127円割れから128円台中盤まで戻す、日銀金融政策発表から反応度合いを探る
〇ドル円、127円割れからの買い戻し優勢となり深夜に128.59まで高値切り上げ
〇米長期債利回り再上昇と日銀金融政策決定会合迫り、ドル買い円売りの流れ再開
〇ユーロドルは大幅下落続く、1.0512まで安値切り下げ昨年1月天井以降の最安値更新
〇本日の日銀会合、円安への言及と、政策変更等あれば12時超えもあり発表時間にも注目
〇128円以上での推移なら上向き、129円超えからは4/20高値129.40、129円台後半を目指す
〇27日午前安値126.93を割り込むような急落発生なら安値試し続け126円台序盤へ向かう可能性も
【概況】
ドル円は4月27日午前安値で126.93円を付けて4月20日午前に付けた昨年1月底以降の最高値129.40円から2.47円の円高ドル安となったが、127円割れからの買い戻し優勢となり、米長期債利回りの上昇を背景に27日深夜には128.59円まで高値を切り上げ、その後も128円台中盤で確りしている。
2015年6月5日天井125.84円を超えて20年ぶり高値に到達し、所謂黒田ラインとされてきた125円台を大幅に超えたことで高値警戒感からポジション調整に入ったことと、米長期債利回りが4月20日までの大上昇一服で低下したこと、ドル全面高が続く中でユーロ円やポンド円が大幅下落してクロス円全般が円の買い戻し優勢となったことがこの間の下落背景だったが、27日夜はユーロやポンドの下落が続いたものの米長期債利回りの再上昇と28日昼頃の日銀金融政策決定会合も迫ったためにドル買い円売りの流れが再開している印象だ。
【ユーロやポンドは昨年来安値更新、米10年債利回りは反発】
米連銀の金融引き締め姿勢による米長期債利回りの上昇基調に加えてウクライナ戦争の泥沼化とロシア制裁の長期化及び欧州経済への返り血となる打撃感からユーロドルは大幅下落を続けている。米長期債利回りの上昇が一服した局面での戻りも鈍く、今週に入ってからは3日間の大幅続落となり、4月27日は米長期債利回り反騰もあり1.0512ドルまで安値を切り下げて昨年1月天井1.2349ドル以降の最安値を更新した。既に2020年3月底1.0636ドルを割り込んで2017年1月3日底1.0341ドルへ迫る勢いとなっている。
ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止したことでロシア産天然ガスへの依存度の高い欧州の資源エネルギー需給逼迫が景気にも大きく影響すると懸念されている。27日はポンドドルも1.2502ドルへ続落して昨年6月天井以降の最安値を更新、豪ドル米ドルも4月5日からの急落調整が続いている。
ドル円としてはユーロ円やポンド円等の下落による手仕舞い=円の買い戻しが円高要因になるため、米長期債利回りが上昇一服で低下する局面では円高反応となりやすいが、米長期債利回りが上昇する局面ではドル円もドル高円安優勢となって上昇しやすくなる。
4月27日の米10年債利回りは前日比0.11%上昇の2.83%となった。4月20日に2.98%まで大上昇したところから27日午前には2.71%まで低下したが、調整一巡で上昇再開の気配となっている。30年債利回りは0.09%上昇の2.92%、2年債利回りは0.12%上昇の2.60%へ戻している。
【日銀は金融緩和維持、長期金利抑制姿勢を堅持か】
本日は日銀の金融政策決定会合がある。概ね12時前後に声明発表となるが、大きな修正が無ければ11時台、政策変更等がある場合は12時を大幅に超えるケースもあるため、発表時間も注目される。
日銀は急激な変動に対しては市場の混乱を招くものとして懸念を示すものの、金融緩和政策による景気刺激は必要であり長期債利回りの上昇を抑えるためのYCC(イールドカーブコントロール)についても3月後半から単発の指値オペや数日間にわたる連続指値オペ通告等で継続姿勢を強調してきた。その姿勢はG20財務相・中銀総裁会議においても変わらず、4月22日の黒田総裁による米国での講演においても金融緩和継続姿勢が改めて強調されている。このため今回の日銀金融政策決定会合でも従来姿勢の継続と思われるが、すでにかつての黒田ラインと呼ばれた125円台を超えた状況についての認識や、円安容認水準についての言及等があるかどうか注目される。
かつては円安が日本の輸出攻勢の原因として国際的な批判を浴びて円高へ進んだ時代もあったが、現状の円安は景気回復が鈍いことで金融緩和政策をやめられず、米国がインフレ進行に対して金融引き締めを開始したこととの対比によるものであり、インフレについても輸入物価上昇による経常収支悪化が円の評価としてはマイナスとなることは当然として「ファンダメンタルズを反映した円安」という評価で落ち着いており、欧米による円安けん制の動きは見られない。
4月27日にはIMFの対日審査団長であるサルガド氏が時事通信のインタビューに応えて「無秩序な為替変動に対しては介入を行うよう助言するが、今のところの円安は無秩序ではない」、「円の動きはほとんどファンダメンタルズに沿っている」、「日本は過去20年以上、非常に低いインフレ率で推移しており、日銀が低金利と金融緩和政策を維持することを強く支持している」と述べた。また「黒田ラインというものはない」とも指摘している。
本日午後の黒田総裁会見の内容次第では円安が加速する可能性もあるところと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月22日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を25日夜から27日深夜にかけての間と想定してきたが、27日午前安値から1円を超える反騰となっているため、現状は27日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしているところと思われる。トップ形成期は27日夜から29日深夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、日銀金融政策発表から上昇基調継続なら28日夜及び29日への続伸とみるが、127.75円割れから続落に入る場合は弱気転換注意として27日午前安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして5月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月27日午前安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月26日夜から27日午前へ安値を更新した際に指数のボトムが切りあがる強気逆行を見せて上昇している。このため50ポイント以上での推移中は80ポイントを目指す上昇を想定するが、50ポイント割れからは下げ再開を疑い40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、127.75円を下値支持線、129.00円を上値抵抗線とする。
