トルコリラ円見通し ドル円の急伸時に8.66円をつけ3月11日以降の高値を更新してからは反落(22/4/14)

トルコリラ円の4月13日は8.66円から8.59円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.60円で前日終値の8.58円から0.02円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸時に8.66円をつけ3月11日以降の高値を更新してからは反落(22/4/14)

ドル円の急伸時に8.66円をつけ3月11日以降の高値を更新してからは反落

〇昨日のトルコリラ円、ドル円の20年ぶり高水準での円安に押し上げられ高値8.66つける
〇終値ベースでは8日から4連騰の上昇、取引時間中及び終値ベースで3/11以降の高値更新
〇対ドルでは、米長期債利回り低下によりドル安感強まり、リラ高状態を維持しての推移
〇トルコ中銀が国内輸出企業に外貨収入の中銀への売却比率を現行25%から40%に引き上げ検討
〇今晩20時にトルコ中銀の金融政策決定会合、政策金利現行の14.0%で据え置かれると予想
〇8.63超えから上昇再開とし、8.66超えからは8.70を目指す上昇を想定
〇8.55割れからは8.50台序盤を試すとみる、8.52以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の4月13日は8.66円から8.59円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.60円で前日終値の8.58円から0.02円の円安リラ高となった。
4月13日午後の信託大会において日銀の黒田総裁が金融緩和政策の継続を改めて強調したことをきっかけにドル円が126.31円へ上昇して2020年1月6日安値102.57円以降の高値を更新、2015年6月天井の125.84円を超えて凡そ20年ぶりの高水準に達した局面でトルコリラ円も円安に押し上げられてこの日の高値を付けた。
その後はドル円がいったん仕切り直しの下落となり13日午後からの上昇分を解消したためにトルコリラ円も下落したが、終値ベースでは4月8日から4連騰の上昇となり取引時間中及び終値ベースで3月11日以降の高値更新となった。

【米長期債利回り低下でドル安反応、対ドルでのリラ高続く】

ドル/トルコリラの4月13日は14.60リラから14.56リラの取引レンジ、14日早朝の終値は14.59リラで前日終値の14.60リラからは0.01リラのドル安リラ高となった。
4月12日夜の米CPI統計でコア指数の伸びが予想を下回ったことをきっかけに当面の米インフレ進行がピークに近いとの認識が広がって米長期債利回りが低下したことや、トルコにおけるリラ預金保護口座の満期到来による為替差損分の補填が始まったことでのリラ需要、中銀による輸出企業へのドル預け入れ比率の引き上げ観測等がリラ買い優勢の動きとなり14.54リラまでドル安リラ高となった。
4月13日は14.58リラを挟んでほぼ横ばいの動きだったが、米長期債利回り低下が続いたことで深夜にかけてドル安感が強まったためにリラ高状態を維持しての推移となった。

【輸出企業のドル預け入れ比率を倍増させる動き】

トルコ中銀が国内輸出企業に対して義務付けている外貨収入の中銀への売却比率を現行の25%から40%に引き上げることを検討していると地元紙が報じている。トルコ中銀のカブジェオール総裁が12日に輸出企業団体とのビデオ会議で示したという。4月11日時点でロイターが売却比率を50%へ引き上げる案が検討されていると先行して報道しているが、会議出席者は決定はまだされていないとし、中銀はこの件にコメントしていない。
トルコ中銀はリラ防衛のための外貨準備高を拡充させるために中国やUAE等との通貨スワップ協定を強化、イスタンブールの貴金属市場で金地金を購入、通貨市場でのスワップ取引でドル買いリラ売りを行う一方で輸出企業の売り上げ収入であるドルやユーロなどを中銀へ強制的に売却させている。こうした政策によりリラの安定を図っているところだが、現在落ち着いているところから再びリラ安が始まる場合には通貨防衛力としての外貨準備高の内実は十分とは言えない状況にある。

【今晩、トルコ中銀金融政策決定会合】

今晩20時にトルコ中銀の金融政策決定会合がある。政策金利の週間レポレートについては高インフレが続いていることにより現行の14.0%で据え置かれると予想されている。直近のロイターによる調査では18人のアナリストすべてが14%の据え置き予想で一致している。
高インフレは利下げにより収まるというエルドアン大統領の自説を強要される形でトルコ中銀は昨年9月から12月にかけて4会合連続の利下げを強行して政策金利を19%から14%まで引き下げた。その結果はインフレのさらなる悪化であり、3月のトルコCPIは前年比61.14%、PPIは114.97%へと悪化している。
中銀は12月の利上げ後に1-3月は様子見とするとしていたが、インフレが収まらず、ウクライナ紛争とロシア制裁による国際原材料相場の高騰がインフレをさらに悪化させている状況のため当面は利下げをあきらめるだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月12日夜に一時急落したところから一段高へ進んだために13日午前時点では12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また次の高値形成期は11日夜高値を基準として14日夜から18日夜にかけての間と想定した。
4月13日午後のドル円の急伸に押し上げられて一段高したところからドル円の反落により8.60円割れへ失速しているため短めにサイクルトップを付けた可能性があるが、8.55円以上を維持するうちは8.62円超えから上昇再開とし、8.55円割れからは弱気サイクル入りとして15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月14日午前の下落で遅行スパンが悪化しているが先行スパンを上回る状況は維持しているので、遅行スパンが好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は調整安がさらに長引くとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月13日午後からの上昇で70ポイントをいったん超えたがその後の反落で40ポイント台へ低下している。55ポイント超えからは上昇再開とするが40ポイント割れからは30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.55円を下値支持線、8.66円を上値抵抗線とする。
(2)8.55円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.63円超えから上昇再開とし、8.66円超えからは8.70円を目指す上昇を想定する。8.70円手前は反落警戒とするが、8.60円以上での推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.55円割れからは8.50円台序盤(8.53円から8.50円)を試すとみる。8.52円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.50円を割り込む可能性もあるとみる。また8.55円を割り込んだ後も8.57円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 グロス (4/1時点 668.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 ネット (4/1時点 164.0億ドル)
4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 697.4億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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