ドル円見通し 125円割れを切り返して上昇基調を維持、2015年6月高値超えへの挑戦続く
〇ドル円、4/12夜一時125円割り込むも13日朝125.50近辺へ持ち直す
〇米3月消費者物価上昇率40年ぶり高水準ながら、コア指数予想下回り一時的ドル安反応に
〇FRBブレイナード理事CPIコアが「前月比で著しく鈍化」と発言、5月以降利上げ加速姿勢は変わらず
〇米10年債利回り、4/12昨年来高値2.83%、コア指数鈍化で反落するも上昇基調継続
〇125円以上での推移中は上向きとし、125.77超えからは126円台中盤を目指す上昇を想定する
〇124.77割れからは124円台序盤を試すとみる
【概況】
ドル円は4月12日夜の米消費者物価上昇率の発表でコア指数の伸びが予想を下回ったことをきっかけにドル安反応となった局面で125円を割り込み124.77円までいったん下げたが、売り一巡後は買い戻し優勢となり125円台を回復、13日朝には125.50円近辺へ持ち直している。
米消費者物価コア指数の伸びが緩かったことでインフレのピークが近いと市場が受け止めて一時的なドル安反応となったようだが、全体の消費者物価上昇率は40年ぶり高水準であり、ウクライナの戦場化とロシア制裁長期化を踏まえれば良くて高止まり、悪ければ一段と深刻なレベルへ進む可能性もあり、米連銀の5月大幅利上げ予想や日銀の金融緩和継続による日米金利差の拡大傾向と輸入インフレによる経常収支悪化からの悪い円安はさらに進みやすい環境と思われる。
【米3月消費者物価は40年ぶり高水準】
米労働省が4月12日夜に発表した3月の消費者物価指数上昇率は全体の前月比が1.2%で2月の0.8%から伸びが加速したが市場予想と一致した。前年同月比は8.5%となり2月の7.9%から一段と加速して市場予想の8.4%を上回り1981年12月以来40年3か月ぶり高水準に達した。一方でコア指数の前月比は0.3%となり2月の0.5%から伸びが鈍化して市場予想の0.5%を下回り、前年同月比は6.5%で2月の6.4%から上昇したものの市場予想の6.6%を下回った。
項目別の前年比はガソリンが48.0%。中古車・トラックが35.3%%の大幅上昇だった。前月比でも燃料油が22.3%、ガソリンが18.3%でエネルギー全体では11.0%の上昇だった。
コア指数の伸びに鈍化がみられるとして市場はインフレ懸念への前のめりな反応に対する修正として一時的にドル安反応となったが長続きはせず、ユーロドルは戻り一巡後にこの間の安値を更新して昨年1月天井1.2349ドル以降の最安値である今年3月7日の1.0804ドルに迫る1.0820ドルへ失速し、ドル円も125円割れから反騰している。
感染拡大の波が繰り返し発生する中でサプライチェーンが混乱して人手不足とモノ不足によるインフレが進行、金融緩和がインフレ加速に輪をかけていたところにウクライナ紛争ぼっ発とロシア制裁がインフレを一段と悪化させるきっかけとなってきた。プーチン大統領は12日に戦争継続姿勢を改めて強調、撤退する意思のないことを示しており、一時は期待の高まった停戦協議への進展は見られず、NY原油は12日に前日比で6.7%高の上昇で100ドル台を回復している。
【米10年債利回りは2.83%へ一段高してから反落】
長期金利の指標である米10年債利回りは12日に2.83%へ上昇、昨年来の高値を更新したが、米消費者物価コア指数の伸びが予想を下回ったことで先週からの連騰一服となり前日比0.05%低下の2.73%へ下げた。ただし一時は2.68%まで下げたところから持ち直している。30年債利回りは横ばいの2.82%、2年債利回りは0.01%低下の2.41%となったが4月6日に2.60%まで上昇して以降は高止まりの様相であり、長期債利回りの上昇基調は継続している印象だ。
米連銀のブレイナード理事はWSJ紙のインタビューで3月の消費者物価コア指数の伸びが予想を下回ったことに対して「前月比で著しく鈍化した」とし、「予想以上の減速であり、今後インフレ減速が続くかを見極める」と述べた。しかし5月以降の利上げ加速姿勢は変わらず、5月会合での0.50%利上げの是非については明言を避けたが中立的な金利水準へ早く引き上げ、量的金融引き締めについても5月会合で決定して6月から実施する見通しとした。
4月12日のNYダウは前日比87.72ドル安、ナスダック総合指数は40.39ポイント安と下落した。12日の上海及び深センの株価指数は上海のロックダウン規制の一部解除見通しと中国政府による景気対策期待で反騰したが、ロシア制裁のエスカレートと返り血を意識して欧州主要株価指数は下落した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点とした上昇基調を継続しており、4月12日夜の反落も切り返している。3月31日深夜安値から4日半となる4月7日午前安値で前回のサイクルボトムを付け、そこから3日半となる4月12日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな上昇期に入ってくる可能性が考えられる。このため、11日夜高値を上抜くところからは新たな強気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定する。11日夜高値を超えられずに12日夜安値を割り込む場合は11日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクルの継続として14日朝から18日午前にかけての間への下落を想定するが、124円台を維持してその後に125円台を回復するところからは次の強気サイクル入りとなりやすいと考える。
60分足の一目均衡表では12日夜の反落で遅行スパンが悪化したがその後の反騰で再び好転しつつある。先行スパンに対しても転落を回避して上抜き返している。このため遅行スパン好転からは上昇継続とみて高値試し優先とする。弱気転換は先行スパン転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月12日夜に30ポイント台へ低下してから50ポイント台を回復しているので上昇再開に入っている印象だ。60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定し、弱気転換は40ポイント割れへ失速するところからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、124.77円を下値支持線、125.77円を上値抵抗線とする。
(2)125円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、125.77円超えからは126円台中盤(126.30円から126.70円)を目指す上昇を想定する。126.50円以降は反落警戒とするが、125円以上での推移なら14日も高値試しを継続しやすいとみる。
(3)124.77円割れからは124円台序盤(124.30円から124.00円)を試すとみるがそこは押し目買いされやすい水準とし、その後に125円を超えるところからは高値更新を目指す上昇期入りと考える。
【当面の主な予定】
4/13(水)
休場 タイ(ソンクラーン)
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル建て (2月 305.8億ドル、予想 205.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元建て (2月 1944.0億元)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.25%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 6.2%、予想 6.7%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 5.2%、予想 5.3%)
15:15 (日) 黒田東彦日銀総裁、第97回信託大会で挨拶
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.8%、予想 1.1%)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 10.0%、予想 10.6%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 8.4%、予想 8.4%)
23:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 0.50%、予想 1.00%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省30年債入札
4/14(木)
休場 ノルウェー、フィリピン、メキシコ、コロンビア(聖木曜日)
休場 タイ(ソンクラーン)
休場 インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 7.74万人、予想 3.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 4.0%、予想 3.9%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
20:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、記者会見
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.3%、予想 0.6%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 16.6万件、予想 17.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 152.3万人、予想 150.0万人)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.4%、予想 2.3%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 3.0%、予想 2.2%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 1.1%、予想 1.3%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (3月 59.4、予想 58.9)
28:50 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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