トルコリラ円見通し 円安に押し上げられ小幅に3日続伸(22/4/6)

トルコリラ円の4月5日は8.40円から8.32円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.39円で前日終値の8.35円から0.04円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 円安に押し上げられ小幅に3日続伸(22/4/6)

トルコリラ円見通し 円安に押し上げられ小幅に3日続伸

〇トルコリラ円、4/5高値8.40へ上昇、ドル円上昇再開に同調
〇対ドル、4/6早朝終値14.71、米長期債利回り上昇で売り優勢に、3/29反騰一巡でジリ安推移
〇ロシア人のトルコへの逃避急増との報道、3〜4月期観光収入増の可能性も
〇8.35以上での推移中は上向きとし、8.41超えからは8.45前後を目指すとみる
〇8.35割れからはいったん下げに入るとみて、8.32前後試しを想定する

【概況】

トルコリラ円の4月5日は8.40円から8.32円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.39円で前日終値の8.35円から0.04円の円安リラ高となった。
4月4日夕刻のトルコ3月CPIが大幅上昇となったところで若干売られた際に8.32円台で底固さを見せていたが、5日は日銀黒田総裁の議会発言における円安けん制的な発言部分に反応してドル円が反落したところでも8.32円まで下げたところで踏みとどまり、黒田総裁のYCC(イールドカーブコントロール)と金融緩和継続姿勢は変わらずとしてドル円が早々に持ち直したことで確りし、5日夜にドル円が123円台回復へと一段高した流れにトルコリラ円も乗じて8.40円へ上昇、3月31日安値8.26円以降の高値を更新した。
3月後半からは概ねドル円の騰落と同調した動きがみられるため、ドル円の上昇再開感が強まればトルコリラ円も高値追及へ動きやすいと思われる。

【ドル/トルコリラ動向 3月29日のリラ反騰一巡でジリ安の推移】

ドル/トルコリラの4月5日は14.74リラから14.67リラの取引レンジ、6日早朝の終値は14.71リラで前日終値の14.68リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
3月29日にトルコのイスタンブールで開催されたロシアとウクライナの停戦協議で進展があったと報じられたところで14.80リラ台から14.53リラまで急伸したが、停戦合意に至るには時期尚早として戻り売りの流れとなり徐々に安値を切り下げる展開となり、4月5日は米連銀高官による5月FOMCへ向けた0.50%の大幅利上げや量的金融引き締め=資産圧縮開始を支持するタカ派発言が相次いだことで米長期債利回りが一段と上昇したためにドル高感が強まりトルコリラも対ドルで売り優勢となって3月29日夜高値以降の安値を更新している。
ウクライナ首都近郊でロシア軍が前線を後退させた後に多数の死者が確認されているとして欧米の経済制裁がエスカレートしウクライナ側のロシア批判も強まっていることで早期の停戦合意期待が後退したことも地政学的に近く両国と濃密な外交関係にあり停戦調停に一役買っているトルコにはマイナスの影響が見られる。

【ロシア人の避難で1万4千人がトルコに入国】

トルコのメディアによると、ロシアによるウクライナ侵攻による制裁と先行き不安やプーチン政権への批判及び恐怖心からロシア人のトルコへの渡航が急増しており、既に1万4千人が入国しているという。大富豪で停戦協議にも参加しているとされるアブラモビッチ氏も巨大クルーズ船で入国しているが、西側によるロシア制裁がロシア人の金融資産凍結等に及んでいることから逃れるためや、ロシアでの政治的弾圧姿勢を懸念しての脱出が背景とされる。
トルコにとってはロシア人観光客のシェアが大きく観光収入にも影響を与えるが、ロシア人のトルコへのビザなし渡航が許されているために急増していること、トルコを経由して他の欧州等へ向かうための一時的な立ち寄りなどを反映したものだが、一時的にせよ長期的にせよ、トルコにお金が落ちることとなるために3-4月の観光収入増となる可能性も考えられる。

エルドアン大統領にとっては、NATO加盟で西側に位置しつつ、ロシアからのSA400ミサイルシステム購入や天然ガス・パイプラインのトルコストリームの導入によりロシアとの関係も深い。またロシア及びEU諸国への輸出シェアも大きいためロシア制裁による混乱が悪影響を及ぼしている側面もある。リビアやシリア、ナゴルノカラバクなどでの内戦ではロシアが支援する側とは対立する側を支援し、ウクライナへは神風ドローンと呼ばれる高性能の軍事ドローンを輸出してそれがロシアの戦車等を撃退しているという報道もある。
難しい立ち位置にあり内政では高インフレによる国民の不満も高まる中で、外交的な成果を上げればエルドアン政権への支持率向上と来年の大統領選挙での再選にもつながる可能性があるところであり、今後も活発な動きを見せるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日深夜に一段安したところからの反騰により4月1日午前時点では3月31日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、4月1日夜へ高値を切り上げた後は新たな高値更新へ進めずにいたために4月5日午前時点では4月1日夜高値でやや短めのサイクルトップを付けた可能性があるとした。
4月5日午前に8.32円まで反落したところから夜に一段高へ進んだため、5日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたと仮定して6日夜から8日夜にかけての間への上昇を想定する。8.35円割れからは弱気転換注意とし、8.32円割れからは弱気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月5日夜の一段高から遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況が続いているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん安値を試しにかかるとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちは上昇基調の継続とみて遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月5日午前に40ポイントまで下落してから70ポイント超えへと反騰している。相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られないのでさらに高値を試しやすいところとし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.35円を下値支持線、8.41円を上値抵抗線とする。
(2)8.35円以上での推移中は上向きとし、8.41円超えからは8.45円前後を目指すとみる。8.45円以上は反落注意とするが、8.35円以上を維持しての推移なら7日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.35円割れからはいったん下げに入るとみて8.32円前後試しを想定する。8.32円前後は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.30円前後試しへ下値目途を引き下げる。また8.35円以下での推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月07日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 4/1時点 (3月25日時点 656.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 4/1時点 (3月25日時点 159.6億ドル)
4月11日
 16:00 2月 失業率 (1月 11.4%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -71.12億ドル)
4月12日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -2.4%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 7.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 -1.5%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 7.9%)
4月14日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)


注:ポイント要約は編集部

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