トルコリラ円見通し ドル円の125円割れで一時急落もV字反騰で一段高に(22/4/13)

12日夜は米消費者物価発表直後のドル安局面でドル円が125円を割り込む反落となったためにトルコリラ円も8.50円までいったん下げた。

トルコリラ円見通し ドル円の125円割れで一時急落もV字反騰で一段高に(22/4/13)

トルコリラ円見通し ドル円の125円割れで一時急落もV字反騰で一段高に

〇トルコリラ円、4/12夜ドル円125円割れで 8.50へ急落、売り一巡後8.60まで反騰
〇対ドル、4/12は14.69から14.54の取引レンジ、リラ一段高状態を維持
〇4/11からのドル安リラ高、輸出企業のドル預託比率倍増、リラ補填開始を反映か
〇2月トルコ小売売上高、前月比0.5%増、依然として低水準
〇8.57以上での推移中は上昇余地ありとし、8.65を超える場合は8.70に迫る上昇を想定する
〇8.57割れから続落の場合は弱気転換注意とし、8.55割れからは8.50円台序盤を試す流れとみる

【概況】

トルコリラ円の4月12日は8.60円から8.50円の取引レンジ、13日早朝の終値は8.58円で前日終値の8.54円からは0.04円の円安リラ高となった。
ドル円の上昇を背景に4月11日高値で8.58円を付けた後は上昇一服となり8.55円を中心に8.52円から8.58円手前までの持ち合いで推移していたが、12日夜は米消費者物価発表直後のドル安局面でドル円が125円を割り込む反落となったためにトルコリラ円も8.50円までいったん下げた。しかしドル円は売り一巡から早々に買い戻されて125円台前半へ戻し、対ドルではリラ高進行後も高止まりとなったことからトルコリラ円は8.60円まで反騰した。
4月13日朝には8.61円へ高値を切り上げている。

【ドル/トルコリラ動向 対ドルでリラ反発続く】

ドル/トルコリラの4月12日は14.69リラから14.54リラの取引レンジ、13日早朝の終値は14.60リラで前日終値の14.66リラからは0.06リラのドル安リラ高となった。
3月29日のイスタンブールにおけるロシア・ウクライナ停戦協議での進展期待報道から14.58リラへと反騰したところからリラ買い一巡となり4月11日安値14.77リラへ下落基調が続いてきたが、11日はリラ安の一巡から14.62リラへ反騰、12日の日中は14.65リラから14.69リラまでのレンジで持ち合いとなり、12日夜の米消費者物価上昇率発表後のドル安反応局面で14.54リラへ一段高となった。米消費者物価発表後のドル安反応は一時的なものにとどまり、その後にドル円は反騰、ユーロドルが一段安するなどドル高感が再燃しているが、対ドルでのトルコリラは一段高状態を維持しており、13日午前序盤も14.56リラから14.62リラのレンジ内で確りしている。

【輸出企業のドル預け入れ比率を倍増させる動き】

4月11日からのドル安リラ高については、為替差損補填政策によるリラ保護預金の満期到来によるリラの補填が始まっていることでのリラ需要の拡大のほか、トルコ中銀が国内の輸出企業に対してドルやユーロの外貨売り上げの中銀への預託比率を従来の25%から50%へ引き上げる見込みとの報道も反映している印象だ。
トルコ中銀はリラ防衛のための外貨準備高を充実させるために中国やUAE等との通貨スワップ協定を強化する一方、貴金属市場での金購入や通貨市場でのスワップによるドル買いリラ売り等を進めており、輸出企業が売り上げとして保有するドルやユーロ等を強制的に中銀口座へ預託させている。

【トルコの小売売上高は冴えない】

【トルコの小売売上高は冴えない】

4月12日夕刻に発表された2月のトルコ小売売上高は前月比0.5%増となり1月の1.2%減からは回復したものの依然として低水準にあり、前年同月比は6.2%増で1月の8.1%増からは鈍化した。前月比は高インフレとリラ暴落の影響で12月に2.3%減へ落ち込み1月もマイナスが続いたが、高インフレが続いているもののリラ暴落が落ち着いたことで若干の持ち直しが見られる。しかし前年比で見ればパンデミックショックからの回復で昨年4月に43.1%増まで急回復した後は伸びの鈍化が続いており1月からは一桁台の伸びにとどまっている。
2月の鉱工業生産の前月比は4.4%増となり1月の2.3%減から回復し、前年同月比は13.3%増となり1月の7.6%から伸びが加速して市場予想の9.2%を上回った。前年比はパンデミック後の急回復で昨年4月に66%増となったところからは落ち着き、昨年夏以降は10%を前後した水準で推移している。ウィズコロナ政策による景気回復は続いているのだが、2月末からのウクライナ紛争ぼっ発の影響は3月の統計からであり、軍事ドローンの輸出拡大のほかは低迷していることも懸念されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日からの上昇基調を継続しており、4月12日午前時点では4月11日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、4月12日夜に一時急落したところから一段高へ進んでいるため、12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。次の高値形成期は11日夜高値を基準として14日夜から18日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段高余地ありとし、弱気転換には8.55円を割り込むような急落が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、4月12日安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンからの転落を回避して大幅に上回った状況を維持している。このためため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん調整安に入るとみて安値試し優先とするが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は4月12日夜に40ポイントまで低下してから70ポイント台回復へ反騰している。60ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇継続として80ポイント台を目指す流れを想定し、60ポイント割れを弱気転換注意、50ポイント割れからは下落期入りとして40ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.57円を下値支持線、8.65円を上値抵抗線とする。
(2)8.57円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、8.65円を超える場合は8.70円に迫る上昇を想定する。8.67円以上は反落注意とするが、8.57円以上での推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.57円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、8.55円割れからは8.50円台序盤(8.53円から8.50円)を試す流れとみる。8.52円以下は反騰注意とするが、8.55円を割り込んでの推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 グロス (4/1時点 668.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 ネット (4/1時点 164.0億ドル)
4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 697.4億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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