豪州中銀金融政策記者発表(22/4/5)

本日開催の豪州中銀金融政策は従前の予想通り、キャッシュレート（OCR）などの金利面では据え置きを決定しました。また、保有債券の縮小に関する内容は無く、この議論は次回5月会合になりました。次回は5月3日（火曜日）に予定されており、次回会合は重要になりそうです。

以下は今回の要旨です。

（金融政策決定）

本日の会合で、委員会はキャッシュレート（OCR）の目標を10ベーシスで、為替決済残高に関してはゼロ％で維持することを決定した。

世界中の多くの国でインフレは急激に上昇した。現状の供給サイドの問題、ロシアによるウクライナへの侵攻、パンデミックからの経済回復による強い需要など全てが物価の上昇圧力に寄与している。これに呼応するように、債券イールドは上昇し、将来の政策金利への期待が高まっている。

豪州経済は引き続き底固く、消費はオミクロン株沈静化と共に上昇している。家計や企業のバランスシートは全般的に良好な状態にあり、企業投資の上振れが進行中である。完了予定の大規模なパイプライン建設もある。マクロ経済政策も引き続き成長を下支えし、国民所得は商品価格の一段高により押し上げられている。同時に、上昇する物価は家計に圧力をかけ、洪水が多くのコミュニティに苦難を引き起こしている。

豪州経済の強さは、失業率が2月には4％まで下がったことから、労働市場では明白である。不完全雇用（能力以下の仕事に従事）はここ何年間で最低水準になっている。求人や求人広告は高水準であり、今後数ヶ月先も、雇用の力強い伸びが続くと思われる。中銀の中央シナリオでは、年内に4％以下まで下がり、来年は4％以下に留まると見ている。

賃金の伸びは持ち直しているが、総合的にはパンデミック前の比較的低い水準に留まっている。しかしながら、より大きな賃金上昇がみられる分野もある。労働市場の逼迫を見ると、総賃金や労働コストの一段の伸びが見込まれている。歴史的に低い失業率水準で、労働コストの動きに不確実性があるものの、この上昇はまだ緩やかなことが予想されている。

インフレは豪州内で上昇した。それでも多くの他国よりも低い水準である。コアインフレは2.6％であるが、総合インフレでは3.5％である。原油やその他商品価格の一段の上昇は今後数四半期でインフレを一層引き上げることになろう。直近の見通しに関しては5月に公表される。不確実性の主な要因として、様々な供給サイド問題への解決スピード、世界的エネルギー市場の動向、及び全体的な労働コストの進展に関連している。

豪州内の金融情勢は高度に緩和的である。金利率は依然として最低水準にある。ただ、新規住宅ローンの固定金利は最近上昇した。豪ドルは商品価格高により買われた。貿易加重平均ベースでは、1年前の水準にある。住宅価格は上昇率が幾つかの地域で緩んではいるものの、過去1年間猛烈に上昇した。歴史的に低い金利水準で、貸出基準が維持され借り手が適切な余力を持っていることが重要である。

パンデミック期間中の委員会の政策は完全雇用や目標と一致するインフレ目標に向けた進展を下支えした。委員会はインフレ率が利上げする前に2〜3％の目標レンジ内に持続的に推移するだろうとの実際の証拠を見たいと思っている。インフレ率は持ち直し、更に一段の上昇が予想されるが、労働コストの伸びはインフレ率が持続的に目標に達していることと整合的である金利率を下回っている。今後数ヶ月に亘り、インフレと労働コストの展開の双方に関する重要な追加的証拠が委員会に提供されるだろう。委員会は、豪州内の完全雇用や目標に沿ったインフレの結果を支援する政策として、その追加的証拠やその他の入手する情報を査定することになる。

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。（出所：豪州中銀HP）

前回会合時の