トルコリラ週報:『底堅い動きが継続するも上値余地は限定的。トルコ中銀会合に注目』(4/9朝)

トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、一時8.45円まで急伸しました。

トルコリラ週報:『底堅い動きが継続するも上値余地は限定的。トルコ中銀会合に注目』(4/9朝)

『底堅い動きが継続するも上値余地は限定的。トルコ中銀会合に注目』

〇今週のトルコ円、CPI上昇による実質金利低下等に4/5にかけて8.29まで下落
〇その後はトルコ中銀の利上げ再開への思惑、対主要通貨での円安進行に週央にかけ8.45まで反発
〇テクニカルには90日線がトルコ円の重石、ここからの上昇容易でなく、反落リスク要警戒
〇ファンダメンタルズも、ロシア、ウクライナ両国と経済的関係の深いトルコ経済の先行き懸念大
〇トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.15ー8.55

今週のレビュー(4/4−4/8)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.34円で寄り付いた後、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、Aトルコ3月消費者物価指数の更なる上昇(CPIが約20年ぶり高水準となる前年比+61.14%を記録した他、コアCPIも市場予想を上回る前年比+48.39%を記録)、B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利の急低下が重石となり、翌4/5にかけて、週間安値8.29円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cトルコ中銀が来週4/14の会合で利上げ再開に踏み切るのではないかとの思惑や、D短期筋のショートカバー、E対主要通貨での円独歩安(※トルコリラが買われているわけではなく、円がトルコリラ以上に売られていることが、トルコ円上昇の背景。事実、対ドルでのトルコリラは引き続き軟調推移が継続中)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.45円まで反発しました。もっとも、市場参加者に注目されている90日移動平均線をバックに伸び悩むと、週末にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間4/9午前5時00分現在)では8.43円前後で推移しております。

来週の見通し(4/11−4/15)

トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、一時8.45円まで急伸しました。しかし、3/30に記録した直近高値8.46円まであと一歩のところで失速すると、強力なレジスタンスとして市場参加者に意識されている90日移動平均線が重石となり、結局8.43円前後まで押し戻される動きとなりました。来週も90日移動平均線を巡る攻防に注目が集まりそうです(ここからの更なる上昇は容易ではなく、一巡後の反落リスクに要警戒)。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(欧米諸国とロシアの対立激化懸念→対露制裁の更なる強化→ロシア・ウクライナ両国と親密な関係にあるトルコにとって現在の状況はトルコ経済への下押し要因)や、Aトルコ国内におけるインフレ加速(CPIは約20年ぶり高水準→実質金利低下→トルコリラ売り)、

Bトルコ中銀による利上げ躊躇の思惑(エルドアン大統領はインフレを利下げで退治するという独自理論を展開しているため、足元のようにインフレが大きく加速する局面でも、トルコ中銀は利上げの選択肢を取りづらい)、Cトルコ中銀の外貨準備の脆弱さ(トルコリラ急落局面での介入余力の乏しさ)、D経常赤字・財政赤字拡大に伴うリラ売り圧力、E米FRBによるタカ派傾斜観測(今週発表されたブレイナードFRB理事のタカ派発言およびFOMC議事要旨での早期バランスシート圧縮開始観測→米長期金利急上昇→新興国から米国への資金流出懸念)、Fエルドアン大統領の求心力低下(インフレ加速で国民生活に不満が高まっている状況→世論調査会社ORC社の調査によるとZ世代の約半数が野党側に投票するとの集計結果→与党・公正発展党=AKPの支持基盤の揺らぎ)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は4/14に開催されるトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。足元のインフレ昂進を背景に中銀がインフレ退治の利上げに踏み切るかは尚不透明であり、発表直後はトルコリラの乱高下が予想されます。据え置きが決定される場合は、実質金利低下を背景にトルコリラに下落圧力が加わる一方、利上げが決定される場合は一時的にリラ買いが強まると考えられます。但し、エルドアン大統領はこれまでも、自身の意向(インフレを利下げで退治するという独自理論)に沿わない中銀メンバを相次いで解任する強硬手段を取ってきたため、仮にトルコ中銀が利上げに踏み切った場合には、トルコ中銀総裁の解任リスク増大→政府・中銀の独立性への疑念→トルコリラへの失望売りの経路で一巡後にトルコリラ円相場に下落圧力が加わるものと推察されます。来週はトルコ中銀会合後のボラティリティ拡大に警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.15ー8.55

注:ポイント要約は編集部

『底堅い動きが継続するも上値余地は限定的。トルコ中銀会合に注目』

トルコ円日足

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