ドル円見通し 2015年6月高値を超え126円台到達後は米長期債利回り低下で失速(22/4/14)

ドル円は4月13日午後の信託大会で日銀黒田総裁が金融緩和政策継続姿勢を改めて強調したことをきっかけに急伸、126.31円を付けて2015年6月5日高値125.84円を超えた。

ドル円見通し 2015年6月高値を超え126円台到達後は米長期債利回り低下で失速(22/4/14)

2015年6月高値を超え126円台到達後は米長期債利回り低下で失速

〇ドル円、黒田総裁の金融緩和政策継続姿勢強調で126.31をつけ20年ぶりの126円台に
〇急騰一服後は高値警戒感で利益確定売り優勢、125円台前半へ下げる
〇米労働省が13日夜に発表した3月PPI前月比は1.4%上昇で2月0.9%から伸びが加速
〇日米長期金利差の拡大基調変わらず、調整消化しつつ高値更新へ上昇再開を伺う展開か
〇125.70以下での推移中は下向きとして12日夜安値124.77試しを想定
〇126円台回復からは中盤(13日夕高値126.31から126.70)を目指すとみる

【概況】

ドル円は4月13日午後の信託大会で日銀黒田総裁が金融緩和政策継続姿勢を改めて強調したことをきっかけに急伸、126.31円を付けて2015年6月5日高値125.84円を超えた。4月11日に125.77円へ上昇して2021年1月6日底102.57円以降の高値を更新してから12日夜には米CPIコア指数の伸びが鈍化したとして米長期債利回りの低下と共にいったんは125円を割り込んだが、12日夜安値124.77円から持ち直して徐々に11日夜高値に迫っていたところ、黒田総裁発言がトリガーとなって20年ぶりの126円台到達となった。
急騰一服後は高値警戒感で利益確定売り優勢となり、米長期債利回りが前日から続落したことも重なり125円台前半へ下げている。

【黒田ライン=125円からさらに円安容認水準は切り上がったか】

2015年の6月5日高値で125.84円を付けた後、黒田総裁はこれ以上の円安は考えられないと発言したために市場は125円=黒田ラインとして2012年後半から本格化したアベノミクスと日銀異次元金融緩和による円安ドル高が一巡となり2016年6月には一時100円割れまで失速した。2016年11月に米大統領選挙でトランプ氏が勝利したことをサプライズとして2016年12月高値で118.65円までいったん戻したもののその後はジリ安の推移で2020年3月のパンデミック発生時には101.23円まで下げた。
しかし2021年1月からは徐々に円安が進行、2017年後半からの115円手前の壁を超え、トランプラリーの高値を超え、今回はついに2015年の黒田ラインも超えた。
月足チャートにおける過去の目安となる高値は2002年1月31日高値135.15円、その上は1998年8月11日高値147.69円まで見当たらなくなった。
主要国がインフレ対策で金融引き締めに走る中、日銀がかたくなに金融緩和継続を強調し、連続指値オペによる長期金利上昇抑制への強い姿勢を示し、125円台に到達した後も円安けん制は鈍く金融緩和継続をさらに強調したことで130円超えを目指す可能性も取り沙汰されている。

【米3月PPIは2月から伸びが加速】

米労働省が13日夜に発表した3月のPPI前月比は1.4%上昇で2月の0.9%から伸びが加速して市場予想の1.1%を大幅に上回り、統計が現行方式に改定された2009年12月以来12年ぶりの伸び率となった。前年同月比は11.2%上昇となり2月の10.3%から加速して市場予想の10.6%を大幅に上回り現行統計開始以来最大の伸びとなった。
12日に発表された3月CPIが前月比1.2%上昇で2月の0.8%から伸び、前年同月比8.5%上昇となり1981年12月以来最大の伸びとなったものの、コア指数の前月比が2月の0.5%から0.3%へと低下して市場予想の0.5%を下回ったことと前年同月比も2月の6.4%から6.5%へと伸びたものの予想の6.6%を下回ったため、当面するインフレのピークに達したのではないかとの見方が強まった。13日のPPI統計後もこの見方は変わらないようだが、CPI上昇に先行するPPIの上昇がまだ続いていることは今後のウクライナ紛争及びロシア制裁の影響等による資源エネルギーや穀物等の高騰が続けばピークはまだ先と市場が再認識する可能性もあるところだ。

