欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表
昨日ECB金融政策会合後に要旨の記者発表がありました。政策金利に関しては事前の予想通り、全て据え置きになりました。資産購入も第3四半期に終了することを再確認しています。内容はウクライナ問題が深刻となり、インフレの一層の高進、先行き経済下振れリスクの高まりを指摘し、ECB保有資産の縮小に関する文言がありませんでした。市場はECBの引き締めが幾分後退したと受けとめ、公表後にユーロは1.0758付近まで売られ、1.08台前半で終了しています。
以下は昨日の金融政策に関する記者発表要旨です。
記者発表要旨
ウクライナへのロシア侵攻は莫大な苦しみを引き起こしている。またそれは、欧州や域外への経済にも影響を与えている。紛争やそれに関連した不確実性は企業や消費者の信頼感に重く圧し掛かっている。貿易の混乱は物資や仕入れの新たな不足をもたらしている。上昇しているエネルギーや商品価格は需要を減少させ、生産を後ろ向きにしている。経済がどの様に進展していくかは紛争がどの様に進展していくのか、現在の制裁の影響、あるいは更なる可能な措置があるかに決定的に依存している。同時に、経済活動はパンデミックの危機局面後の経済再開により支えられている。インフレは著しく上昇し、主にエネルギーコストの急上昇により今後も高まったままとなるだろう。インフレ圧力は多くの部門で強まっている。
今日の会合で、運営審議会は前回会合以降に入手したデータが債券購入プログラム(APP)下での純資産購入が第3四半期に終了すべきとする期待を補強していると判断した。将来を見ると、ECBの金融政策は入手するデータや運営審議会の見通し査定に依存している。不確実性の高い現状では、運営審議会は金融政策を運営する上で、選択性、漸進性、柔軟性を維持していくことになる。運営審議会はECBの使命である物価安定を遂行し、金融安定を守るために必要とされるあらゆる手段を採る。
資産購入プログラム(APP)
APP下での毎月の純購入額は4月400億ユーロ、5月300億ユーロ、そして6月200億ユーロになっている。今日の会合で、運営審議会は前回会合以降入手したデータにより、APP下での純資産購入が第3四半期に終了すべきとする期待を補強していると判断した。第3四半期の純購入額の目安はデータ次第で、運営審議会の見通し査定を反映したものとなろう。
また、運営審議会は、APP下で購入され、満期到来した債券の元本全額の再投資を継続していく意向である。これは主要なECB金利の引き上げ開始した日を過ぎてまで伸ばし、いずれの場合でも、好ましい流動性条件と十分な程度の金融緩和状況を維持するに必要な限りである。
主要なECB金利
主要な借り換え業務に関する金利や限界貸付金利、あるいは中銀への預金金利はそれぞれ0.00%、0.25%、▼0.50%で据え置いた。
主要金利のいかなる調整はAPP下で運営審議会の債券購入終了後暫くしてから行われ、かつ緩やかなものになる。主要ECB金利の道のりは運営審議会のフォワードガイダンスや、中期インフレを2%で安定させるという戦略的コミットメント(約束)により引き続き決定される。
従って、運営審議会は主要ECB金利が現状水準で維持されると予想している。それは予測期間の終わりや残りの予測期間中にインフレが十分2%に達し、実勢インフレの進展具合が中期的に2%で安定していくインフレと一致するように十分進んでいると判断されるまでである。
PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)
運営審議会はPEPP下で購入された満期到来の元本を少なくとも2024年の終わりまで再投資する意向である。いかなる場合でも、PEPPポートフォリオの将来的な保有解消は適切な金融政策スタンスに支障がない様に管理される。
パンデミックに関連して新たな市場を分断するような事態の場合、PEPP再投資は時間、資産クラス、あるいは管轄を越え、いかなる時も柔軟に調整される。
(以下残りPEPP部分とリファイナンス部分は略)
運営審議会は、インフレが中期的に2%目標で安定することを確保するため、保証されれば柔軟性を組み入れ、使命の範囲内であらゆる手段を調整する準備がある。パンデミック債は、ストレスある環境下で、資産購入の設計と実施の柔軟性が金融政策の伝達に障害をもたらすものに対抗でき、より効果的に運営審議会の目標達成を行うのに役立った。運営審議会の使命の中ストレスある状況下、金融政策伝達への脅威が物価安定の到達を危険に晒す場合はいつの時でも、この柔軟性は金融政策の要素である。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(2022年4月15日11:10、1ユーロ=1.0814ドル)
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