トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続き3月11日以降の高値を更新
〇トルコリラ円、円安による押し上げ継続、20日午前8.83へ高値伸ばす
〇対ドル、4/19は14.68から14.50の取引レンジ、ドル全面高で4/12夜からトルコも安値切り下げ続く
〇トルコ円、3/11安値7.76からの上昇で年初来高値9.00に迫るも、リラ売り材料再燃や円安調整に要注意
〇8.80以上での推移中は上昇余地ありとし、8.84超えからは8.87を目指すとみる
〇8.78割れからは8.75前後への下落を想定、下げ足早まる場合は8.70円台中盤へ下値目途を引き下げ
【概況】
トルコリラ円の4月19日は8.80円から8.66円の取引レンジ、20日早朝の終値は8.79円で前日終値の8.67円から0.12円の円安リラ高となった。
主要国が金融引き締め姿勢を強化する中で日銀が金融緩和政策の継続にこだわり長期金利上昇を抑える指値オペの実施や黒田総裁の国会答弁等が円安容認姿勢と受け止められ、輸入インフレによる経常収支悪化からの悪い円安を助長しており、ドル円は4月19日午前序盤に127円台に到達、午後には128円を超えて20日朝には129円台に達している。
トルコリラは対ドルでは4月12日夜へ反騰してからは再びジリ安基調で19日夜にかけてもこの間の安値を更新しているが、ドル高リラ安を凌駕する歴史的な円安がクロス円全般の大上昇を招いており、トルコリラ円も円安に大きく押し上げられている。
トルコリラ円としてもトルコ自身の材料によるリラの急落が発生しない限り、当面は円安継続中の高値試しを続けやすい状況と思われるが、20日午前には8.83円へ高値を伸ばしている。
【対ドルではドル全面高に圧されて4月12日夜からは下落基調続く】
ドル/トルコリラの4月19日は14.68リラから14.50リラの取引レンジ、20日早朝の終値は14.64リラで前日終値の14.64リラと変わらずだった。
為替市場ではクロス円の全面高と共にドルストレートではドル全面高の様相であり、米連銀による金融引き締め姿勢の強化、5月FOMCでの0.50%利上げや量的金融引き締め=資産売却の開始等を背景に米長期債利回りの上昇が続いており、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は19日に101.03へ上昇して昨年1月底89.21以降の最高値を更新、2020年3月20日天井102.99以来の高値水準に達している。
トルコリラも4月12日夜にかけていったんは反騰したものの勢いは続かず、4月14日のトルコ中銀による4会合連続の政策金利据え置きに対しても高インフレ進行の中で利上げできない状況とされてその後の安値切り下げを招いている。
【円安を背景とした3〜4か月サイクルの上昇によるピーク形成期】
トルコリラ円は3月11日安値7.76円を起点とした上昇基調を継続している。日足ベースでは概ね3か月から4か月周期のサイクルで底打ちを繰り返しており、同様に概ね3か月から4か月周期で高値を付けてきた。
2020年11月6日底以降では、4か月目の2021年3月8日安値、3か月目の2021年6月2日と6月21日のダブル底、3か月目の2021年9月27日安値、3か月目の2021年12月20日安値と底を付け底、さらに3か月目の今年3月11日安値で直近のサイクルボトムを付けている。
主要な高値は2021年2月16日と3月19日のダブル天井の後、3月目の2021年9月1日高値、4か月弱の12月23日高値で付けており、そこから現在まで4か月近くを経過したところにある。このためそろそろサイクルトップを付けてもよいところと思われるが、歴史的な円安相場のため、円安次第では高値形成期が先送りされる可能性も考えられる。
【年初来高値に迫る】
昨年12月の史上最安値更新からの急反騰とその後の反落が落ち着いたところでは、1月3日安値8.13円を起点として8円台での持ち合いが続いていたが、ロシア軍のウクライナ侵攻をきっかけとした地政学的リスクの高まりと資源エネルギー及び穀物等の高騰から持ち合いを下放れして3月11日安値まで下げた。その後の揺れ返し型の上昇により4月20日午前時点で8.83円まで戻り高値を切り上げており、1月3日以降の持ち合い形成時の上限に来ている。
1月3日安値から直後に反騰したところの高値が9.00円であり、現状の8.80円台序盤から9円に迫るところは抵抗感も出やすく、リラ売り材料が出始める場合や、急騰し過ぎのドル円が大きな調整安を入れる場合にはトルコリラ円も当面のピークを付けて下落再開に入ってもよいところと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月13日午後一段高したところから1円規模の大幅下落となってから下げ幅の半値以上を解消する反騰となったため、4月15日午前時点では直近のサイクルトップを13日夕高値、同サイクルボトムを14日夜安値とした強気サイクル入りとして高値形成期を18日午後から20日夕にかけての間と想定した。
4月20日午前も大幅続伸しているのでサイクルトップ形成期延長入りによる上昇余地もあるとみるが、高値警戒圏に来ていると注意し、8.80円割れを弱気転換注意、8.78円割れからは弱気サイクル入りとして20日日中から21日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、4月18日夜からの一段高により遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみるが、先行スパンを上回るうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。実線と先行スパンとの乖離も大きいため、先行スパンから転落するような下落発生からは3月11日以降の上昇基調が崩れる可能性ありと考える。
60分足の相対力指数は4月19日午後高値で80ポイント台後半へ上昇したが、その後に相場が一段高したところでは指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配が見られる。65ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、70ポイント割れから続落の場合は弱気転換注意とし、60ポイント割れからは下落期入りとみて40ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.78円を下値支持線、8.84円を上値抵抗線とする。
(2)8.80円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、8.84円超えからは8.87円を目指すとみる。8.87円前後は反落警戒とするが、8.80円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.78円割れからは8.75円前後への下落を想定する。8.75円以下はいったん買い戻しが入りやすいとみるが、下げ足が早まる場合は8.70円台中盤(8.73円から8.70円)へ下値目途を引き下げる。また8.78円を割り込んだ後も8.80円以下での推移が続くなら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月20日
23:30 3月 中央政府債務 (2月 294.8億リラ)
4月21日
16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 72.5)
20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 グロス (4/8時点 677.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 ネット (4/8時点 183.0億ドル)
4月25日
16:00 4月 製造業景況感 (3月 108.5)
16:00 4月 設備稼働率 (3月 95.7)
4月28日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)
注:ポイント要約は編集部
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