トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安一服、円安に押し上げられ4日続伸(22/4/7)

トルコリラ円の4月6日は8.42円から8.38円の取引レンジ、7日早朝の終値は8.41円で前日終値の8.39円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安一服、円安に押し上げられ4日続伸(22/4/7)

対ドルでのリラ安一服、円安に押し上げられ4日続伸

〇トルコリラ円、7日早朝終値8.41で前日終値から0.02円の円安リラ高に
〇対ドルでは7日未明のFOMC議事録公開から目先の材料消化でドル高基調一服
〇14日に中銀金融政策会合、市場が利上げ催促的なドル買いリラ売りを再開させても不思議ない
〇トルコリラ円としてはリラよりも弱いとして「円売りリラ買い」優勢のまま推移しやすい
〇8.37を上回るか割り込んでも回復なら上向き、8.42超えからは8.45前後を目指すとみる
〇8.37割れから続落の場合は下向き、8.35割れからは下げに入るとみて8.32前後試しを想定

【概況】

トルコリラ円の4月6日は8.42円から8.38円の取引レンジ、7日早朝の終値は8.41円で前日終値の8.39円からは0.02円の円安リラ高だった。
ウクライナ情勢の悪化により3月11日安値7.76円まで下げたところからはドル円の上昇に押し上げられて戻り高値を切り上げてきたが、3月30日に8.45円をつけたところから31日深夜安値8.26円までいったん下げてからも再び持ち直しに入り、4月6日はドル円が午前に124円台にいったん到達してからも高値圏を維持し、対ドルでのリラ安も一服したことで確りした動きを維持している。7日未明の米FOMCを前後したところで8.38円まで下げた処を買われたが、7日午前序盤はドル円が124円に届かずにやや下げていることに押され気味となっている。
日足の終値ベースでは4日間の続伸となった。

【ドル/トルコリラ動向 対ドルでのリラ安一服】

ドル/トルコリラの4月6日は14.76リラから14.69リラの取引レンジ、7日早朝の終値は14.70リラで前日終値の14.71リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
3月29日のイスタンブールにおけるロシアとウクライナの停戦協議で進展があったとの報道からリラ高となったものの先行き不透明としてリラ売りが再開、その後は安値切り下がり基調が続き4月6日は14.74リラまで安値を切り下げていたが、7日未明の米FOMC議事録公開からは目先の材料消化でドル高一服となりリラも買い戻し優勢となった。

【米連銀のタカ派姿勢と利上げできないトルコ中銀のスタンスの差】

ロシア制裁が一段と強化されて停戦協議の進展が難しくなる中でトルコリラとしては近隣の地政学的リスクのエスカレート懸念を抱えた状況で上値が重いところだが、4月4日に発表されたトルコの3月CPIが前年比61.14%へと上昇して政策金利の週間レポレート14.00%を大幅に上回り実質金利がマイナス40%を超える水準で主要国の中では最低となっていることで、金融引き締めへ転じている主要国との実質金利差の拡大もリラには大きな圧迫感をもたらしている。
米連銀は3月15-16日のFOMCで0.25%の利上げを決定し、年内は合計7回の利上げ想定としたが、その後も連銀高官によるタカ派姿勢を強調する発言が相次いでおり、5月FOMCでの0.50%利上げや総資産圧縮の開始が見込まれている。4月7日未明に公表されたFOMC議事録に対する市場反応は前日のブレイナード理事による0.50%利上げ支持等の講演発言の後だったことで落ち着いたものにとどまったが、金融緩和政策の維持にこだわる日銀以外の主要国は量的緩和縮小ないし利上げ開始などで引き締め姿勢を強化している。

主要国が金融緩和から引き締め姿勢へ進めば、量的緩和による過剰流動性が圧縮されるため、投機マネーも新興国から還流しやすくなる。そうした動きに歯止めをかけるために新興国は先手を打って利上げを繰り返し始めているのだが、「低金利がインフレを抑制する」との政策スタンスにこだわるエルドアン政権とトルコ中銀は高インフレの中でも利上げをせず、インフレが収まれば利下げを再開したい姿勢のままとなっている。
4月14日に次回のトルコ中銀金融政策決定会合があるが、昨年9月から12月までの4会合連続での利下げ効果とインフレ動向を見定めたいとして1-3月期は様子見の姿勢を強調してきたものの、インフレはさらに深刻化した状況で様子見期間も終了した。ウクライナ情勢も混迷しているために利下げ再開は見送られるだろうが、市場も利上げ催促的なドル買いリラ売りを再開させても不思議ない状況にあると思われる。

ただし、長期金利上昇を抑制するために連続指値オペを通告するなどイールドカーブコントロールと金融緩和政策の継続を強調している日銀のスタンスが円売りを助長しているため、3月後半からのトルコリラ円はドル円と同調して上昇基調にある。このため対ドルでのリラ安基調を意識しながらも、トルコリラ円としてはリラよりも弱いとして「円売りリラ買い」優勢のまま推移しやすいともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日深夜安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、4月1日夜高値でやや短めのサイクルトップを付けていったん下げてから5日夜に一段高したため、6日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして6日夜から8日夜にかけての間への上昇を想定した。
4月6日の日中から7日午前序盤にかけては8.40円を挟んだ揉み合いで高値圏を維持しているのでまだ一段高余地ありとするが、8.37円割れを弱気転換注意とし、8.35円割れからは弱気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月6日午後高値の後は新たな高値更新へ進めず8.40円を挟んだ揉み合いとなっているので遅行スパンは実線と交錯に入っているが、先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月6日午後高値と7日朝高値がほぼフラットであるのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため、60ポイント台回復からは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下向きとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.35円を下値支持線、8.42円を上値抵抗線とする。
(2)8.37円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、8.42円超えからは8.45円前後を目指すとみる。8.45円以上は反落注意とするが、円安等で勢い付く場合は8.47円前後へ上値目途を引き上げる。また8.35円以上を維持しての推移なら8日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.37円割れから続落の場合は下向きとし、8.35円割れからはいったん下げに入るとみて8.32円前後試しを想定する。8.32円前後は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.30円前後試しへ下値目途を引き下げる。また8.35円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月07日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 4/1時点 (3月25日時点 656.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 4/1時点 (3月25日時点 159.6億ドル)
4月11日
 16:00 2月 失業率 (1月 11.4%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -71.12億ドル)
4月12日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -2.4%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 7.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 -1.5%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.9%)
4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)

注:ポイント要約は編集部

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