トルコリラ円見通し 円安と同調しつつ3月11日以降の上昇基調を継続(22/4/19)

18日午後には8.68円をつけて3月11日以降の高値を更新、夜に8.63円まで下げたところも押し目買いされて19日午前序盤には8.70円へ上昇している。

トルコリラ円見通し 円安と同調しつつ3月11日以降の上昇基調を継続(22/4/19)

トルコリラ円見通し 円安と同調しつつ3月11日以降の上昇基調を継続

〇トルコリラ円、4/18午後8.68をつけ3/11以降の高値更新、夜8.63まで下げたが4/19午前8.70へ上昇
〇対ドルでは、4/12夜安値からのドル高リラ安基調続く、4/19早朝14.66へ安値を切り下げた
〇トルコリラ円はドル円の動向に同調し円安に押し上げられるも、徐々にドル高による圧迫感強まる印象
〇8.67以上での推移中は上昇余地ありとし、8.72超えからは8.75を目指すとみる
〇8.67割れからは、8.63前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月18日は8.68円から8.63円の取引レンジ、19日早朝の終値は8.67円で先週末終値の8.63円からは0.04円の円安リラ高だった。
3月末からのドル円の上昇基調が継続しており、4月18日も日銀黒田総裁の議会発言での円安容認姿勢から4月15日に付けた126.68円を超えて126.78円へ高値を切り上げ、その後の小反落も買われて19日早朝には127円台に到達した。ドル円の上昇基調を背景にトルコリラ円も買われて18日午後には8.68円をつけて3月11日以降の高値を更新、夜に8.63円まで下げたところも押し目買いされて19日午前序盤には8.70円へ上昇している。

【対ドルでは4月12日夜安値からの下落基調続く】

ドル/トルコリラの4月18日は14.61リラから14.66リラの取引レンジ、19日早朝の終値は14.64リラで先週末終値の14.63リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
感染拡大の波が繰り返される中での景気回復によりサプライチェーンが混乱して人手不足とモノ不足によるインフレが進行してきたところにウクライナ紛争・ロシア制裁による資源エネルギーや小麦等穀物供給不安が拡大してインフレが一層深刻化してきているため、米連銀の利上げを急ぐ姿勢が日々強まっており、5月FOMCでの0.50%利上げ観測を背景に米長期債利回りの上昇が続いている。4月18日は指標の米10年債利回りが一時2.88%へ上昇して2020年3月以降の高値を更新して2018年12月以来の高値水準に達したため、為替市場ではドルストレートでのドル高感が強まっている。
ドル/トルコリラも4月11日の14.77リラから4月12日の14.55リラへ一時的に反騰したものの再びドル高リラ安基調に入っており、4月19日早朝には14.66リラへ安値を切り下げた。

【歴史的な円安に押し上げられるもドル高による圧迫感も徐々に強まる】

トルコリラ円は3月中盤から歴史的な円安基調となっているドル円の動向に同調する動きであり、ドルの全般動向よりもドル円の上昇力が勝る状況のため、トルコリラ円としてはドル円の上昇を追いかける展開を続けるところだが、一方ではドル高感が強まっていることにも注意しておきたい。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は4月18日に100.86を付けて2021年1月6日底89.21以降の最高値を更新、2020年4月以来の高値水準へと上昇している。米長期債利回りの上昇によるドル高感に加え、ウクライナの戦場化とロシア制裁が強化する中で、エネルギーや穀物の輸出国としての米国には経済的なメリットが大きいものの、地政学的にはほぼ当事者の位置にありNATOとしての軍事的緊張感と共にロシア制裁による返り血も大きいためにユーロドルの下落が目立つ。ユーロドルはドル指数とは真逆の動きとなるが4月14日には1.0756ドルの安値を付けて2021年1月天井1.2349ドル以降の安値を更新して徐々に2020年3月底1.0636ドルに迫ってきている。

EUよりは影響が小さいもののポンドドルも昨年6月天井以降の安値を更新、豪ドル米ドルもロシア制裁による原油急騰場面で大幅高となっていたものの4月5日からは下落に転じており、ドル全面高の様相となってきている。
トルコリラは昨年12月の暴落一服の状況にあるものの、高インフレ下で利上げに踏み切れず、インフレが一段と深刻化することによる経常収支悪化懸念、主要国による金融引き締めが投機マネーの新興国投資からの逆流を招きやすい状況にあるため、徐々にドル全面高による圧迫感が強まってきている印象だ。

【トルコ中銀、リラ建て準備金金利をゼロに】

トルコ中銀は4月18日、リラ建ての所要準備金に適用されていた変動金利(8.5〜14.0%)をゼロに引き下げ、個人が外貨からリラに交換した金額に対する追加利払いを廃止した。また外貨からリラへ預金交換ができない個人に対して外貨口座に1.5%の利率を適用すると発表していた手数料制度を変更した。4月15日に中銀から金融機関に通達されて同日から実施された模様。
これらは15日に銀行に送付した中銀の書簡で示され、同日付で適用された。
昨年12月のリラ暴落に対する防衛措置として外貨預金からリラ預金への転換を促して来た措置だが、対ドルでのリラ暴落が収まり値動きが落ち着いてきたことにより時限的な措置を解除したということのようだが、リラへの下支え措置の一部撤廃ということになるため、リラにとってはマイナスの影響となると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月12日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、4月13日午後へ一段高したところから1円の大幅下落となってから下げ幅の半値以上を解消する上昇となったため、15日午前時点では直近のサイクルトップを13日夕高値、同サイクルボトムを14日夜安値とした強気サイクル入りと改め、高値形成期を18日午後から20日夕にかけての間と想定した。19日午前序盤へ一段高しているために引き続きトップ形成中とし、弱気転換は18日夜反落時の安値8.63円を割り込むところからとする。

60分足の一目均衡表では、4月18日夜からの一段高により遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみるが、先行スパンを上回るうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とし、弱気転換は先行スパンへ潜り込むところからとする。

60分足の相対力指数は4月19日午前の上昇で80ポイントに迫ってきている。65ポイント以上での推移中は一段高余地ありとみるが、相場が小反落した後に一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は弱気転換注意とし、60ポイント割れからは下落期入りとみて50ポイント割れへ向かう流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.67円を下値支持線、8.72円を上値抵抗線とする。
(2)8.67円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.72円超えからは8.75円を目指すとみる。8.75円手前は反落警戒とするが、8.70円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.67円割れからは8.63円前後への下落を想定する。8.63円前後はいったん買い戻しが入りやすいとみるが、8.67円を下回っての推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月20日
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 294.8億リラ)
4月21日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 72.5)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 グロス (4/8時点 677.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 ネット (4/8時点 183.0億ドル)
4月25日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 108.5)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 77.3)
4月28日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
 20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)


注:ポイント要約は編集部

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