ドル円見通し 124円台序盤、米長期債利回り上昇を背景に3月31日深夜安値からの上昇続く(22/4/8)

7日午前には123.46円まで下げる場面も見られたが7日夜には124円に再び到達、8日午前序盤には124.20円を超えている。

ドル円見通し 124円台序盤、米長期債利回り上昇を背景に3月31日深夜安値からの上昇続く(22/4/8)

124円台序盤、米長期債利回り上昇を背景に3月31日深夜安値からの上昇続く

〇ドル円、4/7午前123.46まで下げたが夜に再び124円到達、4/8午前序盤124.20を超える
〇米10年債債利回りが一段高、ドル円の上昇基調も継続
〇日銀関係者、円安基調継続への容認姿勢、円安容認水準切り上げを試す動きへ進みやすい状況
〇NYダウは小幅上昇、昨日発表の失業保険申請件数は予想下回る
〇123.70以上での推移中は上向きとし、124.50超えからは125円台回復を目指す上昇を想定する
〇123.70割れから続落の場合は弱気転換注意、123.46割れから調整安とみて123円前後試しを想定する

【概況】

ドル円は4月6日午前高値で124.05円を付けた後はやや伸び悩み7日午前には123.46円まで下げる場面も見られたが7日夜には124円に再び到達、8日午前序盤には124.20円を超えている。
3月28日夕高値で125.10円に到達した後は米長期債利回りの上昇一服と2015年に黒田ラインとして円安容認の上限とされた125円台に到達したことでいったん調整安に入ったものの、3月31日深夜安値121.26円から上昇を再開している。
4月5日には日銀黒田総裁が最近の円安が急だと述べたことで小反落したものの早々に切り返して一段高に入っており、7日夜は米10年債債利回りが昨年来高値を更新したことでドル円の上昇基調も継続している。

【日銀の円安容認姿勢】

日銀の野口審議委員は4月7日の講演において「日本のマクロ政策上の課題はインフレ抑制ではなく依然としてデフレや低インフレからの脱却にある」とし、「仮にコロナ禍が収束しても2%の物価目標が実現され金融緩和縮小が視野に入るまでには相応の時間を要する」と述べて大規模金融緩和政策の継続姿勢を強調した。円安についても円高によるデメリットよりも円安のメリットが上回ると述べており、円安基調が続いていることへの容認姿勢も示した。
4月5日には日銀の黒田総裁が衆院財務金融委員会で円安について「今回の変動はやや急だ」と述べたことが一時は円安けん制と受け止められたが、総裁は「円安が進行すると一段と輸入物価を押し上げるものの輸出企業の収益を押し上げるメリットもあり全体としてプラスに作用するという基本的な認識に変わりはない」、「今、金融引き締めをすれば大きなマイナスの影響が出る」、「(YCCによる長期金利抑制についても)急激な金利上昇には指値オペを使って0.25%の範囲内で推移させる」と述べている。日銀は円高よりも円安が有益であり金融緩和政策を続ける姿勢で一致している印象だ。

国際通貨基金(IMF)は4月7日に日本経済に関する年次審査報告書を公表して2022年のGDP予想を2.4%として1月から0.9%下方修正し、2023年については前回の1.8%から2.3%へ上方修正した。報告書では、原油高やウクライナ危機による不確実性で内需の回復ペースは鈍化するとしたが、「物価は日銀の2%目標を大きく下回っている」として日銀の大規模金融緩和策は「引き続き適切である」とした。IMFも日銀の緩和継続姿勢を容認ということであり、為替市場としては125円台に再び到達した際の日銀側の反応について警戒しつつも、円安容認水準の切り上げを試す動きへと進みやすい状況だろう。

