来週の為替相場見通し:『日米金融政策格差でドル円は約20年ぶり高値圏へ』(4/16朝)

ドル円は1/24に記録した年初来安値113.47をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約20年ぶり高値となる126.68まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『日米金融政策格差でドル円は約20年ぶり高値圏へ』(4/16朝)

『日米金融政策格差でドル円は約20年ぶり高値圏へ』

〇今週のドル円、週末にかけて、2002年5月以来、約20年ぶり高値となる126.68まで急伸
〇日銀の緩和継続、円安許容姿勢とFRBのタカ派姿勢からの米金利上昇、米指標良好な結果が背景
〇ユーロドル週明け1.0935まで上昇後、ECB理事会ラガルド総裁のハト派姿勢等に1.0757まで急落
〇ドル円テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもドル高・円安トレンドの継続材料揃う
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週はロシア・ウクライナ情勢、イースター休暇明けの米国債、商品市場、米当局者発言要注視
〇来週の予想レンジ(USDJPY):124.50ー128.50、(EURUSD):1.0600−1.1000

今週のレビュー(4/11−4/15)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初124.06で寄り付いた後、早々に週間安値124.00まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@黒田日銀総裁による「必要なら躊躇なく追加緩和」とのハト派的な発言や、A日銀大阪支店長および日銀名古屋支店長による「円安は全体的にプラス」との円安容認発言、B米3月消費者物価指数(結果+8.5%、予想+8.4%、※前年比)の更なる上昇(1981年12月以来、約40年4ヵ月ぶり高水準)、CブレイナードFRB理事による「6月にバランスシート縮小に着手する可能性がある」とのタカ派的な発言、D黒田シーリングとして意識されていた125.86を突破したことに伴う仕掛け的なドル買い・円売り、E政府当局者による円安牽制スタンスの予想外の弱さ(鈴木財務相や松野官房長官より一般的な円安容認発言は見られるものの、本気度が滲み出る強力な牽制発言は見られず)、

F米3月輸入物価指数(結果+2.6%、結果+2.3%、※前月比)の伸び率昂進、G米4月ミシガン大消費者信頼感指数(結果65.7、予想59.0)の力強い結果、Hニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「50bp幅を含めた利上げペースの加速は妥当な選択肢」とのタカ派的な発言、I米長期金利の急上昇(米10年債利回りは2018年12月以来となる2.83%へ急上昇)、J原油先物価格の急上昇(貿易収支悪化に伴う円売り圧力)が支援材料となり、週末にかけて、2002年5月以来、約20年ぶり高値となる126.68まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/16午前5時00分現在)では、126.40前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0935で寄り付いた後、@4/10に実施されたフランス大統領選で現職のマクロン大統領が首位を維持したことを好感する形で、週明け早々に週間高値1.0951まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、Aロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(プーチン露大統領による「ウクライナとの交渉は行き詰まっている」との発言)や、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感(エネルギー価格上昇に伴う欧州経済への下押し圧力)、B米FRBによるタカ派傾斜観測(米金利上昇に伴うドル高圧力)、Cユーロ圏ZEW景況指数(結果▲43.0、前回▲39.3)の冴えない結果、D3/7に記録した直近安値1.0805を下抜けたことに伴う短期筋のロスカット、EECB理事会のハト派的な結果(ECBは政策金利の据え置きを決定すると共に、資産買い入れ終了時期についても従来方針を維持。さらに利上げについては資産買い入れ終了後一定期間が経ったあとに着手する方向性を示唆)、

FラガルドECB総裁による「一定期間とは、資産買い入れ終了後、数週間から数カ月になる可能性もある」「量的引き締めについての議論は時期尚早」とのハト派的な発言、G上記EFを背景とした金融政策の早期正常化観測の大幅後退(利上げを急がない姿勢の明確化)、H欧米金融政策の方向性の違い(欧米名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い)が重石となり、週後半にかけて、2020年4月以来、約2年ぶり安値となる1.0757まで急落しました。イースター休暇突入に伴うポジション調整で幾分持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/16午前5時00分現在)では、1.0810前後で推移しております。

来週の見通し(4/18−4/22)

<ドル円相場>
ドル円は1/24に記録した年初来安値113.47をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約20年ぶり高値となる126.68まで急伸しました。わずか3ヵ月弱で13.21円上昇するなど、歴史的急騰劇が続いております。この間、主要テクニカルポイントを軒並み突破した他(※市場参加者に注目されていたアベノミクス後の高値である黒田シーリングも突破)、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーが日足・週足・月足の全てで継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(有事のドル買い)や、A上記@に伴う資源価格の急上昇(資源輸入国である日本の貿易収支悪化→円売り)、B米FRBによるタカ派傾斜観測(米FOMCでの連続・大幅利上げ観測およびバランスシートの早期圧縮観測)、C日銀による金融緩和の長期化観測(黒田総裁は金融緩和の長期化方針を強調)、D上記BCを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(米国サイドからドル高牽制発言が出てきていないことも円売り安心感をもたらす結果に)。

尚、来週はロシア・ウクライナ情勢に加えて、イースター休暇明けの米国債市場および国際商品市場、米当局者発言(セントルイス連銀ブラード総裁、シカゴ連銀エバンス総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、パウエル FRB 議長など)などに注目が集まります。米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合(米長期金利上昇→米ドル買い)や、原油先物価格がもう一段上値を伸ばす場合(本邦貿易収支悪化懸念→円売り)などには、ドル円相場に強い上昇圧力が加わると見られることから、来週はドル円相場の更なる上昇に注意を要する1週間となりそうです(※来週はG20財務相・中央銀行総裁会議や日米財務相会談も予定されておりますが、インフレに苦しむ米政府・米当局からはドル高牽制に繋がる発言は出てこないと思料)。

来週の予想レンジ(USDJPY):124.50ー128.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は3/31に記録した直近高値1.1185をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約2年ぶり安値となる1.0757まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線などの主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や、移動平均線の弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、A上記@に伴う欧州経済の先行き不透明感(欧州各国はロシア産資源の禁輸対象拡大方針→欧州圏におけるエネルギー不足とインフレ昂進→欧州経済への下押し圧力)、BECBによるハト派的なスタンス(利上げを急がない姿勢の明確化)、C米FRBによるタカ派傾斜観測、D上記BCを背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力)など、ユーロドル相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週はユーロ圏経済指標(鉱工業生産や貿易収支、消費者信頼感指数やPMI速報値など)に加えて、欧州当局者発言(フィンランド中銀レーン総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁、ラガルドECB総裁など)に注目が集まります。ユーロ圏経済指標が市場予想を下回る冴えない結果を記録する場合や、欧州当局者より利上げに慎重なスタンスが見られる場合には、イースター休暇明けのポジション新規構築意欲も手伝って、ユーロドルがもう一段下げ幅を拡大する展開が予想されます。来週はユーロドル相場の続落リスクに注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0600−1.1000

注:ポイント要約は編集部

『日米金融政策格差でドル円は約20年ぶり高値圏へ』

ドル円日足

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