トルコリラ円見通し 3月11日以降の上昇基調を継続だが1-2月の持ち合い上限に迫る(22/4/18)

トルコリラ円の4月15日は8.67円から8.61円の取引レンジ、16日早朝の終値は8.63円で前日終値の8.60円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 3月11日以降の上昇基調を継続だが1-2月の持ち合い上限に迫る(22/4/18)

3月11日以降の上昇基調を継続だが1-2月の持ち合い上限に迫る

〇トルコリラ円、15日は聖金曜日で薄商いの中、21時台に8.67へ一時急伸
〇特段材料見つからずすぐ失速したものの、3/11安値以降の高値更新に
〇対ドルでは、4/12からジリ安基調、15日は14.66をつけ12日以降の安値更新
〇2月にトルコ統計局責任者解任、従来の計算なら3月消費者物価上昇率は前年比142.63%
〇円安の勢い減速し対ドルでのリラ安再開なら、戻り一巡しトルコリラ円にも影響
〇8.70以上を反落警戒としその後8.65を割り込むところからは下落期入りとなる可能性に注意

【概況】

トルコリラ円の4月15日は8.67円から8.61円の取引レンジ、16日早朝の終値は8.63円で前日終値の8.60円からは0.03円の円安リラ高だった。
4月15日は欧米市場が聖金曜日の祝日で為替市場は通常取引だったものの欧米の参加者は少なく手掛かりに欠ける状況だったが、ドル円が午前高値で126.55円へ上昇したところでトルコリラ円は8.64円台を回復、ドル円が午後に126.68円まで高値を伸ばしたところで8.67円手前へ上昇、その後にドル円はやや下げて126.50円を挟んだ揉み合いでの推移に入ったが、トルコリラ円は薄商いの中で21時台に8.67円へ一時急伸した。特段の材料は見当たらずにすぐに失速したものの3月11日安値7.76円以降の高値更新となった。
週間では前週末の8.42円から0.21円の円安リラ高となり、週足は5週連続の陽線で円安リラ高基調を継続した。

【対ドルでは4月12日からは再びドル高リラ安基調】

ドル/トルコリラの4月15日は14.66リラから14.57リラの取引レンジ、16日早朝の終値は14.63リラで前日終値の14.60リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
4月11日へのドル高リラ安で14.77リラへと下落したところから4月12日に14.55リラへと反騰したが、その後は再び対ドルでのジリ安基調での推移に入っている。4月15日夜は一時的に14.57リラへドル安リラ高となる場面があったものの特段の材料なく早々にリラ安に転じて4月12日以降の安値を更新した。
週間では4月12日の反騰分を反映して前週末の14.74リラからは0.09リラのドル安リラ高だった。

【現実はハイパーインフレ?】

4月14日にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを14%で据え置いた。昨年9月から12月への4会合連続利下げにより19%から14%へと引き下げられてきたが、「利下げがインフレを抑制する」というエルドアン大統領による逆説的な金融政策論と意に沿わない中銀総裁らの解任により利下げが強行された結果、インフレ率は消費者物価上昇率の前年比で見れば2021年9月の19.58%から2022年3月の61.14%へと跳ね上がった。エネルギーや食品を除くコア指数も昨年9月の17.0%から今年3月の48.4%へと跳ね上がった。
高インフレと無謀な連続利下げを嫌ってリラは大暴落となり史上最安値を大幅に更新、トルコリラ円は昨年9月1日に13.32円だったところから12月20日に6.17円まで急落した。リラ預金の為替差損補填政策を発表したことで12月23日に11.14円まで急反騰したものの早々に売られて今年3月11日には7.76円まで下落、その後は円安と対ドルでのリラ安一服により戻しているものの8円台中盤にとどまっている。

今年2月にトルコ統計局の責任者が解任された。新任の統計責任者による消費者物価計算ではなく、従来の計算とすれば、3月のトルコ消費者物価上昇率は前月比で11.93%(公式統計では5.46%)、前年比では142.63%だったとトルコのENAグループは主張しており、既にインフレが100%を超えるハイパーインフレ状態にあると主張している。
トルコでは付加価値税の8%から1%への引き下げ、最低賃金の倍増等を打ち出し、輸出企業の売り上げ外貨を中銀に強制的に預けることや通貨スワップ協定の強化等で新たなリラ暴落を防いでいるものの、ウクライナの戦場化とロシア制裁の深刻化により世界規模のインフレ進行が収まらない状況にあり、4月以降の公式のインフレ率も一段と上昇し、リアルなインフレ率も一層ハイパーインフレ感を強める状況といえそうだ。

【円安と3〜4か月サイクルによる上昇期もそろそろ行き詰まるか】

【円安と3〜4か月サイクルによる上昇期もそろそろ行き詰まるか】

ドル円が126円台に到達して20年ぶり高値水準に達し、2021年1月底102.57円以降の最高値を更新している。2015年6月に125.84円へ大上昇した直後に黒田日銀総裁が「これ以上の円安は考えられない」と述べたことがきっかけとなって円安が一巡した経緯があったが、現状はその黒田ラインを超える円安水準にあり、日銀が連続指値オペによる長期金利上昇抑制への強固な姿勢を示し、円安は円高よりも有益とし、金融引き締めの時期ではないとして緩和政策を継続していることと、輸入インフレによる経常収支悪化が悪い円安を引き起こし、それを容認するしかない状況に陥っている。

この円安が続くうちはトルコリラ円も支えられるが、円安の勢いが減速して対ドルでのリラ安が再開する場合には戻りも一巡してトルコリラ円でもドル高リラ安の影響が勝ることになりかねない。ウクライナ情勢・ロシア制裁によるインフレの進行、主要国の利上げと投機マネーの新興国からの撤退等が見られる場合、およびエルドアン政権による利上げ拒否姿勢とインフレ進行とのギャップによるリラ売り攻勢等が発生する場合はトルコリラ円の上昇一巡へのきっかけとなる可能性があると思われる。

トルコリラ円は概ね3か月から4か月周期で底打ちを繰り返しており、昨年12月20日底から3か月目となる3月11日安値でこのサイクルの底を付けてリバウンドに入った。高値形成期は12月23日の反騰時高値を基準として3月後半から4月後半にかけての間と想定されるところだが、既に4月中旬に入っているためにそろそろこのサイクルのピークを付けてもよい時間帯といえる。
中勢の弱気転換目安を26日移動平均とすれば現在8.29円にあるためまだ下値の余裕のあるところだが、ひとたび急落し始めると下げ足も速いため、8.30円台へ下落し始める場合は弱気転換注意としたい。
3月11日にかけて下落する前は8円台中心の持ち合いであり、その間の高値は1月12日の8.70円、1月31日の8.67円等であり、既に8.67円に到達したところで戻り一巡となってもよい水準に来ていると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.60円を下値支持線、8.67円を上値抵抗線とする。
(2)8.60円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.67円超えからは8.70円台序盤を目指すとみる。その場合は8.70円以上を反落警戒としてその後に8.65円を割り込むところからは下落期入りとなる可能性に注意する。
(3)8.60円割れからは8.50円台中盤(8.57円から8.53円)を目指す下落を想定する。8.55円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.50円台序盤(8.52円から8.50円)へ下値目途を引き下げ、8.60円以下での推移が続く場合は下向きの流れの継続と考える。

【当面の主な予定】

4月20日
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 294.8億リラ)
4月21日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 72.5)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 グロス (4/8時点 677.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/15時点 ネット (4/8時点 183.0億ドル)
4月25日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 108.5)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 77.3)

4月28日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
 20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)

注:ポイント要約は編集部

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