トルコリラ円見通し 終値ベースで8.40円台を維持、8日午前に3月11日以降の高値を更新(22/4/8)

ドル円の上昇により8日朝には8.43円をつけて持ち合いからの上放れを試している。

トルコリラ円見通し 終値ベースで8.40円台を維持、8日午前に3月11日以降の高値を更新(22/4/8)

トルコリラ円見通し 終値ベースで8.40円台を維持、8日午前に3月11日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、4/8早朝終値は8.40、終値ベースでの5連騰途切れたが、4/8朝に8.43をつける
〇ジリ安の展開続くが、円安基調継続に押し上げられドル円に同調した動きを優先している
〇対ドル、4/7は14.77から14.70の取引レンジ、ドル高感強まる状況でリラ売り圧力が継続している印象
〇トルコ外貨準備高は週次で若干増、持ち直しを図っているところだが実態は脆弱と思われる
〇8.38以上での推移中は上向きとし、8.43超えからは8.47前後を目指すとみる
〇8.38割れからはいったん下げに入るとみて、8.34前後試しを想定する

【概況】

トルコリラ円の4月7日は8.43円から8.38円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.40円で前日終値の8.41円からは若干の下落となり、終値ベースでは4月1日から6日までの5連騰が途切れた。しかし4月6日以降の8.42円から8.38円までのボックス型持ち合いの範囲にとどまり、ドル円の上昇により8日朝には8.43円をつけて持ち合いからの上放れを試している。
対ドルでは3月29日の停戦協議進展報道によるリラの反騰が一巡した後はジリ安の展開が続いており4月7日もこの間の安値を更新しているが、トルコリラ円は歴史的な円安基調の継続に押し上げられてドル円に同調した動きを優先している。

【ドル/トルコリラ動向 対ドルでのリラ安基調続く】

ドル/トルコリラの4月7日は14.77リラから14.70リラの取引レンジ、8日早朝の終値は14.72リラで前日終値の14.70リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
3月29日にイスタンブールで開催されたロシアとウクライナの停戦協議で進展があったとの報道をきっかけにリラ買いとなり14.80リラ台から14.50リラ台へと急伸したが、その後はウクライナ情勢の泥沼化の様相が濃くなり先行き不透明として再びリラ売り優勢となり、日々安値を切り下げる展開が続いている。
4月7日は米10年債利回りが昨年来の高値を更新する上昇となり、米連銀による5月FOMCでの0.50%利上げと量的引き締め開始の可能性が高まる中でドル高感が強まる状況となり、新興国通貨で地政学的リスクも近隣として影響が大きいリラへの売り圧力が継続している印象だ。

【トルコの外貨準備高は週次で若干増】

4月7日夜に発表された週次のトルコ外貨準備高は4月1日時点のグロスで668.6億ドルとなり、3月25日時点の656.4億ドルから増加、ネットでは164.0億ドルとなり前週の159.6億ドルから若干の増加となった。
ネットの外貨準備高は昨年11月に326.4億ドルまで拡大したところからリラ防衛の市場介入により1月時点で75.5億ドルまで激減したがその後は回復基調にある。グロスでは昨年11月に879.2億ドルまで膨張したところから3月には653.4億ドルへ低下したもののその後は微増となっている。
リラが暴落一服で市場介入が落ち着いたことや、イスタンブール証券取引所における通貨スワップによるドル調達、輸入手形再割引、貴金属市場でのゴールド買い、通貨スワップ協定の強化(中国、カタール、韓国、UAE)、国内の輸出企業からのドル預金への誘導等により持ち直しを図っているところだが、実態は脆弱であり、新たなリラ暴落が発生した場合には中銀の介入によるリラ防衛力はさほどないのではないかと思われる。

【円安優勢】

ドル/トルコリラは昨年12月に史上最安値を更新した直後にリラ預金の為替差損補填政策発表でいったん急騰したものの先安観は継続するとして12月23日から3月11日まで下落基調が続いた。その後は新たな安値更新を回避し、3月29日に一時反発したところから再びジリ安の推移ながら、3月29日の高安レンジ内に収まっている。

一方ではドル円の歴史的な上昇基調が継続しており、トルコリラ円としては対ドルでのリラ安よりも円安による押し上げが勝る力関係での推移が続いている。
ドル円は昨年1月6日底102.57円を起点として歴史的な大上昇期にあり、3月28日高値で125.10円に到達したところでは日銀や政府による円安けん制への動きを警戒していったん利益確定売り優勢となり3月31日安値121.26円まで下げたが、その後の日銀黒田総裁による議会証言においては急激な変動への懸念は示されたものの円安が円高よりもメリットがあること、金融緩和政策をやめる時期ではないとしてYCC(イールドカーブコントロール)による長期金利上昇抑制政策も継続するとされたため、市場は日銀の円安容認水準を試すように再び上昇しており、8日午前には124円台序盤につけている。

再び125円に到達した際に日銀が円安けん制を示す可能性も多少あるだろうが、けん制姿勢が緩いなら市場はさらに円安容認の上限を試しにかかる可能性がある。このため、ドル/トルコリラで大幅なドル高リラ安となりドル円の上昇に勝るような状況に陥らないうちはトルコリラ円としてはドル円の上昇への同調を優先するのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月1日夜高値でやや短めのサイクルトップを付けていったん下げてから5日夜に一段高したため、6日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして6日夜から8日夜にかけての間への上昇を想定した。
4月6日の日中から7日午前序盤にかけては8.40円を挟んだ揉み合いで推移していたところから8日午前序盤に高値を切り上げたのでまだ一段高余地ありとするが、8.38円割れからは弱気サイクル入りとして8日午後から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、遅行スパンが実線と工作しているが、先行スパンへ潜り込んだところから上抜けてきているので先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン転落からは下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は40ポイント前後に抵抗感が見られるため、45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして60ポイント超えからは70ポイントを目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.38円を下値支持線、8.43円を上値抵抗線とする。
(2)8.38円以上での推移中は上向きとし、8.43円超えからは8.47円前後を目指すとみる。8.47円以上は反落注意とするが、円安等で勢い付く場合は8.50円試しへ上値目途を引き上げる。また8.38円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.38円割れからはいったん下げに入るとみて8.34円前後試しを想定する。8.34円前後は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.32円前後試しへ下値目途を引き下げる。また8.38円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月11日
 16:00 2月 失業率 (1月 11.4%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -71.12億ドル)
4月12日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -2.4%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 7.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 -1.5%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.9%)
4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)



注:ポイント要約は編集部

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