124円到達後も123円台中盤で確り、再び125円台へ挑戦する位置取り
〇ドル円、123円台終盤へ戻す展開、再び124円台回復から125円へ挑戦しやすい位置
〇日米金利差拡大基調と輸入インフレ及び経常収支悪化による悪い円安感を抱いたまま
〇FOMC議事録公表、早ければ次回5月会合で月950億ドルのペースで資産縮小開始
〇6日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の2.60%、2019年4月以来の高水準
〇123.30以上で推移か割り込んでも回復なら上向き、124.05超えからは124円台中盤を目指す
〇123円割れからはいったん仕切り直しの調整安、122円台中盤を試す下落を想定
【概況】
ドル円は4月6日午前高値で124.05円を付けて3月31日深夜安値121.26円以降の戻り高値を更新、7日未明に123.46円まで下げたものの買い拾われて123円台終盤へ戻す展開、再び124円台回復から125円へ挑戦しやすい位置にある。
4月7日は米長期債利回りの上昇が継続、7日未明のFOMC議事録は5日のブレイナード理事によるタカ派発言の後だったために特段のサプライズ感はなかったものの大幅利上げと総資産縮小開始姿勢が再確認された。ロシア制裁が強化されておりウクライナ情勢の先行きが見えないこと、上海の大規模ロックダウン長期化による景気鈍化懸念等リスク要因も継続しているが、かつてのような円への安全資産買い意欲は乏しく、日米金利差拡大基調と輸入インフレ及び経常収支悪化による悪い円安感を抱いたままという印象だ。
【FOMC議事録の反応は鈍いが連銀のタカ派姿勢を再確認】
米連銀(FRB)は4月6日未明に3月15-16日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。議事録では米連銀の総資産については月950億ドルのペースで縮小することで一致し、早ければ5月の次回会合で縮小を開始することが適切と合意していた。国債を月当たり約600億ドル、不動産ローン担保証券(MBS)を約350億ドルずつ減らしてゆくとした。
4月5日にブレイナード米連銀理事が「早ければ5月のFOMCで総資産の圧縮を開始する」とし、前回の資産圧縮時(2017年から2019年)と比較して「著しく大きな削減枠を設け、短期間、大幅に速いペースで進める」、「インフレがあまりに高過ぎ、上振れリスクもある」と述べて5月FOMCでの大幅利上げ姿勢を示した。また3月21日以降はパウエル米連銀議長はじめ主要な高官が大幅利上げと資産圧縮の早期開始を支持する発言を繰り返して来たため、公開された議事録に対する市場の反応は落ち着いたものだった。
米連銀は3月FOMCにおいて政策金利を従来の0.00〜0.25%から0.25〜0.50%へと0.25%引き上げたが、議事要旨によればウクライナ情勢が無ければ0.50%の利上げが決定された可能性もあったことが示された。3月FOMCでは2022年における利上げ回数についてのメンバー想定中央値は7回とされて12月時点の3回から大幅に増え、2023年についても4回の利上げ想定とされた。また2023年の政策金利見通しの中央値は2.8%、インフレ見通しについては2022年10-12月期を4.3%として12月時点の2.6%から大幅に上方修正、GDP見通しについては2.8%として12月の4.0%から下方修正、失業率は前回と同様の3.5%と予想した。
次回のFOMCは5月3-4日に開催される。
【米10年債利回りが一段高】
4月6日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の2.60%となり2019年4月以来の高水準となった。前日のブレイナード理事発言をきっかけに騰勢を強めて2.66%まで一段高した後は上昇一服しているが3月28日の2.56%を超えて一段高した状況を維持している。30年債利回りも0.05%上昇の2.63%をつけて2019年7月以来の高水準に達した。2年債利回りは0.04%低下の2.48%だったが一時は2.60%を付けて2019年1月以来の高水準に達していた。4月1日から4日にかけて2年債利回りが10年債利回りを超える逆イールドとなった状況は解消されているが、10年債利回りの上昇が勢い付いてきた印象であり、日米金利差を踏まえてドル円も押し上げられやすい状況が続いていると思われる。
一方でNYダウは前日比144.67ドル安と下落して4月5日の前日比280.70ドル安から続落した。3月29日へ戻した後は上値が重くなっており、ウクライナ情勢の先行きが見えないこと、ロシア制裁が一段とエスカレートしたこと、米長期金利の大幅上昇、上海のロックダウン長期化などが圧迫感をもたらせている。ナスダック総合指数も5日の328.38ポイント安から6日は315.35ポイント安の続落となっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点として上昇期に入ってきたが、5日午前へ小反落したところから一段高したために6日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたとし、高値形成期を6日夜から8日深夜にかけての間と想定した。
4月6日午前高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるものの123円台中盤までで確りしているので引き続きサイクルトップ形成中とみる。弱気転換は123円割れからとし、その際は8日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月6日午前の124円到達後はややジリ安の横ばい推移のために遅行スパンは実線と交錯し始めているが先行スパンからの転落を回避するうちは上向きとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンから転落する場合はいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月6日午前の124円到達時に80ポイントをつけてから50ポイント台へ低下している。50ポイントを割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイントを割り込んでからも50ポイント台を回復できない推移に入る場合は下向きとして30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、123.30円を下値支持線、124.05円を上値抵抗線とする。
(2)123.30円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、124.05円超えからは124円台中盤(124.30円から124.70円)を目指すとみる。124.60円以上は反落注意とするが、123.30円以上での推移なら8日の日中も高値試しを継続しやすいとみる。
(3)123.30円割れからは弱気転換注意とし、123円割れからはいったん仕切り直しの調整安に入るとみて122円台中盤(122.30円から122.70円)を試す下落を想定する。122.50円以下は反発注意とし、その後に123円台を回復するところからは上昇再開とみる。
【当面の主な予定】
4/7(木)
14:30 (日) 野口日銀審議委員、会見
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI速報値 (1月 102.5、予想 100.8)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI速報値 (1月 95.6、予想 95.5)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 2.7%、予想 0.2%)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.8%、予想 3.7%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.2%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.8%、予想 4.8%)
20:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨
21:15 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.2万件、予想 20.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 130.7万人、予想 130.1万人)
22:00 () ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
28:00 (米) 2月 消費者信用残高 前月比 (1月 68.4億ドル、予想 166.5億ドル)
29:05 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
4/8(金)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調前 (1月 -1兆1887億円、予想 1兆4499億円)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調済 (1月 1917億円、予想 2748億円)
08:50 (日) 2月 貿易収支・国際収支ベース (1月 -1兆6043億円、予想 -2044億円)
14:00 (日) 3月 消費者態度指数・一般世帯 (2月 35.3、予想 36.8)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー現状判断DI (2月 37.7、予想 45.0)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー先行判断DI (2月 44.4、予想 47.5)
23:00 (米) 2月 卸売売上高 前月比 (1月 4.0%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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