【米長期債利回り、上昇傾向継続】

米連銀の利上げペース加速と量的金融引き締めへ姿勢が強まっているために長期債利回りは上昇傾向を続けている。4月7日の10年債利回りは前日比0.06%上昇の2.66%、30年債利回りが前日比0.05%上昇の2.68%となった。2年債利回りは0.01%低下の2.47%となったが、6日に2.60%をつけた後も高止まりの様相であり、10年債との利回り逆転解消への動きで若干低下したに留まっている。
4月7日はアトランタ連銀のボスティック総裁が「政策金利を中立水準に近づける必要があるものの不透明感が多い」として利上げペースの加速についてやや慎重な姿勢を示し、シカゴ連銀のエバンズ総裁も「2023年初頭までに景気を刺激も抑制もしない中立水準に到達する」との予想を示したが、中立水準に達した後は様子見する必要があるとしてやや慎重なスタンスを示した。しかしセントルイス連銀のブラード総裁は7日に「2022年後半には政策金利を3.5%へ引き上げることが望ましい」として同氏がこれまで主張していた年末の3.0%から3.25%という目標水準を上方修正している。

3月21日のパウエル米連銀議長発言以降、主要高官の利上げペース加速姿勢が顕著であり、特に4月5日のブレイナード理事による「早ければ5月のFOMCで総資産の圧縮を開始する」「前回の資産圧縮時(2017年から2019年)と比較して著しく大きな削減枠を設け短期間で大幅に速いペースで進める」、「インフレがあまりに高過ぎ、上振れリスクもある」と述べたことにより米連銀のタカ派姿勢への認識が一層高まり、7日未明のFOMC議事録もタカ派姿勢を再認識させたことで米長期債利回りの上昇感も強まっている。

【NYダウは反発、失業保険申請件数は予想を下回る】

4月7日のNYダウは前日比87.06ドル高と小幅上昇したが、米連銀による利上げペース加速姿勢と長期債利回りの上昇、上海のロックダウン長期化による景気減速懸念、ウクライナ情勢の混迷とロシア制裁強化による世界市場の混乱への不安等が圧迫感をもたらしていることで2月24日からの戻りも一服しているところだ。
米労働省が7日に発表した新規失業保険申請件数は4月2日までの週間で前週比5000件減の16万6000件となり市場予想の20万件を下回り2週ぶりに前週比マイナスだった。失業保険受給者総数は3月26日までの週間で152万3000人となり前週比1万7000人増で市場予想の131万1000人を上回った。
株式市場としては上海の大規模ロックダウンの長期化への懸念も大きいが、4月7日は上海総合指数が前日比1.42%安、深?指数が1.65%安と下落している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点として上昇期に入ってきたが、5日午前へ小反落したところから一段高したために6日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたとし、高値形成期を6日夜から8日深夜にかけての間と想定した。
4月8日午前序盤に一段高しているため引き続きトップ形成中とみる。また3月31日深夜安値から4日半となる4月7日午前安値を起点としてサイクルトップ形成期が11日から13日にかけての間へ延長される可能性も検討される。弱気転換は4月7日午前安値割れからとし、その際は8日の日中から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月8日午前序盤の一段高で遅行スパンが好転、先行スパンを上回る状況も維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンの悪化からはいったん調整安に入る可能性があるとみて安値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避して遅行スパンが好転し直すところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性もあると注意する。

60分足の相対力指数は4月7日午前に40ポイント台へ低下したところから60ポイント台へ戻しているので70ポイント台後半を目指す上昇継続とみる。弱気転換は50ポイント割れからとし、その際は40ポイント弱への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、123.46円を下値支持線、124.50円を上値抵抗線とする。
(2)123.70円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、124.50円超えからは125円台回復を目指す上昇を想定する。125円到達では売られやすいとみるが、124円以上での推移なら週明けも高値試しを継続しやすいとみる。
(3)123.70円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、123.46円割れからは調整安に入るとみて123円前後試しを想定する。123円以下は買い戻されやすい水準とみるが、123.46円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/8(金)
英独首脳会談、インド中銀金融政策発表
14:00 (日) 3月 消費者態度指数・一般世帯 (2月 35.3、予想 36.8)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー現状判断DI (2月 37.7、予想 45.0)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー先行判断DI (2月 44.4、予想 47.5)
23:00 (米) 2月 卸売売上高 前月比 (1月 4.0%)
25:00 (米) 農務省農産物の世界及び米国の需給見通し



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