【米10年債利回りは上昇一服による続落】

4月13日の米10年債利回りは前日比0.03%低下の2.70%となった。12日に一時2.83%へ上昇して昨年来の最高値を更新したもののCPI発表から低下に転じて前日比0.05%低下の2.73%となっていたが、13日もさらに上昇一服感の継続で続落した。30年債利回りも0.01%の小幅低下で2.81%となり、2年債利回りは0.06%低下の2.35%となった。
ドル円は126円台到達時の急騰が一服していたところで米長期債利回りが続落したことでいったん仕切り直し的に下落している。しかし日銀の金融緩和継続と米連銀の引き締め強化姿勢の差、それを反映した日米長期金利差の拡大基調は変わらず、高値更新後の調整を消化しつつ高値更新への上昇再開を伺う展開と思われる。
米連銀のウォラー理事は4月13日にインタビューに答えて「5月のFOMCだけでなく、6月と7月も0.50%の大幅利上げを続ける可能性がある」と述べている。3月後半からはパウエル米連銀議長他の連銀高官、地区連銀総裁らが年内に複数回の0.50%利上げを織り交ぜてゆく姿勢を鮮明にしてきている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点とした上昇基調を継続しており、4月12日夜の反落時の安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたと思われる。13日夕高値からは1円を超える反落のため、既にサイクルトップを付けて調整期に入っている可能性もあるが、12日夜も1円幅の反落から切り返しているため、弱気転換は12日夜安値124.77円割れからとし、12日夜安値割れを回避するうちは18日午後から20日夕にかけての間への上昇余地ありとみる。12日夜安値を割り込む場合は15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では14日午前に遅行スパンが悪化しており先行スパンからも転落しやすい位置にある。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落状態が続く場合は調整安が長引くとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月11日夜高値から13日夕高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られて30ポイント台まで低下している。このため50ポイント台回復から続伸へ進めないうちは一段安余地ありとするが、30ポイント以下は反騰注意とする。50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開とみて70ポイント台回復を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月12日夜安値124.77円を下値支持線、13日夕高値126.31円を上値抵抗線とする。
(2)125.70円以下での推移中は下向きとして12日夜安値試しを想定する。12日夜安値割れを回避して125.70円を超えるところからは上昇再開の可能性ありとし、126円台回復からは126円台中盤(13日夕高値126.31円から126.70円)を目指すとみる。また125.70円以上での推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12日夜安値を割り込む場合は124円台序盤(124.30円から124.00円)を試すとみる。124円台序盤は押し目買いされやすい水準とみるが125円以下での推移なら15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/14(木)
休場 ノルウェー、フィリピン、メキシコ、コロンビア(聖木曜日)
休場 タイ(ソンクラーン)
休場 インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 7.74万人、予想 4.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 4.0%、予想 3.9%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
20:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、記者会見
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.3%、予想 0.6%)

21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 16.6万件、予想 17.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 152.3万人、予想 150.0万人)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.4%、予想 2.3%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 3.0%、予想 2.2%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 1.1%、予想 1.3%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (3月 59.4、予想 59.0)
28:50 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

4/15(金)
休場 米、英、独、仏、伊、カナダ、スイス、ノルウェー等(聖金曜日)
休場 香港、シンガポール、マレーシア、インド、豪、NZ、メキシコ、ブラジル、南ア等(聖金曜日)
※米国は債券、株式、商品休場、為替は通常取引、※マレーシアはゴム休場、株式、金融債券通常取引
休場 タイ(ソンクラーン)
07:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (3月 -11.8、予想 1.0)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 77.6%、予想 77.8%)

注:ポイント要約は編集部

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