トルコリラ円見通し 円安に加えて対ドルでのリラ高も重なり3月11日以降の高値を更新(22/4/12)

トルコリラ円は円安とリラ高の両面から押し上げられる形で3月11日安値7.76円以降の高値を更新、2月14日以来の高値水準となった。

トルコリラ円見通し 円安に加えて対ドルでのリラ高も重なり3月11日以降の高値を更新(22/4/12)

トルコリラ円見通し 円安に加えて対ドルでのリラ高も重なり3月11日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、4/11は8.58から8.40の取引レンジ、円安とリラ高が重なり3/11以降の高値更新
〇対ドル、4/11は14.70台で下げ渋っていたところから反騰に転じ、14.63までドル安リラ高となる
〇昨日発表の2月経常収支、経常赤字続くが前月からは改善、2月失業率も改善したが3月は悪化しやすいか
〇8.52以上での推移中は上昇余地ありとし、8.58超えからは8.60台序盤を目指すとみる
〇8.52割れから続落の場合は弱気転換注意とし、8.50割れからは8.47前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月11日は8.58円から8.40円の取引レンジ、12日早朝の終値は8.54円で先週末終値の8.42円からは0.12円の円安リラ高だった。
ドル円が125.77円へ一段高となり昨年1月6日底102.57円以降の高値を更新、2015年6月天井の125.84円に迫る上昇となったことに押し上げられたことと、対ドルでもリラが反発したことにより、トルコリラ円は円安とリラ高の両面から押し上げられる形で3月11日安値7.76円以降の高値を更新、2月14日以来の高値水準となった。

【ドル/トルコリラ動向 対ドルでリラ反発】

ドル/トルコリラの4月11日は14.75リラから14.62リラの取引レンジ、12日早朝の終値は14.66リラで先週末終値の14.74リラからは0.08リラのドル安リラ高だった。
世界規模のインフレ進行と米連銀による金融引き締め姿勢の強化により米長期債利回りの上昇が続いていることと、今後の量的金融引き締めによる投資マネーの新興国からの流出懸念がトルコリラにも圧迫要因となっているが、11日は14.70リラ台で下げ渋りとなっていたところから反騰に転じて14.63リラまでドル安リラ高となった。
トルコの2月経常収支や2月失業率が市場予想よりも良かったことがリラには多少の支えとなった側面もあるが、リラ暴落対策として導入された為替差損補填政策によるリラ保護預金の満期到来での損失補填が始まったとの報道もあり、差損分のリラを保護預金口座へ補充することによるリラ需要によるリラ高反応ということかもしれない。
3月11日に15.04リラまで売られたところから3月30日に14.52リラまで戻した後は14.70リラを挟んだ持ち合いの様相でもあり、11日のドル安リラ高もこの持ち合い範囲での推移にとどまっている。

【大幅な経常赤字続くが前月からは改善、失業率も改善】

4月11日夕刻に発表されたトルコの2月経常収支は51.54億ドルの赤字だった。赤字幅は1月の69.82億ドルからは縮小して市場予想の55億ドルを下回った。
トルコは恒常的な経常赤字であり、貿易収支の赤字を観光収入で埋める構造となっているが、昨年8月から10月にかけては景気回復を反映して一時的に黒字化していた。しかし9月から12月にかけての高インフレ下での連続利下げがリラ暴落を招いたことにより経常赤字が急拡大となり11月の26.63億ドルから12月に34.53億ドル、1月に69.82億ドルと悪化している。2月は若干の改善だが、ウクライナ紛争による悪影響が3月に反映されれば再び経常赤字拡大となりかねないところだ。

4月11日のトルコ国内報道では、トルコ国内の輸出企業に対してトルコ中銀が保有ドルの中銀への預け入れ比率を引き上げる動きがあるとされている。現状では保有するドルの25%を中銀に預け入れることが義務化されているが、最終決定はされていないもののこの比率を50%へ引き上げる可能性があるという。

11日に発表された2月のトルコ失業率は10.7%となり1月の11.2%から改善して市場予想の11.5%を下回った。失業率は昨年4月に13.8%まで悪化した後は概ね改善傾向にあり、昨年9月から今年1月までは11%台前半でほぼ横ばいの推移だったが、リラ暴落も落ち着いたことで2月はやや改善したとようだ。
新型コロナウイルスの感染拡大の波を繰り返しつつもウィズコロナ政策で景気回復基調にあるが、高インフレが続く中でウクライナ情勢による混乱も増しているために3月は失業率も悪化しやすい状況と思われる。
4月12日は2月のトルコ鉱工業生産と小売売上高の発表がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日からの上昇基調が続いているところだが、現状は4月11日朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りとなり11日夜にかけて急伸したと思われる。高値形成期は4月8日夜高値を基準として13日夜から15日夜にかけての間と想定されるので8.50円以上での推移中は一段高余地ありとするが、8.50円割れからは弱気サイクル入りとして14日朝から18日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月11日の急伸により遅行スパンの好転と先行スパンを大幅に上回った状況を維持している。このためため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパンが悪化するところからはいったん調整安に入るとみて安値試し優先とする。またその際は先行スパンが下値支持帯になりやすいとみて、先行スパンからの転落を回避して遅行スパンが好転するところからは上昇再開とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は4月11日夜の急騰で80ポイントを超えてからやや下げている。60ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は弱気転換注意とし、60ポイント割れからは調整安に入るとみて40ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.50円を下値支持線、8.58円を上値抵抗線とする。
(2)8.52円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、8.58円超えからは8.60円台序盤(8.60円から8.62円)を目指すとみる。8.60円到達では売られやすいと注意するが、8.53円以上での推移なら13日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.52円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、8.50円割れからは8.47円前後への下落を想定する。8.47円以下は反騰注意とするが、8.52円以下での推移が続く場合は13日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月12日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -2.4%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 7.6%、予想 9.2%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 -1.5%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.9%)
4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 グロス (4/1時点 668.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/8時点 ネット (4/1時点 164.0億ドル)
4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 697.4億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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