『約2ヵ月半ぶり高値圏へ上伸も、実質金利低下で上値余地は限定的か』
〇今週のトルコ円、トルコの国内指標改善、円独歩安に週央にかけ約2ヵ月半ぶり高値8.71まで上昇
〇その後トルコ中銀が政策金利据え置きを決定、実質金利低下に伴うリラ売り圧力に8.63前後で推移
〇トルコ円、テクニカルの地合い好転するもファンダメンタルズは引き続きトルコ売り材料多い
〇引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.35ー8.80
今週のレビュー(4/11−4/15)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.41円で寄り付いた後、早々に週間安値8.40円まで軟化しました。しかし、90日移動平均線や一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@トルコ2月経常収支(結果▲51.54億ドル、前回▲69.82億ドル)の赤字額減少や、Aトルコ2月失業率(結果10.7%、前回11.2%)の前月比改善、B対主要通貨での強烈な円売り圧力(円独歩安)、Cトルコ2月鉱工業生産(結果+13.3%、予想+7.5%、※前年比)の力強い結果、D関係筋による「トルコ当局が輸出企業に義務付けていた外貨収入の売却比率を25%から最大40%に引き上げることを検討中」との観測報道、E与党・公正発展党(AKP)による外貨をリラに交換した企業に対する税制優遇措置の延長法案提出が支援材料となり、週央にかけて、2/1以来、約2ヵ月半ぶり高値となる8.71円まで上昇しました。
しかし、Fトルコ中銀が市場予想通り政策金利の据え置きを決定すると、Gトルコ中銀がエルドアン大統領の圧力に屈したとの失望感(インフレ率が高騰しているにも係わらず政策金利の据え置きを決定)や、H実質金利低下に伴うリラ売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/16午前5時00分現在)では8.63円前後で推移しております。
来週の見通し(4/18−4/22)
トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、2/1以来、約2ヵ月半ぶり高値となる8.71円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転が点灯間近に迫るなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります(昨年後半以降の暴落相場からの復調期待)。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシア・ウクライナ両国と親密な関係にあるトルコ経済への下押し要因)や、Aトルコ中銀による独特な金融政策運営(エルドアン大統領がインフレを利下げで退治するという独自理論を展開しているため、トルコ中銀は足元のようにCPIが約20年ぶり高水準に達している状況下においても政策金利の引き上げを選択できない)、
B上記Aを背景とした実質金利の急低下、Cトルコ中銀による外貨準備の脆弱さ(介入余力の乏しさ)、D米FRBによるタカ派傾斜観測(米FOMCにおける連続大幅利上げ観測および早期バランスシート圧縮開始観測→米長期金急上昇→過剰流動性相場逆流リスク→新興国から米国への資金流出懸念)、Eエルドアン大統領の求心力低下(インフレ加速で国民の生活水準低下)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(トルコ中銀は実質金利低下に伴うリラ売り圧力をトルコ政府による強力な資本規制で抑え込む政策を継続中→但しこうした措置は長期化しづらく、結果として副作用を伴いながらリラ急落に繋がる恐れあり)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):8.35ー8.80
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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