円安に歯止めかかるか、G7などにも要注意
〇本日のドル円、夕方にかけ121.60レベルまで値を上げ年初来高値再び更新
〇日米の金融政策の違いによるドル高円安傾向はしばらく続くと予想
〇本日はNATOやG7首脳会議がベルギーで開催、要人発言に注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ121.10-122.10、2016年1月高値121.70抜ければ122円台乗せも
〇ドル安・円高方向は121円前後に弱いサポート、昨日安値120.60も下値メドに
<< 東京市場の動き >>
24日の東京市場でドルはさらなる上値追い。本日もドルは年初来高値を更新する局面が観測されている。
ドル/円は121.15円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。120.95-121.20円といったレンジ取引をたどるなか、上抜けすると、夕方に掛けて前日記録した年初来高値を再び更新。121.60円レベルまで一時値を上げていた。16時現在でもそのままドル高値圏で推移、欧米市場を迎えている。
なお、本日午後に防衛省から「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」との発表が聞かれたものの、相場への影響は限定的。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアによる侵攻から1ヵ月が経過するなか、ウクライナ軍の強い抵抗もあり、攻めあぐねている感の報道が目に付くようになってきた。たとえば、米国防総省高官は「ロシア軍がウクライナの首都キエフ周辺から後退した」ことを明らかにしたという。そうしたなか、ウクライナ大統領は昨日日本の国会でオンライン演説を実施するなど、着々と各国の支援同意取り付けに動くとともに、「ロシア悪玉論」が世界的にさらに拡散している感も。なお、ソ連崩壊後のロシアの経済改革を主導したチュバイス氏が、「侵攻」への抗議としてロシア大統領特使を辞任し出国したもようだと複数メディアで報じられていた。
対して後者は、一辺倒だったロシア擁護スタンスこそ変化したものの、中国のロシア寄りは依然として変わらず。実際、国連安保理において、ロシアが提案した独自の「人道決議」について賛成したのは理事国15ヵ国中で中露だけだった。残り13ヵ国はすべて棄権している。そうした状況下、サリバン米補佐官が「輸出管理措置の回避や金融取引の決済でロシアを支援したりしないよう中国をけん制」したほか、レモンド米商務長官は「中国がロシアに半導体提供なら輸出規制の実施で対応する」と述べたという。
<< 欧米市場の見通し >>
為替市場における円全面安の動きはいまだ止まらず。ドル/円は前述したように、本日東京時間に年初来高値を再び更新している。昨日、鈴木財務相から「為替の急激な変動は望ましくない」、「円相場の動向を注視」といった口先介入も聞かれたものの、黒田日銀総裁は依然として円安容認のスタンスで、意見が一本化されていないことを投機筋などに見透かされている。調整の動きには要注意だが、リスクそのものはまだ当面上方向にバイアスが掛かりそうだ。
利上げに消極的な日本と、積極的な米国。そんな日米の金融政策の違いが改めてクローズアップされ、ドル高・円安の支援要因となっていることは間違いない。基調としてのドル高傾向は、まだしばらく続くと予想する向きが大勢だ。そうしたなか、波乱要因として警戒されているものはウクライナ情勢と、それにともなう各種の国際会議など。また、前段でも取り上げた日本の政府要人などによる円安けん制発言や、昨日400ドル強となかなか大きく下落したNYダウなど米株の動きにも、一応注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京夕方に121.60円レベルまで値を上げ、2016年1月高値の121.70円も目前に迫っている。ポジションの偏りが著しいのは言うまでもないが、リスクは上向きで、121.70円を抜けると122-123円台などにそれほど大きな抵抗はないことで、再び軽い青天井となる危険性も。2月24日安値114.40円を上昇の起点としてもすでに上げ幅は7円を超えているものの、まだドルが天井を付けた感はないようだ。
材料的に見た場合、中長期的には国際的な孤立に繋がりかねないロシア支援をめぐる動きが注目の「中国情勢」、一部メディアが日本でも「4回目ワクチン接種の5月開始目指す」と報じ話題となっていた「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場への懸念」、−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、2月の耐久財受注速報や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるほか、米財務省による10年物インフレ連動債入札が実施される見込みだ。さらに、米地区連銀総裁らの講演なども幾つか予定されているうえ、NATOやG7首脳会議がベルギーで開かれる。要人発言にはともかく要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは121.10-122.10円。2016年1月高値の121.70円をめぐる攻防にまずは注目。抜けるといよいよ122円台乗せをうかがう動きも。
対するドル安・円高方向は、121円前後に弱いサポートがあるほか、昨日安値120.60円も一応の下値メドか。119円台などはだいぶ遠くなった印象だ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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