円を付けて昨年1月底102.57円以降の最高値を更新し、4月20日深夜安値127.44円まで1.96円の下落となったところから22日深夜高値129.10円までジリ高の推移で持ち直しを図っていたが、週明けからは金融市場全般のリスク回避感が増す中でユーロやポンド、豪ドル等が大幅下落となり26日もクロス円全般が一段安となったため、クロス円での手仕舞い=円の買い戻しが優勢となり、米長期債利回りも上昇一服で低下したことで円高へ傾斜、26日夜安値で127.01円へ下落して20日深夜安値を割り込んだ。27日早朝には126.93円を付けて4月19日早朝以来の127円割れとなった。

【ドル指数が一段高、ユーロやポンドは昨年来の最安値更新、新興国通貨も安い】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は4月26日に102.36を付けて2021年1月底89.21以降の最高値を更新、2020年3月20日天井の102.99に迫っている。月間足は今年1月から4か月連続の陽線で上昇、今月の上昇率は4%を超えている。日足は4月21日から4連騰、22日からは連日の昨年1月底以降の最高値更新となっている。
ドル指数とは真逆の動きとなるユーロドルは4月27日朝安値で1.0633ドルを付けて2021年1月天井1.2349ドル以降の最安値を更新、2020年3月23日安値1.0636ドルを割り込んで2017年1月3日安値1.0341ドルを試す勢い。またポンドドルも1.2568ドルへ一段安となり2021年6月天井1.4248ドル以降の最安値を更新している。

新興国・コモディティ通貨も総じて下落、豪ドル米ドルは4月5日高値からの急落が続いており、南アランドも7日間の続落で3月末以降の安値を更新している。ブラジルレアルは一時1ドル=5レアルに接近して3月下旬以降の安値を更新、メキシコペソは前日安値からいったん戻していたが0.8%安の急落となった。ドル/人民元も26日は新たな高値更新を回避したものの4月19日からの急落が続いている。
ウクライナ戦争泥沼化とロシア制裁の長期化に加えて中国の感染拡大による景気減速懸念、インフレ進行による米連銀の金融引き締め姿勢強化などが金融市場全般の市場心理を冷やしていることで、米長期債利回りが低下したにもかかわらずドル高が進行している。

【NYダウが再び大幅下落】

4月26日のNYダウは前日比809.28ドル安と大幅下落した。21日に前日比368.03ドル安、22日に一時千ドル安を超えて前日比981.36ドル安、25日は238.06ドル高と急落商状にブレーキがかかったものの再び大幅下落したことで世界連鎖株安を助長し始めている。ナスダック総合指数も4月20日から22日まで3日間続落した後の25日に戻したものの26日は前日比514.11ポイント安と大幅下落となり、昨年11月の史上最高値以降の最安値を更新した。
ウクライナ戦争の停戦が見えずロシア攻撃はウクライナ東南部で激化、欧米による武器供与支援がかえって戦争長期化を招いており、ロシアのラブロフ外相は26日に核戦争の可能性に関して「リスクは十分にある」と述べて緊張を劇化させている。またロシア国営の天然ガス会社ガスプロムがポーランド(ロシア依存度50%)とブルガリア(同90%)へのガス供給を4月27日から停止すると発表しており欧州への揺さぶりを強めている。

今週はIT関連企業の決算が相次ぐが、グーグルを持つアルファベット株は決算不調で引け後に4.9%安となっており、IT関連の業績悪化への懸念も株安要因となっている。
米商務省による3月の新築一戸建て住宅販売件数(年換算)が前年同月比では12.6%減、前月比8.6%減の76万3000戸となり市場予想の76万5000戸を下回って3か月連続のマイナスとなったことも響いた。
中国株安も続いており、上海総合株価指数は25日の前日比5.1%安から26日は1.44%安、深セン指数は25日の6.1%安から26日は1.66%安と続落しており、26日のNYダウ大幅下落を見ながらさらに安値を試す流れと思われる。上海のロックダウン長期化に加えて北京の感染増も圧迫しており、人民元が対ドルで急落している中でも下げていることはやや深刻な下げという印象もある。

【米10年債利回りは続落】

株安債券買いの流れで米10年債利回りは前日比0.10%低下の2.72%、30年債利回りが同0.06%低下の2.83%、2年債利回りが同0.15%低下の2.48%と総じて低下した。米連銀による5月3-4日のFOMCにおける0.50%の利上げや資産売却による量的金融引き締め開始を想定していずれも大上昇してきたが、大上昇一服感と利回り益確定での債券買いに株安に対する安全資産買いの裁定も働いている。
米長期債利回りが当面のピークを付けて低下していることは、クロス円全般の大幅下落による円の買い戻しの動きと共に日米金利差縮小によるドル売り円買いの動きも助長している。4月27日は日銀金融政策決定会合の初日となり、28日昼頃には金融政策の発表、午後には黒田総裁の会見もあり、金融緩和継続姿勢が改めて強調されると思われるが、最近の円安水準に対する言及にも注意がいるところとしてやや調整的に円高へ傾斜している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月20日午前高値からの急落と20日深夜安値からの持ち直しにより22日朝時点では20日深夜安値で直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午前から27日午前にかけての間への上昇を想定したが、22日深夜に129円台を付けてから22日午後安値を割り込む反落となったため、26日朝時点では22日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は25日夜から27日深夜にかけての間と想定し、22日深夜高値を上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとした。
27日早朝へ安値を切り下げているのでまだ一段安余地ありとみる。また25日深夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性もあるため、128円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰へ進めないうちは安値試しを続けやすいところとみる。

60分足の一目均衡表では4月25日深夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落してその後も両スパンが揃って悪化しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は26日夜に30ポイントへ低下、27日早朝の安値更新に際しては指数のボトムがやや切り上がっているものの50ポイント台回復から続伸へ進めないうちはもう一段安余地ありとし、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、126.70円を下値支持線、128円を上値抵抗線とする。
(2)128円以下での推移中はまだ一段安余地ありとし、126.70円割れからは126円前後(125.80円から126.20円)を試すとみるが、126.20円以下は一旦買われやすい水準と考える。
(3)128円超えからは反騰入りとみて128円台中盤(128.30円から128.70円)への上昇を想定する。128.50円以上は反落注意とするが、128円到達後も127.50円以上での推移なら28日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/27(水)
休場、南ア
日銀・金融政策決定会合(初日)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価指数 前期比 (10-12月 1.3%、予想 1.7%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価指数 前年同期比 (10-12月 3.5%、予想 4.6%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -15.5、予想 -16.0)
21:30 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 2.1%、予想 1.8%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 -4.1%、予想 -1.0%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -5.4%、予想 -8.1%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動2年債、5年債入札

4/28(木)
未 定 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 4-6月期 日銀展望レポート
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 -3.85億NZドル)
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年同月比 (2月 -0.8%、予想 0.3%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前月比 (2月 2.0%、予想 0.5%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (2月 0.5%、予想 -1.4%)
10:00 (NZ) 4月 ANZ企業信頼感 (3月 -41.9)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 5.8%、予想 7.0%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 6.3%、予想 -0.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例会見

18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 108.5、予想 108.0)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感確定値 (速報 -16.9)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前月比 (3月 2.5%、予想 0.6%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 7.3%、予想 7.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.4万件、予想 18.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 141.7万人、予想 140.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 6.9%、予想 1.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 2.5%、予想 3.4%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比年率 (10-12月 5.6%)
26:00 (米) 財務省7年債入札


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る