トルコリラ円見通し トルコ中銀の政策金利据え置きは予想通りで反応薄く、円安同調で上昇(22/4/15)

ドル円の上昇再開を見て買い戻し優勢となって8.62円へ上昇、終値ベースでも8.60円台を維持し、15日午前序盤には8.63円まで高値を切り上げている。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の政策金利据え置きは予想通りで反応薄く、円安同調で上昇(22/4/15)

トルコ中銀の政策金利据え置きは予想通りで反応薄く、円安同調で上昇

〇トルコリラ円、4/14夕刻安値8.56で下げ止まり、その後ドル円上昇再開を見て買い戻され8.62へ上昇
〇トルコ中銀、4会合連続で政策金利を14.0%に据え置く、当面は利下げも利上げもできない状況続くか
〇対ドル、4/14は14.63から14.57の取引レンジ、ドル高感が強まりやや売られる展開
〇歴史的な円安基調継続、トルコリラ円はドル円の動向と同調しながら高値切り上げを試す流れ
〇8.58以上での推移中は上昇余地ありとし、8.66超えからは8.70を目指す上昇を想定する
〇8.58割れを弱気転換注意とし、8.56割れからは8.53から8.50を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の4月14日は8.62円から8.56円の取引レンジ、15日早朝の終値は8.60円で前日終値から変わらずだった。
14日20時にトルコ中銀のMPC(金融政策委員会)は政策金利の現状維持を決定したが、市場の予想通りであり発表後に若干のリラ売りが見られたものの反応は限定的で、夕刻に付けた安値8.56円に並んだところで下げ止まり、その後はドル円の上昇再開を見て買い戻し優勢となって8.62円へ上昇、終値ベースでも8.60円台を維持し、15日午前序盤には8.63円まで高値を切り上げている。

【米長期債利回り上昇でドル高感が強まり、対ドルでのリラ下落基調】

ドル/トルコリラの4月14日は14.63リラから14.57リラの取引レンジ、15日早朝の終値は14.60リラで前日終値の14.59リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
14日夜のトルコ中銀による政策金利現状維持に対しての市場反応は一時的限定的なものにとどまったが、欧州中銀(ECB)理事会とラガルド総裁会見が利上げを急ぐタカ派姿勢とは言えない緩いものだったことからユーロドルが急落して昨年1月天井以降の安値を更新、ポンドドルもつれ安で大幅下落となり、さらに米長期債利回りの上昇でドル高感が強まったことで対ドルでのトルコリラもやや売られる展開となった。
4月11日まではドル高リラ安が進行して14.77リラへと下落したところから4月12日に14.55リラへと反騰したものの、その後は再び対ドルでのジリ安基調での推移に入っている。

【トルコ中銀は4会合連続で政策金利据え置き】

トルコ中銀は4月14日の金融政策委員会(MPC)において政策金利の週間レポレートを現行の14.0%で据え置いた。トルコ中銀は「最近のインフレはエネルギーコストや供給ショック、経済のファンダメンタルズに支えられていない一時的なもの」とし、「金融政策委員会はベース効果によるインフレ低下と地域紛争の解決に伴いディスインフレ過程が始まると予想している」との見通しを示した。また「実体経済向けの選択的融資を含めた信用拡大が金融安定に重要」としてマクロ・プルーデンス政策(金融システム全体のリスクの把握を重視して安定を図る)を強化するとした。

昨年9月から12月にかけて4会合連続で利下げを強行して19.0%から14.0%まで引き下げてきたが、エルドアン大統領及びその意を汲んだ中銀による「利下げがインフレを抑制する」との無理筋な政策意図に反してトルコの高インフレは一段と悪化してリラ暴落を招いたため、12月の利下げ後には1-3月期を効果を見定める期間として利下げを急がない姿勢を強調した。
様子見の1-3月を終了したものの、トルコの3月消費者物価上昇率は前年比で61.14%へ跳ね上がり、生産者物価上昇率の前年比は114.97%となり20年ぶりの高水準に達している。ウクライナの戦場化とロシア制裁による資源エネルギー、穀物・飼料・肥料、非鉄金属やパラジウム等の供給不安が拡大しており、トルコのインフレはこの先も70%超へとさらに悪化するだろうと推測されており、金融政策としては現行水準から10%以上の利上げをすべき状況と思われるが、エルドアン大統領の姿勢は変わらないため、当面は利下げできず利上げもできない状況での推移が予想される。

【円安基調継続でトルコリラ円への押し上げ続く】

ドル円は4月13日夕刻に黒田日銀総裁の信託大会における金融緩和政策継続強調をきっかけに126.31円へ上昇、2015年6月5日高値125.84円を超えて20年ぶりの126円台に到達したが、その後は高値警戒感と米長期債利回り低下によりいったん仕切り直しに入り14日には125円台序盤へ下げた。しかし日銀や政府による円安けん制は鈍く、米経済指標の強さや米連銀高官による引き締め強化支持発言が相次いだことで米長期債利回りが再び上昇となり、ドル円は14日深夜には126円台に到達、15日午前はさらに続伸して126.20円台に入っている。
トルコリラは対ドルでやや下落基調で推移しているものの、歴史的な円安効果が勝る中で3月11日以降を上昇基調で推移しており、ドル円の動向と同調しながら高値切り上げを試す流れとなっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月12日夜に一時急落したところから一段高へ進んだために13日午前時点では12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定した。
4月13日午後のドル円の急伸に押し上げられて一段高したところからドル円の反落により8.56円まで高値から1円の大幅下落となり、その後は反騰に入り下げ幅の半値以上を解消している。このため、直近のサイクルトップを13日夕高値、同サイクルボトムを14日夜安値とした強気サイクル入りと改める。高値形成期は18日午後から20日夕にかけての間とするが、14日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして19日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月14日夜からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンから転落しかけたところを切り返して上抜き返しているため、遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし先行スパンから再び転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月14日に40ポイントを割り込んだところから60ポイント台へ切り返しているので上昇再開に入っているとみて70ポイント台中盤への上昇を想定する。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.58円を下値支持線、8.66円を上値抵抗線とする。
(2)8.58円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.66円超えからは8.70円を目指す上昇を想定する。8.70円手前は反落警戒とするが、8.60円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.58円割れを弱気転換注意とし、8.56円割れからは8.50円台序盤(8.53円から8.50円)を試すとみる。8.52円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.50円割れを試す可能性もあると注意する。また8.58円を割り込んだ状況が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%、結果 14.0%)
4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 697.4億リラ)
4月20日
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 294.8億リラ)
4月21日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 72.5)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 グロス (4/8時点 677.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 ネット (4/8時点 183.0億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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