トランプ次期政権人事や関税政策巡り円買い優勢、11月19日安値割り込む
〇ドル円、11/26深夜に152.98へ下落し11/19夕安値153.28割り込む
〇9/16安値139.57以降の上昇トレンドから転落、暫くは安値試しが続きやすい局面
〇トランプ次期政権人事や外交・経済政策巡り思惑が交錯しやすい状況
〇米長期債利回り、前日の急低下落ち着きまちまちの動き、米株式市場は連騰
〇FOMC議事要旨公表、緩やかな利下げが適切との見方で一致
〇今夜、インフレ指標の米PCEデフレーター、米GDP改定値、週間新規失業保険申請件数等が発表予定
〇152.75割れからは152円前後への下落を想定、152円以下はいったん買われやすいとみる
〇153.70から154円手前までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、154円超える場合は強気転換注意
【概況】
ドル円は22日に著名投資家のスコット・ベッセント氏がトランプ次期政権の財務長官に指名されたとの報道で25日昼前に153.54円へ下落し、25日夕刻に154.71円までいったん戻してから再び軟調推移に入っていたが、トランプ氏が中国に10%、カナダとメキシコに25%の追加関税を課す方針を発表したことによる貿易戦争への懸念で人民元、カナダドル、メキシコペソが下落する一方、先行き不透明感による安全資産買いで円高優勢となり、26日深夜に152.98円へ下落して19日夕安値153.28円を割り込んだ。その後に153.71円まで戻したものの27日早朝は153円を再び割り込むなど軟調な推移が続いている。
【11月15日から二段目の下落期、19日以降の三角持ち合いから転落】
ドル円は11月19日夕安値153.28円を割り込んだことにより、11月15日高値156.74円以降の下落が二段目に入った。11月6日安値151.28円から19日安値へ底上げしてきた上昇トレンドから転落しており、19日夕安値と20日夜高値155.88円を起点とした三角持ち合いからも転落している。
前回のトランプ政権時代はドル高が米国輸出を不利にするとの大統領の姿勢により概ね円高基調で推移した経緯もある。トランプ次期政権人事や外交・経済政策を巡り思惑が交錯しやすい状況だが、12月の日銀金融政策決定会合で追加利上げ姿勢をこれまでよりも強く打ち出す可能性もあり、当面はドル円の安値試しが続きやすい状況と思われる。
今夜は米GDP改定値、インフレ指標として重視されている10月PCE(個人消費支出)デフレーター、週間新規失業保険申請件数等の発表が相次ぐ。
【米経済指標はまちまち】
26日の米経済指標はCB消費者信頼感指数が強かったものの新築住宅販売が予想よりも悪化するなどまちまちだった。
・米コンファレンス・ボード(CB)による11月消費者景気信頼感指数は111.7となり10月の109.6から上昇して市場予想の111.3も上回った。現況指数は前月から4.8ポイント上昇し、期待指数も0.4ポイント上昇し、CB担当者は過去2年間で最高水準に達し、労働市場に対する見方も改善したと指摘している。
・米商務省による10月新築一戸建て住宅販売件数(季調済、年換算)は前月比17.3%減の61万戸となり9月の73万8000戸から大幅に減少、前年同月比も9.4%減となった。住宅ローン金利上昇による購入の手控え、相次いだハリケーンの影響もあり2022年12月以来凡そ2年振り低水準となった。
・米連邦住宅金融庁(FHFA)による9月住宅価格指数は前月比0.7%上昇して8月の0.4%(速報の0.3%から上方修正)を上回り、前年同月比は4.4%上昇したが、四半期ベースでは第2四半期の3.76%から第3四半期の2.86%へ鈍化した。
・米連邦準備制度理事会(FRB)は11月6〜7日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表し、参加者は「経済が予想通り推移するなら緩やかな利下げが適切」との見方で一致していたものの、一部にはインフレが低下しない場合に利下げ停止の可能性を指摘していた。コアインフレ率が「依然として幾分高い」との指摘や、「インフレ鈍化が予想よりも長期化する可能性」が指摘され、労働市場については悪化リスクは幾分減じたとされた。
【米長期債利回り急低下一服、ダウは連日の史上最高値更新】
11月26日の米長期債利回りは前日の急低下が落ち着く中でまちまちの動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは25日にトランプ次期政権人事を巡る思惑で先週末比0.12%低下の4.28%と急低下したが、26日は関税強化方針を意識して急低下が落ち着き前日比0.03%上昇の4.31%となり、30年債利回りも25日に先週末比0.12%低下の4.47%としたが26日は0.01%上昇の4.48%とやや落ち着いた。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは2年債利回りは25日に先週末比0.11%低下の4.27%と急低下したが、26日は0.01%低下の4.26%と小幅低下にとどまっており、FOMC議事要旨が緩やかな利下げが適切との見方に下押しされた印象だ。
一方、NYダウは著名投資家の財務長官就任見通しを好感して25日に440.06ドル高と上昇したが、26日も123.74ドル高と上昇して20日から5連騰とし、取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も前日比119.46ポイント高で21日から4連騰とし、S&P500指数も34.26ポイント高で18日から7連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。ただ、関税強化報道を受けてゼネラル・モーターズ等米自動車大手3社「ビッグスリー」株は急落している。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は11月19日夕安値153.28円を割り込んで一段安に入っている。25日午前安値からいったん戻してから下落再開に入ったため、25日午前安値を基準として目先の安値形成期を28日午前から12月2日午前にかけての間と想定する。
9月16日安値139.57円以降の上昇トレンドから転落しており、暫くは安値試しが続きやすい局面とし、強気転換には154円超えからさらに続騰する上昇が必要と考える。
60分足の一目均衡表では右肩下がりの展開で安値切り下がり画続いているため遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。強気転換は先行スパンを上抜くところからとする。
60分足の相対力指数は徐々に戻り高値を切り下げて30ポイントに迫ってきているため、20ポイント割れを試す可能性があるとみる。20ポイント以下は反騰注意とするが、50ポイント以下での推移中は一時的な戻りから一段安へ進みやすいとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、152.75円を下値支持線、154円を上値抵抗線とする。
(2)152.75円割れからは152円前後への下落を想定する。152円以下はいったん買われやすいとみるが、153円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)153.70円から154円手前までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、154円を超える場合は強気転換注意として25日夕高値154.71円試しとする。
【当面の予定】
11/27(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 4.25%)
18:30 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -18.3、予想 -18.6
22:30 (米) 7-9月期 GDP・改定値 前期比年率 (速報 2.8%、予想 2.8%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費・改定値 前期比年率 (速報 3.7%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE・改定値 前期比年率 (速報 2.2%)
22:30 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 -0.8%、予想 0.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.6万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.8万人、予想 190.8万人)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前月比 (9月 7.4%、予想 -2.0%)
24:00 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 PCE(個人消費支出) 前月比 (9月 0.5%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.3%)
24:00 (米) 10月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (9月 2.7%、予想 2.8%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債入札
11/28(木)
休場 米国(感謝祭) 株式・債券市場
09:00 (NZ) 11月 ANZ企業信頼感 (10月 65.7)
09:30 (豪) 7-9月期 民間設備投資 前期比 (4‐6月 -2.2%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 11月 消費者信頼感・確報値 (速報 -13.7)
19:00 (欧) 11月 経済信頼感 (10月 95.6、予想 95.2)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (10月 0.4%、予想 -0.2%)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (10月 2.0%、予想 2.3%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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