ドル円見通し 米長期債利回り上昇、日銀の円安容認姿勢で2015年6月高値に迫る(22/4/12)

ドル円は4月11日夜に125.77円へ上昇、3月28日高値125.10円を超えて2021年1月6日底102.57円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇、日銀の円安容認姿勢で2015年6月高値に迫る(22/4/12)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇、日銀の円安容認姿勢で2015年6月高値に迫る

〇ドル円、4/11夜125.77へ上昇、3/28高値125.10を超え、2015年6月の125.84以来の高値水準
〇米10年債利回りは2019年1月以来の高水準、NYダウ・ナスダックは下落
〇日銀要人の円安容認姿勢、市場は容認水準を試す円売り攻勢仕掛けている状況か
〇125円以上での推移中は上向きとし、125.77超えからは126円台中盤を目指す上昇を想定する
〇124.90割れからはいったん調整安に入るとみて、124円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は4月11日夜に125.77円へ上昇、3月28日高値125.10円を超えて2021年1月6日底102.57円以降の高値を更新した。
2015年6月5日の125.84円以来の高値水準であり、その当時は日銀黒田総裁が「これ以上の円安は考えられない」と述べたことで125円台=黒田ラインとしての円安容認限界とされてその後は円高へ向かった。しかし123円台へ上昇した段階で長期金利抑制のための連続指値オペ通告や国会答弁での円安容認姿勢等から従来の黒田ラインを超える円安容認姿勢も見られる。
米長期債利回りは一段と上昇しており、日米金融政策の差、長期金利差を意識した円売りで政府・日銀の円安許容水準を試す展開となっている印象だ。

【米10年債利回りは2019年1月以来の高水準に上昇】

4月11日の米10年債利回りは先週末比0.07%上昇の2.78%となった。一時は2.79%を付けて2019年1月以来の高水準に達している。30年債利回りは0.10%上昇の2.82%となり2019年5月以来の高水準に達した。2年債利回りは先週末比0.01%低下の2.51%にとどまったが、高値で2.59%をつけて4月6日の2.60%以降は高止まりの様相となっている。
4月12日夜には米3月CPI発表があるが全体の前年同月比は2月の7.9%から8.4%へと伸びが加速して1981年12月以来の高水準に達すると予想され、コア指数も2月の6.4%から6.6%へと伸びると予想されている。

米連銀は5月FOMCでの0.50%利上げと総資産圧縮の開始が予想されており、4月5日のブレイナード米連銀理事による利上げペースの加速支持発言をきっかけとして米10年債利回りの上昇は勢い付いている。4月11日もシカゴ連銀のエバンズ総裁が「0.50%利上げが決まる可能性が高い」とし、「2022年末ないし2023年3月までに0.50%利上げを複数回織り交ぜて中立金利とされる2.25〜2.50%へ引き上げてゆくべき」とした。
米長期金利の上昇による圧迫感と中国の感染拡大による上海のロックダウン長期化、ウクライナ情勢の泥沼化等を嫌ってNYダウは前日比413.04ドル安、ナスダック総合指数も同299.04ポイント安と下げた。

【日銀の円安容認姿勢】

日銀の内田理事は、経済・物価への影響を十分注意してみていきたいと述べた。ただ、市場の反応は薄かった。

4月11日の日銀支店長会議では、大阪の高口支店長(理事)が「為替の円安は関西経済全体にとってプラスに作用する面が大きい」と述べて円安容認姿勢を示した。11日は内田理事が衆院・決算行政監視委員会において「為替水準は経済・金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい」「短期間に過度に変動すれば企業の事業計画の策定などが難しくなる面もある」と述べて若干の円安けん制的な姿勢を見せたものの、市場は日銀が円安容認水準を引き上げている可能性を意識しているところだ。

4月5日に日銀の黒田総裁は衆院財務金融委員会で円安について「今回の変動はやや急だ」としたものの「円安輸出企業の収益を押し上げるメリットもあり全体としてプラス」、「今、金融引き締めをすれば大きなマイナスの影響が出る」、「(YCCによる長期金利抑制についても)急激な金利上昇には指値オペを使って0.25%の範囲内で推移させる」と述べている。
円安の許容範囲については米国の認識も重要だが、今のところは神経質な円安けん制発言は見られない。125円台のかつての黒田ラインが実質的に引き上げられている可能性もあり、市場は容認水準を試す円売り攻勢を仕掛けている状況ともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点とした上昇が続いているが、4月7日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は4月6日昼高値を基準として11日の日中から13日昼にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、125円台を維持するうちは一段高余地ありとするが125円割れを弱気転換注意とし、124.90円割れからは弱気サイクル入りとして12日の日中から14日午前にかけての間への下落を想定する。ただし弱気サイクル入りしても124円台を維持するならその後の上昇で昨年来高値更新へ向かう可能性が継続すると考える。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況が継続しているが、4月11日夜高値更新へ進めないと遅行スパンが悪化してくる。このため遅行スパン好転中は一段高余地ありとし、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて安値試し優先とするが、その際は先行スパンの上下限が下値支持帯になりやすいと考える。また先行スパンからの転落を回避すれば遅行スパンがその後に好転するところから上昇再開と考える。

60分足の相対力指数は4月11日午後から夜への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので、50ポイントを上回るうちは上昇余地ありとして70ポイント超えからは逆行破りへ向かうとみるが、50ポイント割れからはいったん調整安に入るとみて40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、124.90円を下値支持線、125.77円を上値抵抗線とする。
(2)125円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、125.77円超えからは126円台中盤(126.30円から126.70円)を目指す上昇を想定する。126.50円以降は反落警戒とするが、125円以上での推移なら13日も高値試しを継続しやすいとみる。
(3)124.90円割れからはいったん調整安に入るとみて124円台中盤(124.70円から124.30円)への下落を想定する。124.50円以下は反騰注意とみるが、125円以下での推移なら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/12(火)
OPEC月報
10:30 (豪) 3月 NAB企業景況感指数 (2月 9)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 7.3%、予想 7.3%)
15:00 (英) 3月 失業保険申請件数 (2月 -4.81万件)
15:00 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 3.9%、予想 3.8%)
15:00 (独) 3月 卸売物価指数 前月比 (2月 1.7%)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感 (3月 -39.3、予想 -48.0)
18:00 (欧) 4月 ZEW景況感 (3月 -38.7)

21:30 (米) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.8%、予想 1.2%)
21:30 (米) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 7.9%、予想 8.4%)
21:30 (米) 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.5%)
21:30 (米) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 6.4%、予想 6.6%)
25:10 (米) ブレイナードFRB理事、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 3月 月次財政収支 (2月 -2166億ドル、予想 -1900億ドル)

4/13(水)
休場 タイ(ソンクラーン)
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル建て (2月 305.8億ドル、予想 205.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元建て (2月 1944.0億元)
07:45 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、、講演
08:50 (日) 3月 マネーストックM2 前年同月比 (2月 3.6%、予想 3.6%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前月比 (1月 -2.0%、予想 -1.5%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前年同月比 (1月 5.1%、予想 14.3%)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック消費者信頼感指数 (3月 96.6)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.25%)

15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 6.2%、予想 6.7%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 5.2%、予想 5.3%)
15:15 (日) 黒田東彦日銀総裁、第97回信託大会で挨拶
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.8%、予想 1.1%)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 10.0%、予想 10.6%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 8.4%、予想 8.4%)
23:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 0.50%、予想 1.00%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省30年債入札


注:ポイント要約は編集部

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