(2)128円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、129円超えからは4月20日高値129.40円、さらに129円台後半を目指す上昇を想定する。129.40円を超えた後は先行きで130円台中盤へ向かう可能性も出てくるとみる。また128円以上での推移なら29日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)127.75円割れからは127円台序盤(127.00円から127.30円)試しとし、そこは買い戻されやすい水準とみるが、27日午前安値126.93円を割り込むような急落発生の場合は29日以降も安値試しを続けて126円台序盤へ向かう可能性も出てくると注意する。
【当面の主な予定】
4/28(木)
未 定 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 4-6月期 日銀展望レポート
10:00 (NZ) 4月 ANZ企業信頼感 (3月 -41.9)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 5.8%、予想 7.0%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 6.3%、予想 -0.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例会見
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 108.5、予想 108.0)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感確定値 (速報 -16.9、予想 -16.9)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前月比 (3月 2.5%、予想 0.6%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 7.3%、予想 7.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.4万件、予想 18.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 141.7万人、予想 140.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 6.9%、予想 1.1%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 2.5%、予想 3.5%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比年率 (10-12月 5.6%、予想 5.4%)
26:00 (米) 財務省7年債入札
4/29(金)
休場、日本
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (10-12月 1.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前年同期比 (10-12月 3.7%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.3%、予想 3.4%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前年同月比 (2月 26.3%、予想 28.5%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -0.3%、予想 0.2%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 1.8%、予想 3.8%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価・HICP速報値 前年同月比 (3月 7.4%、予想 7.5%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価・HICPコア指数速報値 前年同月比 (3月 2.9%、予想 3.2%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 4.6%、予想 5.1%)
21:30 (米) 1-3月期 雇用コスト指数 前期比 (10-12月 1.0%、予想 1.1%)
21:30 (米) 3月 個人所得 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 個人消費支出(PCE) 前月比 (2月 0.2%、予想 0.7%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前月比 (2月 0.6%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前年同月比 (2月 6.4%、予想 6.7%)
21:00 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (2月 5.4%、予想 5.3%)
22:45 (米) 4月 シカゴ購買部協会景況指数 (3月 62.9、予想 62.0)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報値 65.7、予想 65.7)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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